TONGUE & MOUTH PROBLEMS

不安になる舌やお口のトラブル

御存知のように舌は味覚を感じる器官であり、また形を自在に変えることで発音や咀嚼(そしゃく)と言った人間として欠かすことが出来ない基本行動のサポートを担う器官でもあります。舌は筋肉で出来ていて、その表面には舌乳頭(ぜつにゅうとう)と呼ばれる細かい突起が密生し、その裏側は粘膜で覆われ小唾液腺が分布して唾液を分泌しています。

PRECIOUS TONGUE

欠かすことが出来ない存在・・・舌

普段 存在をそれほど意識はしませんが、舌は常に飲食物や唾液などの刺激を受け続けますし、すぐ脇の歯や硬い食物などによって物理的なダメージを受けやすい器官でもあります。うっかり噛んでしまっていやな思いをした方も大勢いらっしゃろうかと思います。
こちらのページではその舌や口腔内軟組織に生じる様々なトラブルをまとめてみました。

発音や咀嚼に欠かせない舌の存在

まずは口腔内を拝見させて下さい

私自身もうっかりと傷付けてしまったり、口内炎が出来て触れると痛かったりといった経験はモチロンのことながらした事があります。大概のトラブルは心配は要らないのですが、中には全身疾患の一症状として表れてくるモノもありますし、見ただけでは解らない訴えもあったり致します。
ハッキリと判断が付かない折には口腔外科を紹介もいたしますが、まずはチェックさせていただけると宜しいように思います。

まずはご相談下さい

口腔内の様々なトラブル

部位別にチェックして参りましょう。

歯ぐきお口

TONGUE TROUBLE

舌のトラブル

こちらには各種の舌のトラブルをイラスト入りでまとめてみました。御自身のお口の中と見比べて御確認下さい。

口内炎黒毛舌白板症
白斑症
紅板症地図状舌血腫(血豆)
舌炎舌苔舌癌
舌痛症

口内炎

口腔粘膜や舌に炎症が生じるトラブルです。口腔内や口唇・舌の粘膜に炎症が生じ水疱・びらん・潰瘍等の粘膜病変を生じるものを指します。
原因はさまざまで、むし歯による歯の鋭縁や不適合な入れ歯による粘膜への刺激であったり、細菌・ウイルス・真菌などの感染も考えられますし、自己免疫疾患や全身性皮膚疾患によるものも挙げられます。
口腔衛生が保たれていないことや、栄養不足・ストレスも原因になり得ますので厄介です。
日常的によく見られる症状であり、接触時に痛みを伴うのが特徴です。数日で治る軽度なものがほとんどですが、中には重篤な全身性疾患に起因するものも考えられます。長引く口内炎には重篤な病気が隠れている可能性もありますのでご相談下さい。

口内炎①

口内炎②

黒毛舌(舌が黒くなった)

舌が黒褐色に見える場合には黒毛舌が疑われます。細菌の繁殖や飲食物や喫煙が原因で起きることもあります。まれに黒色腫などの腫瘍の場合もありますので違和感を感じたら口腔外科で相談なさるのが宜しいと思います。
舌に毛が生えたように見え、多くは黒色なので黒毛舌と称します。悪い病気ではありませんので御安心下さい。
抗生剤の副作用や口腔内を不潔にしていると生じやすく、口腔内の細菌の状態が悪くなり菌交代現象として黒色色素を産生する嫌気性菌や真菌が増殖したと考えられています。抗菌剤(抗生物質)の服用を中止したり体調が回復すれば自然に治ってきます。

黒毛舌

白板症・白斑症

粘膜にわずかに隆起する白い病変のことで、擦っても剥離できないものを称します。扁平上皮(へんぺいじょうひ)がんへの前癌病変とされており、がん化率は10%前後です。
中高年男性の割合が高く、発症しやすいのは舌・口腔底部・頬粘膜です。一般に痛みは生じませんが、しみたり痛みがある場合には癌化している可能性が否定出来ません。口腔外科での組織検査による確定診断が必要です。治療は切除またはレーザーによる蒸散等になりますが、切除しないケースでは定期的な経過観察の必要があります。

