CAUSE
歯ぎしりの原因は?
何故、自分自身の歯を痛め付ける歯ぎしりが生じてしまうのでしょうか? 多くの臨床研究がなされているのにも関わらず、歯ぎしりのメカニズムは完全に解明されてはおりません。調べてみても実際には解らないことの方が多いってのが正直なところです。
原因が解らないので厄介なのですが、それでも下記のような様々な要素が絡んでいるのだけは間違いがないようです。
ストレス
歯ぎしりの原因の最有力候補がこのストレスです。口腔諸筋群の過緊張に伴い噛む筋肉が凝ってしまう事で起こるとされています。
ストレスと歯ぎしりの因果関係、俄にはその関係性は理解されにくいですよね。
厄介なことに歯ぎしりは脳の指令によって起こるストレス解消の為の行動だと考えられています。ってことは、無理矢理歯ぎしりを止めようとすると逆に『歯ぎしり出来ない』ことが脳のストレスとなり歯ぎしりを助長することも考えねばなりません。
『歯ぎしりは止められないし、むしろ止めてはいけない』という考え方が現在では主流にもなって来ております。その意味で後から詳述するマウスピースの対応がベストなのかもしれません。
ストレス発散を上手に出来ないような性格の方が歯ぎしりをしやすいと言われます。加えて、競争心が人一倍強い人や、いつも時間に追われている方なども歯ぎしりをする傾向が強いようです。
人間はここ一番って時に『歯を食いしばって頑張る!』じゃないですか。強いストレスや苦痛に晒された際にポカンと口を開けてることは一般的には無くて無意識に歯を食いしばりますもんね。
人間は、食いしばることで痛みを緩和させてくれる作用(鎮痛作用)を持つβエンドルフィン(※)という物質が脳に分泌され苦痛が軽減されます。強いストレスに晒されっぱなしの方は、脳がそのβエンドルフィン(※)を分泌しようと意識しないうちに食いしばる習慣を身に付けてしまうようです。
※βエンドルフィン ⇨ 脳内で働く神経伝達物質の一種で、鎮痛効果や気分の高揚・幸福感などが得られるため脳内麻薬とも呼ばれる。脳内で働く神経伝達物質(エンドルフィン)のひとつでモルヒネと同じような作用をする物質
逆流性食道炎
胃から食道へ胃液が逆流してくる病気『逆流性食道炎』と歯ぎしりとは密接に関わり合いがあるようです。胃液は強酸なので歯に頻繁に触れるようなことがあれば歯を溶かしてしまいます。嘔吐を頻繁に繰り返すような摂食障害のある方は歯へのダメージも多いことが知られています。
歯ぎしり(口を動かす)をすると唾液は潤沢に溢れて来ます。それにより強酸を中和させようとする人間の身体の仕組みなんでしょう、その胃液対策(中和)のために歯ぎしりが誘発されてしまうようです。
逆流性食道炎って耳にした事がありませんか?逆流性食道炎とは、文字通りに本来なら逆流するはずの無い胃酸や胃の内容物がその手前の食道エ...
歯並び & 噛み合わせ
我々は成長時にも噛み合わせは狂います。考えてみたら乳歯から永久歯への交換期には噛み合わせはメチャクチャです。
それでも若いウチには備わってる柔軟性がカバーしてくれますが、大人になってからむし歯や歯周病によって歯の喪失、歯の動揺、極度のすり減りなどによって咬合が微妙に変化してくると歯ぎしりをしてしまうんだそうです。咬合や歯並びの悪さを補う意味で我々に生来備わってる体の働きなのかもしれません。
喫煙や飲酒
嗜好品摂取によっても歯ぎしりを引き起こす可能性が高くなると言われます。コーヒー等のカフェインを多く含む飲料は交感神経を優位にさせてストレスや緊張をより強くすることから歯ぎしりを助長させてしまうようです。
日中の噛み締め
力仕事などで常態的に食いしばってる方、無意識な日中の噛み締め、上下の歯を接触させる癖(TCH)がある方、筋肉がその状態を記憶してしまい就寝中にもなさってしまうようです。
顎関節の変形
肘や膝だって酷使したり加齢変化で関節は磨り減ったりされますでしょう。顎関節も例外ではありません。関節の変形を来せば噛み合わせは狂いますから歯ぎしりで補正をしようとすることが考えられます。