『小児矯正』にしても『プレオルソ』にしても聞き慣れない言葉かと思います。『オルソ(Ortho)』は矯正治療を意味しますが、それに接頭辞で『前の』を意味する『プレ(pre)』がついて『プレオルソ』
これは、永久歯に生え変わる以前の幼児期の後半から学童期に至る小児期の骨がまだ軟らかい時期に行う矯正治療を差します。成長した後での本格的な矯正Ⅱ期治療と称することがありますが、こちらはその前段階のⅠ期治療です。お子様自身の負担とケースにも因りますが治療費を最小限に抑えることが可能な矯正治療になりますでしょうか。

意味合いとしては、Ⅱ期治療への移行準備であり、場合によってはⅡ期治療にならないようにするための治療とも言えます。
このⅠ期治療により、概略の歯並びを整えておくことで、仮にⅡ期治療に至ったとしても非抜歯での矯正が可能になるのです。

プレオルソでこんな風に改善が図れます

実際の改善例を10秒ほどの動画にしてみました。
使用期間は1年前後です。ここまで改善が図れてしまえば、細部までパーフェクトとは言えずとも御満足いただけようかと思います。
お顔付きも立体的になりカッコ良くなった好例でありました。

本来、12歳という年齢は小児予防矯正プレオルソには遅かったのかもしれません。
それでもマイナスは無かろうかと考えてチャレンジしていただいた結果、御本人の全面的協力が得られたことも相俟って、9ヶ月で見違えるほどに改善が図れました。

歯並びを良くするためにはスペース確保は欠かせません。すなわち舌の力で上顎を本来の大きさまで十分に押し広げなければなりません。
換言すれば押し広げさえすれば歯並びは勝手に良くなってくる・・・のです。ポイントは舌であり呼吸かと思います。
上顎が狭く高ければその分 鼻腔(鼻内部のスペース)も狭くなり、口呼吸に陥りがちです。
上顎を舌の力で前方や側方に広げることで鼻腔スペースが広がり、同時に舌が本来の上顎に密着してる状況になれば口呼吸はしにくくもなり鼻呼吸促進に繋がります。

Ⅰ期治療・プレオルソの狙い

永久歯がまだ生え揃っていない5歳~10歳くらいのお子様にお使いいただける装置です。小さな頃から歯並びや口腔周囲の健全なる発育を促し矯正することで、成長後の本格矯正(Ⅱ期療)が不要になる事も多く、仮に成長後に本格的な矯正が必要になったとしても比較的に治療期間が短くなったり歯を抜かずに済んだりすむようです。当然、お子様御本人の負担は大幅に軽減されます。

お子さんの口の悩みあれこれ
プレオルソという考え方
プレオルソの特徴
プレオルソの一般的な治療の流れ
プレオルソの使い方について
プレオルソにはトレーニングの併用が効果的
プレオルソのメリット(優位性)
プレオルソのデメリット(欠点)
プレオルソの費用(自費診療)
プレオルソに関するQ&A(リンク先の『プレオルソ』をクリック!)

お子さんの口の悩みあれこれ

上記のイラストのような様なお悩みはありませんでしょうか。

お子様のお口でこんなお悩みはありませんか?

  • 出っ歯
  • 受け口
  • 叢生(でこぼこ・ガタガタ)
  • 咬み合わせが深い
  • 上下の前歯が咬み合ってない
  • 常に口がポカンと開いてる

これらは、もしかすると口腔周囲の未発達によるモノだったりするかもしれません。比較することの是非は置いておきますが、モンゴル出身のお相撲さん(力士)には上のリストのような方はまずいらっしゃいません。我々日本人とは小児期に顎の発達に関するナニかが違ってたりするのかもしれません。