白板症・白斑症

紅板症

舌・歯肉・口腔粘膜に発生します。鮮紅色でビロード状を呈し表面は平滑な病変です。境界は明瞭なものが多いようです。
初発症状として多くの症例で刺激痛が認められ、一般的に50歳代以上の高齢者が全体の80%を占め紅板症の50%前後が悪性化すると言われています。外科的に切除するのが望ましく、悪性化する可能性が高いため治療後にも経過観察を行う必要があるようです。

紅板症

地図状舌

地図状舌とは地図のような白と赤の斑模様が舌の表面にみられるトラブルのことです。こういった状態は1~5%程度の人に見られる病気で時には幼児にみられることもあります。
自覚症状はほとんどなく、場合によっては赤い斑の部分がピリピリしたり若干の違和感を覚えたりしみたりすることもある病気です。
その模様は日によって変わり、数日から数週間で模様が消えることもありますが、基本的には数か月から数年間この模様が見られる病気です。
地図状舌は未だにその原因が明確にはわかっておりません。風邪や疲労などの体調不良を伴う発熱と関係してこういった状態が現れることがありますし、過度なストレスや睡眠不足、不規則な生活、ビタミンBやミネラル等の摂取不足などによる生活の不調にも原因があるとも言われています。 場合によっては金属アレルギー・他の粘膜疾患・顎の病巣が関係している可能性も否定出来ないので検診を受けることも大切かと思われます。

地図状舌

血腫(血豆)

血種とは、見た目は境界明瞭で赤色から暗赤色の半球状の膨隆であり、口の中にできてしまった血豆のことです。通常は半球状に口腔内に膨隆しているので舌で触れた時に違和感を自覚して受診されるようです。一般的には頬の内側に出来る事が多いですが、舌や頬を噛んでしまったり就寝中に噛んでしまって出来てしまいます。
言わば咬傷なのですが、原因としては歯ぎしりTCHがお有りで、歯の頬粘膜への圧痕や舌側縁部の圧痕が見られる方に頻繁に目撃致します。またそれが瘢痕化して再度噛んでしまう(噛みやすい)ことが懸念もされます。
噛んで潰れると中から血液成分の混ざった内容物が出てきて消滅します。手足にできる血豆と同じ状態で、咬傷が原因でできた口腔内の血豆は再び同部位を噛む事で血豆がやぶれ自然と消失してしまいます。

血腫(血豆)

血豆と間違えやすいものに良性の血管腫というトラブルがあります。血腫(血豆)と異なり血管腫のサイズはまちまちです。
血管腫は血管組織の増殖と拡張によって腫脹する病態なので、腫瘍ではなく血管組織の奇形と考えられています。血管腫は口唇にも生じたり、表面だけでなく深部にも出来て口腔粘膜組織や舌などの腫脹として確認されることもあります。 粘膜の比較的浅い部位にできると暗赤色の腫瘍として見られるため血豆と似ている部分もありますが、形態は円形とは限らず蛇行する様な形態としても出現致します。

舌炎

舌炎とは舌に生じる炎症の総称のことで、原因はさまざまです。 口内炎も含まれ、アフタ性口内炎カンジダ性口内炎ヘルペス性口内炎などがあり、すべて舌炎と定義されます。
むし歯原因での歯冠崩壊や入れ歯の鋭縁部で傷を作ったり、舌の火傷や被せ物による物理的刺激も口腔内の衛生状態不良も原因になり得ます。
また、全身疾患として挙げられるのはシェーグレン症候群プランマービンソン症候群(鉄欠乏性貧血)悪性貧血(ハンター舌炎、メーラー舌炎)なども原因として挙げられ、2種類以上の修復金属により唾液を介して微弱電流が発生するガルバニー電流が原因となることもあり得ます。 金属アレルギーや食物アレルギー、ウィルスや真菌感染(ヘルペスウィルス口内炎、口腔カンジダ症)などが原因となる事もあります。

