院長のコラム

口腔顔面痛の診断と治療

『痛い』というのは誰にとっても好ましいことではありませんが、口腔領域に関わる顔面や口腔内で感じる『口腔顔面痛』という言葉があります。この痛みはさまざまな原因によって引き起こされ、痛みの種類や場所は個人によって異なります。原因が特定できれば原因療法で対処できますが、中には原因不明のケースもあり、その場合は慢性的な痛みとなり対症療法となることがあります。(泣)

以下に、一般的な口腔顔面痛の原因、症状、および対処法について説明します。

口腔顔面痛の原因

1.虫歯歯周病
 口腔内の痛みの主な原因は虫歯や歯周病です。歯の表面が傷つき、神経や歯根に刺激が及ぶことで痛みを引き起こします。

2.顎関節症
 顎関節は口を開閉する際に動く重要な部位です。この関節に問題があると痛みや違和感が生じます。

3.口内炎
 口内炎は口腔内の粘膜にできる潰瘍で、食べ物の摂取や口の動きによって痛みを感じることがあります。

4.歯の抜歯
 歯を抜く際にも一時的な痛みが生じることがあります。

5.歯科治療
 歯の治療や修復の際にも痛みが発生することがありますが、これは一時的なものがほとんどです。

口腔顔面痛の症状

1.局所的な痛み
 主に口腔内や顔面の特定の部位で痛みを感じます。

2.しみるような痛み
 冷たい・熱い飲食物や刺激によって痛みを感じることがあります。

3.顎の痛み
 顎関節症の場合、顎の動きや噛むことによって痛みや不快感が生じることがあります。

4.腫れや発赤
 口腔内や顔面に腫れや発赤が見られることもあります。

歯ぐきが腫れた状態

5.咬合異常
 歯同士の噛み合わせが異常になり、顎や歯に負担がかかることがあります。

口腔顔面痛の対処法

1.早めの歯科受診
 口腔顔面痛が続く場合は早めの受診をお勧めします。適切な診断と治療が痛みの早期解消につながります。

2.痛みの軽減
 市販の鎮痛剤を適切に使用することで痛みを軽減できますが、長期間の使用は避けましょう。

3.適切な口腔衛生
 歯周病や虫歯を防ぐために、適切な歯磨きやフロスの習慣を身につけましょう。

4.温冷療法
 顎の痛みを軽減するために温冷療法を試してみることもあります。

5.ストレスコントロール
 ストレスは歯ぎしりや顎関節の緊張を引き起こす原因となることがあります。リラックスする時間を持つことが大切です。

口腔顔面痛、特に虫歯の痛みは、御本人が指し示す場所に問題がないケースも多々あります。治療しても改善しないケースもありますが、必ずしも歯に起因するわけではないことを理解してください。

その他に考えられる原因

他にも口腔顔面痛の原因として考えられる状態をいくつか挙げてみますね。

● 歯科矯正の装置
 ブラケットやワイヤーを使用した歯科矯正の装置は、口腔内や頬の粘膜に対して擦過や圧力をかけることがあり、それによって口腔顔面痛が発生することがあります。

● 口腔外傷
 事故やスポーツによる口腔や顔面の外傷は、痛みを引き起こすことがあります。歯の折れや脱臼、口腔内の組織損傷などが挙げられます。

● 神経因性疼痛
 口腔内の神経に障害がある場合、痛みが生じることがあります。例として三叉神経痛があります。

● 口腔発作性ジストニア
 顔面や口腔の筋肉が痙攣する症状です。激しい痛みや口の動きの制御が難しいなどが挙げられます。

● 口腔がん
 口腔内や顔面の痛みの原因として、がんが考えられる場合があります。特に痛みが持続する場合は専門医の診断が必要です。

● 口腔感染症
 口腔内の感染によって痛みが生じることがあります。例えば、口内炎や歯根の感染が挙げられます。

● 頭痛との関連
 口腔顔面痛は、時に頭痛や片頭痛と関連して現れることがあります。頭痛の原因を正確に特定することが大切です。

実際には他にも多くの要因が存在する可能性があります。口腔顔面痛は症状が広範囲に渡り、確立した治療法が存在しない場合もありますが、口腔外科専門の病院に紹介することも可能です。
口腔顔面痛はお辛いと思いますが、早めの対処や適切な治療により改善が期待されます。まずはかかりつけの歯科医と相談なさってみてくださいね。

酒井直樹

酒井直樹

医療法人SDC 酒井歯科医院 理事長/院長

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