プレオルソという考え方

我々現代人、とりわけ文明が栄えた我が国において、多くの小児が噛まなくなってるという事実を御存知でしたでしょうか?
カラダを鍛えることに異論を挟む方はいらっしゃらないかと思うのですが、口腔周囲だけは鍛えるとか強化する事から随分と離れてしまってるようにも感じられはしませんでしょうか。
プレオルソというⅠ期治療(本格的矯正の前の予防矯正?)は実は歯並びだけに注目してるわけではなく生きて行く限り欠かせない呼吸舌運動正しい咀嚼嚥下運動までも改善しより良き状態に導こうという考え方に他なりません。次のようなメリットが挙げられます。

プレオルソのメリット

  • 歯のならびの矯正
  • 噛み合わせの改善
  • 口呼吸から鼻呼吸への誘導
  • 舌のトレーニング
  • お口ポカンの改善
  • 正しい嚥下・発音

歯並びの不正を根本から予防する考え方

気が付けば歯周病予防・むし歯予防は以前より盛んに言われておりました。実は歯並びもある程度は予防することが可能であります。悪くなって(不正咬合の発覚)から正しい咬合状態に戻そうとするにはトンでもない労力や期間・費用を要します。であるならば、そうならないウチに出来る限りの予防をしてしまえば宜しいように思います。
下記に『より良き歯並びのために』『より良き“歯”を育むために ~知っておきたいポイント!~』として紙芝居を動画にまとめてみました。ナレーションは当院のスタッフが務めてくれております。御視聴下さいませ!

プレオルソについて

プレオルソとは、写真の様なマウスピース型の矯正装置を使用して、お子様の成長に応じ顎を広げて成長を促進することで永久歯の萌出するスペースを確保していく矯正治療のことです。『型にはめる』と言う表現は良くないかもしれませんが、理想とされる歯並びに沿った顎のサイズに導いて行くのが最大の狙いになります。
例えて言うなら・・・・四角いスイカってのをイメージしてみて下さい。
スイカは放置していても勝手に丸く大きく実りますが、四角くしたかったら四角いケースに入れて成長させると思うのです。ただし、いったん丸く成長してしまったモノを四角くしていくのは常識的に考えて有り得ませんでしょう。

■ 健全なる発育を阻害するマイナス要素 ■

マイナスとされる上記の様な事を排除しつつ、歯並びにしても舌運動にしても正しいスタイルに導くことを狙いにするプレオルソ。この矯正装置は、上下一体型で歯全体を覆うことで出っ歯や受け口が治りやすく、本格的矯正治療のように100点ではないかもしれませんがある程度の歯の凸凹を治すことも可能です。

学校から帰ってからの1日1時間、それに寝ている時にこの装置を入れておくことで、口腔周囲の基本機能(舌の位置、口腔周囲筋の強化)が正しく機能するよう訓練し、本来の鼻呼吸がスムーズに出来るように導き大きな効果を得られるようにして参りましょう。スイカの例えではありませんが、永久歯に完全に生え変わり歯の根がしっかり張る前の骨が軟らかい時期に行うことで、お子様の負担を最小限に抑えた治療が可能です。
欠点としては、お子さんに『使ってもらわない限り効果はない』という事でもあったりも致します。(泣)

プレオルソの特徴

5歳~10歳くらいのお子様が対象です

永久歯の生え揃っていない5歳から10歳くらいまでの比較的骨が軟らかい時期に用いていただくのが効果的で期待が持てます。プレオルソはⅠ期治療、将来的に本格的な矯正(Ⅱ期治療)が必要になったとしても、ベース(並びやすい広い顎の骨)が出来ていることで治療期間が短く出来たり歯を抜かずに済んだりと、お子様の負担を減らすことに繋がります。

お子様への負担が少ない

固定式の装置は違和感や痛みが強いですが、マウスピース式はゼロではないですがそれ程でもありません。このプレオルソ装置を使用するのは、お子さんが学校からお家に帰ってから最低『1時間』と『寝る時』だけです。
学校に持って行く必要はありませんし普段の生活にも支障はありません。モチロン使い始めは窮屈感もあるでしょうし舌にも違和感があります。それでも多くのケースでその違和感は3~4ヶ月ぐらいで消失します。つけながら話すことも出来ますので従来の矯正治療に比べてお子様の負担は大幅に軽減できます。