舌炎

症状としては、舌の表面が平坦化し赤くなるため外部刺激に対して敏感になったり、ヒリヒリとした灼熱感や接触痛を伴うことまであります。塩味のある食物に対してしみてしまうこともあります。治療には、含嗽剤(うがい薬)があります。

舌苔

舌の表面に付着している白い舌苔(ぜったい)は、食べかすや汚れだったり細菌によるものです。
舌の表面は、しっかり噛んで咀嚼していればきれいな状態を保てるはずで、うっすらと白いのは普通のこと。それが苔が生えたように分厚く白くなってしまうと、口臭の原因になったり味覚を感じにくくなったりします。舌や軟口蓋などに存在し味覚の受容を担う味蕾をカバーしちゃうんですから無理もないですよねぇ。

舌苔が分厚くなる原因、その生活習慣

  • 歯磨きが思うようでなく、お口の中が不衛生
  • タバコを吸っている
  • 食事の際にあまり噛まずに軟らかい物ばかり食べている
  • 口呼吸をしている

しっかりとブラッシングをし、その上に舌ブラシを使って、1日1回でも舌磨きをすることもオススメです。軟らかいモノばかりでなくしっかり噛んで食べることで舌をたくさん動かし舌苔を付きにくくしましょう。また、喫煙は本数を減らしたり禁煙したりすることで舌苔の原因を軽減できます。

舌苔①
舌苔②
舌苔③
舌苔④

舌癌

舌癌とは、舌前方2/3と舌の縁や舌下面に発生する悪性腫瘍のことで、口の中に発生する癌の約50~60%を占め最も発生頻度が高いです。
男性に多い傾向があり、50歳~70歳代に発症することが多いですが、20歳~30歳でも発症することがあります。
舌癌の原因は明らかではないですが、飲酒や喫煙などの化学物質による刺激や、歯並び不正で歯が常に舌に当たったり、合わない入れ歯むし歯の鋭縁が当たる機械的刺激が誘発すると考えられています。舌癌のほとんどは扁平上皮癌ですが、ごくまれに肉腫も発生します。

舌癌の症状

  • しこりがある(触れると硬い)
  • 舌の粘膜に白や赤の色の変化が確認出来る
  • 舌粘膜のただれや口内炎のような症状ができてから2週間以上続く
  • 舌を動かしにくい
  • しびれや麻痺が認められる
  • 味覚障害がある
  • 少しの刺激で痛む

芸能人の方の舌癌報道等もありましたが、舌に出来る口内炎と舌癌との違いとしては、口内炎は触れただけでも痛みが出ますが、舌癌はよほど大きくならないと通常は痛みが出ません。
最大の違いは、口内炎だったらおよそ二週間で消失する点であります。長引く際にはご相談下さい。

舌癌①
舌癌②

舌痛症

原因不明の舌の慢性痛が舌痛症です。舌そのものには炎症・潰瘍などの明らかな病変が認められず機能や色調も正常なのに、御本人だけが舌に慢性的なひりひり感やぴりぴり感などの痛みを訴えるのが特徴とされます。
未だに詳細は解明されては居ないのですが、脳が『心の痛み(ストレス)』をキャッチした際に間違って『カラダが痛い!』というシグナルを出すためだと考えられています。中高年の女性に多く見受けられ、食事中や何か他のことに気を取られているような際にはこれといった痛みを感じないことが多いことも特徴とされ、歯科心身症の代表的な疾患に挙げられており、治療法としては抗うつ薬を中心とした薬物療法が用いられます。
ポイントは『痛い!』と盛んに仰るけれど舌には何らの異常も認められない点です。痛みを抑える脳内ホルモンの働きがストレスによって低下したり、神経の過敏化も痛みを強化する一因だとされています。
舌炎による舌痛、ドライマウスにより生じる舌痛、歯ぎしり由来の咬耗による歯および補綴物鋭縁、舌癖による舌痛などと見極めることがポイントとなります。

