歯が溶ける? 酸蝕症とは?-いわき市(中央台)の歯医者なら酒井歯科医院 │ラパーク最寄り

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知らぬ間に歯が溶ける、酸蝕症

酸蝕症とは?

歯の酸蝕症の原因

多くの方が聞き慣れないかと思いますが、ここ十数年で酸蝕症(さんしょくしょう)なるモノがむし歯歯周病に続く第三の歯の疾患として注目されるようになって参りました。
我々の歯の表面はエナメル質という身体中で一番硬い組織によって覆われています。言うなれば鎧(よろい)だの兜(かぶと)だのを身にまとってるのと一緒で本来はとても丈夫なんですが、このエナメル質は実は想像以上にに弱く無意識に摂取してる酸性度合いの高い飲食物に長時間晒されていると意外に簡単に溶けてしまうのです。(泣)

酸蝕症の実際

酸蝕症の実際の例

実際の例をご覧に入れますと、写真の様な状況になります。歯の表面がクレーター状に凹んでしまってるのがお解りいただけますでしょう。これはモチロン通常の歯の形状ではありません。
この方は、小さな金属の詰め物こそありますが、決して歯の質が弱い方ではないように思います。ですが、明らかに歯の表面がむし歯原因ではなく欠損してしまってることにお気付きいただけますでしょう。
このように歯の表面のエナメル質が溶けてしまうと直下の比較的に柔らかい象牙質がむき出しの状態になり、更にどんどん磨り減りやすくなってしまうのです。

感覚の無いエナメル質と違ってこの露出した象牙質は敏感ですので、放置しておけば冷たいモノがしみて困る知覚過敏を引き起こしたり、むし歯が更に進みやすくなるという様々なトラブルを引き起こすことになってしまいます。
この状況を『歯の酸蝕(さんしょく)』と称し、その酸蝕によって歯が目に見えて異様に溶けてしまった状態を『酸蝕症(さんしょくしょう)』と呼びます。 例を挙げますと、就寝前に酸性度合いの高い飲み物を口にしてそのまま寝てしまいますと、唾液による自浄作用(中和等)を受けずに長時間に渡り歯は酸に晒されることになるのでエナメル質が酸蝕症になってしまうリスクが高まります。
こちらのページでは原因と対策を中心にお伝えして参ります。
また、合わせてこちらも御確認下さい。

 「ペットボトル飲料の糖分含有量の目安」はこちら

酸蝕症の原因は?

むし歯歯周病に続く第三の歯の疾患と言われる酸蝕症、割合としては4人に1人程度だそうで、御本人はお気付きでないにしてもそれは実際に歯科医療に従事する私共の実感にも合致致します。
酸蝕症は増加傾向にあり、原因としては欧米型の食生活への変化に加えて健康志向から酸性度合の高い飲料(酢やスポーツドリンク類)を好んで健康に良かれと考えて摂取なさる方々が増えていることが挙げられますでしょう。

酸性度の強い飲食物を口にすることを外因性要因と考えれば、それ以外の原因としては体内から口の中に酸が出てくることによる内因性要因やその他も考えられます。

外因性の原因

酸性度の高い飲食物(pHが5.5以下)や医薬品・サプリメントなどを過剰に摂取する事が考えられます。過ぎたるは及ばざるが如し・・・具体的には次のような意外と身近な飲食物・医薬品・サプリメントが挙げられます。

<酸蝕症 ー 飲食物による外因性の原因>

  • みかん・グレープフルーツ・レモンなどの柑橘系の果物
  • 果汁から作られたジュース類梅干し
  • 酸性のビタミン剤やクエン酸を含むようなサプリメント
  • アスピリン等の酸性薬剤
  • スポーツドリンク炭酸飲料黒酢・栄養ドリンク・ワイン

具体例としましては、下記の様であります。左半分のオレンジ色の部分が酸性度合いが高く歯の表面のエナメル質を溶かすと言われています。

(クインテッセンス出版さん『nico』からの引用)


飲み物・食べ物の酸性度合い

内因性の原因

逆流性食道炎・胃食道逆流症(GERD)

胃食道逆流症(GERD)、摂食障害(過食症や拒食嘔吐)、アルコール依存症などが挙げられます。

その他の原因

これも外因性と言えばそうなのですが、現在は随分と少なくなりましたでしょうけれど塩酸・硫酸・硝酸などの酸性のガスが発生するメッキやガラス工場等で働く方々や、ワインの試飲を頻繁になさるようなお仕事の方(ワインテイスター)にも多いと言われています。

酸蝕症とむし歯との違いは?