口呼吸を鼻呼吸へ促します

いつも口がポカンと開いた状態に代表される口呼吸を鼻呼吸へ促します。プレオルソは『噛み合わせ』や『歯ならび』を改善方向へ向かわせるのはモチロンのことなのですが、同時に本来の『口呼吸から鼻呼吸へ』が非常に重要と考えられているのです。このプレオルソを用いることはお子様の成長発育にとても大切なこととなります。

口呼吸には一般的に下記の様な弊害があると言われます。ひとたび口呼吸が身に付いてしまいます大人になってからそれを改善するのは大変だったりも致しましょう。お子さんのウチから御注意いただけると宜しいようです。

1.むし歯になりやすい

人間の口は唾液などで適切に潤っていることで口の中の健康を維持していますので、乾いてしまうと歯の再石灰化(復元)能力が低下むし歯が増えてしまうのです。

2.歯周病になりやすい

歯肉が乾燥することで細菌への抵抗力が低下します。それにより将来的に歯周病が増悪してしまうことも考えられます。

3.インフルエンザや風邪を引きやすい

歯肉だけでなく喉も同様に乾いてしまうことにより、人間が本来持っているウイルスや細菌に対する抵抗力が低下してしまいます。新型コロナウイルス対策のひとつとして大阪府知事が含嗽を推奨されましたが、そもそも我々に備わってる唾液のチカラをフル活用すれば代用が可能なようにも思えます。

プレオルソの一般的な治療の流れ

まずは御相談下さい

まず初めに歯ならびに関わるお悩みや治療のご希望をお伺いいたします。それに対してプレオルソがどういったモノか、費用や治療期間に関してもしっかりとご説明いたします。
プレオルソの最大の欠点は使っていただかない限り効果はないことです。その為、お子さん御本人も保護者の方にも御理解いただかないと上手くいかないのです。

  • 一般的なご説明
  • 治療期間について
  • 費用などのご説明

資料を集めます

ご希望の場合、お口の中の規格的な写真撮影をし、データを残します。矯正治療は一晩で改善するようなモノではなく成長に合わせてゆっくりと改善するモノです。時系列での規格写真を残していかないと改善の度合いが不確かになってしまう為、盛んにデータ収集をさせていただきます。口腔内写真はトータルで何十枚も撮ることにはなりますが、写真なので一切マイナスはありませんので御安心下さい。

診査・診断をします

歯並びの不正は千差万別です。その状態に至った原因が仮にあるようでしたら排除しない限り回復は望めないのかもしれません。うつぶせ寝であったり頬杖の習慣などキチンと見極めた上で数種類の中からそのお子様に合ったプレオルソを選択して参ります。

  • 治療方針の決定
  • 治療方法の選択
  • 費用などの最終確認

実際の治療をスタートさせます

まずは生活の中に取り入れてもらうことが一番に大事です。使わない限りには改善には繋がらないこの装置・・・・そりゃぁ~面倒かとは思いますが、それにより口腔周囲のより良き未来を得るとお考えいただき実践していただけると宜しいように思います。

  • プレオルソの使い方の説明
  • お口の周囲筋トレーニングの説明
  • 経過の確認等、今後のお約束

プレオルソの使い方について

日中、ご自宅での使い方

学校から帰ってからの夕飯までのひととき、1時間以上(出来るだけ長い時間)使用します。お口に入れたら軽くモグモグするようにして慣らしていきます。お口は閉じたままにして、口唇を軽く横に引くようにするのがポイントです。
基本はお口の周りの筋肉(口輪筋等)に負荷を掛けるためにお口を閉じることを試みていただきますが、もちろんあれこれの会話(おしゃべり)をしても問題ありません。

就寝時の使い方

毎日の就寝時も使用していただくのが効果をもたらす上での最大のポイントになります。閉口のためにプレオルソを入れたお口にテープを貼ってみることもオススメ致します。ドラッグストアやネット通販でも購入可能です。