舌痛症のポイント①

舌痛症のポイント②

GUM PROBLEMS

歯ぐきのトラブル

こちらには各種の歯ぐきのトラブルをイラスト入りでまとめてみました。御自身のお口の中を参照し御確認下さい。

口唇口内炎上唇小帯舌小帯短縮症

口唇口内炎

口内炎と言えばむしろこのイメージの方が強いかもしれません。
私自身、モチロン口内炎を経験したことはありますが、舌に出来たことはなくていつも口唇(しかも下唇)に出来ます。患者さんの口腔内では様々な箇所・・・頻度高く舌にも見掛けるので不思議な気も致します。

口内炎(口唇)

上唇小帯

イラストのように上唇の裏側中央から歯ぐきに伸びるスジを上唇小帯(じょうしんしょうたい)と呼びます。誰にでもあります。
この上唇小帯は、成長と目立たなくなるのでそのままで構わないのですが、時折上の前歯が永久歯に生え変わってるのにド真ん中の歯と歯の間に小帯が残っちゃってるような場合を上唇小帯の付着異常と判断致します。
問題となるのは、そういった場合にイラストのように永久歯の真ん中が閉じることができずに離れたままの正中離開になってしまう点です。

上唇小帯①

歯並びの問題のみならず、歯磨きの際に歯ブラシが小帯に当たってしまうために磨き残しが多かったり歯肉炎やむし歯リスクが高くなるので注意が必要になります。
最良の選択肢は、ごく少量の局所麻酔をした後、レーザーで切ってしまう上唇小帯切除術だろうと考えます。レーザー故に縫合も要りませんし、ダメージも少ないです。
もっとも、ほとんどのケースでは経過をみていただいて大丈夫で、細ければ自然に切れることもありますから急がなくて宜しいようには思います。

上唇小帯②

舌小帯短縮症

舌小帯短縮症は、舌の裏側にあるスジ状の組織が舌の先から歯ぐきに伸びているために舌の動きが制限される先天性のトラブルです。それ故に赤ちゃんの時期に授乳・哺乳が困難だったり、3~5歳になっても発音がはっきりしなかったりいたします。
程度にもよりますが、発音障害(特にラ行、タ行、サ行)・舌突出癖・咀嚼障害などの原因になると言われます。4~5歳ごろまで経過観察を行い、発音や構音の障害(しゃべり方がおかしい?)を感じる様でしたらご相談下さい。

舌小帯短縮症
舌の先端がハート型になる

MOUTH TROUBLE

お口のトラブル

口腔粘膜疾患は、挙げればそれこそ枚挙に暇が無いのですが、今後 様々な口腔粘膜疾患の紹介を充実させて参ります。

歯痕舌

コロナ禍におけるストレス過多やマスク装着のデメリットが取り沙汰される昨今ですが、ここ暫くでこういった方は随分と多くなりました。
TCHの頻度が増した分、舌が歯に圧迫もされましょう。逆に舌の筋肉が弱り常に舌が下顎に落ち低位を来たしダラっと広がってしまっていることも考えられます。低位舌は口呼吸の人に多いので注意が必要になります。

歯痕舌

粘液囊胞(のうほう)

食事中に口の粘膜を咬んだり歯ブラシ等の異物で傷付けることにより唾液が出てくる管が塞がれてしまい唾液が貯まったり、本来なら外に排出される唾液が粘膜の下に貯留して袋状になったモノを指します。下唇舌下面に多くみられます。
中でも舌下腺から分泌された唾液が口底部に貯留して生じる粘液嚢胞をガマ腫と言ったりもしますが、口腔領域における軟組織嚢胞の大部分が口唇に出来るこれだったり致します。

粘液囊胞(のうほう)

この囊胞は破けると一時的に小さくなり、小さなお子さんの場合にはそのまま治ってしまうこともよくあります。レーザーで除去出来る大きさのモノは当院でも施術可能ですが、唾液腺の根が深く何度も再発する場合には口腔外科での根本的な手術をオススメしています。
口腔内の唾液腺は無数にあるので、その一部を取り除いてもドライマウスを引き起こすようなことにはなりませんので御安心下さい。

執筆・監修歯科医

舌や口腔内のトラブル