横噛みに御注意下さい

機能的マウスピース型矯正装置『プレオルソ』はシリコンの塊ですが、お子さんの使い方によっては破損することもあります。
噛んでもらってるだけなら問題はないのですが、横方向の荷重をかける・・・お口の中で横噛みして遊んでしまうと矢印部分が破損しやすいというのが欠点です。(泣)
これは夜間にはまず起こりませんが、日中(夕方等)装着時に起こりやすいトラブルなので御注意下さい。
修理は出来ませんので交換(税込み11,000円)になってしまうことをご理解願います。

プレオルソにはトレーニングの併用が効果的

就寝時の使い方

スポーツをする事で身体の健全なる発達を促すという事実に異論を挟む方はいらっしゃらないと思います。舌・口元もまたトレーニングしなければ発達遅延を起こしかねません。
呼吸・発音等もままならぬというお子さんが増えて居ると評される昨今、Zoomのセミナーの御陰で全国各地の保母さんや言語聴覚士さんのお話を聞ける機会が増えましたが伺うその度に盛んに警鐘を鳴らしてらっしゃいました。お子さんの口腔周囲も健全なる発育がなされるようにして参りましょう。

舌・口元のトレーニング(あいうべ体操)

みらいクリニックの今井一彰先生が考案された体操で、呼吸を呼吸に改善するお口の体操です。

発音練習

サ行の音や、タ行の音を口蓋(上の前歯の後ろ)のスポットにつけるようにして発音してみましょう。

プレオルソは毎日続けて行くことがとても大切です。トレーニングについては初めは少しずつでも構いませんので、ゆっくりと毎日続けて慣れていきましょう。痛いところがあったらすぐに教えて下さいね。

プレオルソのメリット(優位性)

矯正してることを気付かれにくい

学校にはしていかず家庭内でのみ行うプレオルソ。気付かれる心配はないですし何処かに置き忘れることもありませんです。

歯ならびが悪くなることを予防出来る

それを主たる目的にして居ます。発想としては悪くなってから治す・・・のではなく悪くなる前に受け皿を整えておくって感じでしょうか。

比較的に痛みが少ない

理屈としては80年以上も前から使われ続けている『機能的顎矯正装置』ってヤツを新素材のマウスピースに改良した矯正方法です。素材の進化の恩恵でしょうか、比較的に痛みにくいです。少なくともワイヤーを用いた本格矯正(Ⅱ期治療)とは異なります。

取り外すことが出来る

万が一痛んだりした場合には御自身で外すことが出来ますし、効果もコントロール出来ます。

お口周囲の筋肉バランスを整える

親御さんが非常に気にされている『お口ポカン』に代表される口呼吸を鼻呼吸へと促します。

プレオルソのデメリット(欠点)

お使いいただけないと絶対に治りません

御相談いただいた時にキチンと説明するのは実はこれのためです。御本人には理解は難しいかもしれませんが、少なくとも親御さんには完全に御同意いただいて全面的に御協力をお願い出来ないと治療法として成立しません。キチンと使っていただけるか否か・・・おそらくはそこが最大のネックです。
定期的な来院時にプレオルソそのモノを御持参いただくようにしておりますが、効果が出てるお子さんのそれはボロボロとは申しませんがお使いいただいた分、劣化して来ています。
中には半年ほど経っているのにも関わらず新品同様の綺麗さのお子さんもいらっしゃるのですが、歯並びにまったく変化が無いこともあったり致します。(泣)

細かい点までの矯正は難しい

本格矯正(Ⅱ期治療)とは異なります。基本的には大まかに正常咬合へ導くことを目的にしているので、各歯1本毎に微調整は出来ません。そもそもの捻転歯(ねじれた歯)は治せません。それでも受け皿となる顎の発達を促しておけば本格矯正(Ⅱ期治療)も短期間で済ますことが可能になるかと思われます。

執筆・監修歯科医

医療法人SDC 酒井歯科医院の院長 酒井直樹

医療法人SDC 酒井歯科医院
  院長 酒井直樹

1980年 福島県立磐城高等学校卒業
1988年 東北大学歯学部卒業
1993年 酒井歯科医院開院
2020年 医療法人SDC 設立