酸蝕症はむし歯と同じように歯の表面が欠損してくるのですが、大きな相違点としてはむし歯の場合には歯の表面が限局的に溶けるのに対して、酸蝕症は歯面全体が広範囲に溶けて来ます
視点を変えると酸蝕症は細菌が関与しないという点でむし歯と異なります

酸蝕症とむし歯との違い

<酸蝕症に特徴的な症状>

  • 冷たいものや熱いもので歯がしみるようになった
  • 歯の一部、特に前歯の先端が透けて見えるようになった
  • 輝くようだった歯の表面にがなくなった
  • 歯の表面にクレーター状の凹みが目立って来た
  • 詰め物に大きな段差や隙間が出て来た

酸蝕症の症状や特徴は?

歯全体が丸みを帯びたり、歯の表面で一番に丈夫であろう噛み合わせの咬頭(とんがりの部分)、もしくは頬側の平らな部分にクレーター状の凹みが生じたり、内部の象牙質(黄色い)が透けて見えたりするので歯の色合いが濃く見えたり、表面がスベスベしてツヤがあったりするのが特徴です。

酸蝕症の見極め方

酸蝕症リスクが高い生活習慣

知らず知らずのうちに・・・ってことが多いように感じられます。日々の生活習慣の中で下記のリストに挙げたような項目に心当たりはありませんでしょうか?
もし該当項目がお有りでしたら十分に御注意下さい。

◆ 飲み物編 ◆


  • 喉が渇いた時に炭酸飲料をよく飲む
  • 運動後にスポーツドリンクは欠かさない
  • テレビや雑誌に健康に良いって書いてあったのでを毎日飲む
  • フルーツジュース野菜ジュースをよく飲む

◆ 食べ物編 ◆


  • 柑橘類が好きでよく食べたり、キウイやレモンもそのままかじれる
  • マヨネーズドレッシングをよく使う
  • 梅干し酢漬けの食品が好きで頻繁に食べる
  • クエン酸入りサプリを毎日服用している

◆ その他編 ◆


  • 果物や飲酒した後にすぐに歯磨きをする習慣がある
  • ゲップをした際に、口の中に胃酸の逆流を感じる
  • 拒食症等で頻繁に嘔吐する

上記項目の赤や黒の太字を全面的に否定するわけではありません。当然のことながら私自身も日頃から口にし摂取はしています。
大事なのはナニ事も過ぎたるは及ばざるがごとしってことでしょうか?
こちらに例を挙げますが、テレビ・CMや雑誌で『健康に良い』って聴くと『寝しなにそのまま酢を飲む』ことをしたり『毎日500mlのスポーツドリンクを3本飲む』ようなことをなさる方が多くいらっしゃいます。もしかしたら水だけ飲んでた方がはるかに健康に良かったのでないかと思ったりすることも頻繁にあるんです。

酸蝕症を引き起こすpHが低い飲料って?

上記の一覧写真の様に、pH(ペーハー)が約5.5以下の飲料には注意が必要だと思われます。

酸蝕症に注意が必要なpHの低い飲料

これら以外にもお酢・黒酢はタブーです。一時期 ワイドショー等で健康に宜しいように言われてましたが、確かに身体的にはプラスにはなるのかもしれませんが歯には最悪だとお考え下さい。モチロン酢の物程度に常識的な範囲でいただく場合には何ら問題は無いのですが、寝しなに常飲されてた方でボロボロになってしまった方を多数存じ上げております。(泣)


pHの低い飲料
pHの低い飲料
pHの低い飲料
pHの低い飲料
pHの低い飲料
pHの低い飲料

酸蝕症に注意が必要なpHがわずかに低い飲料

この辺は微妙なエリアって感じでしょうか。飲んだ後にお口を濯ぐようにすれば問題は無いかと思われます。


pHがわずかに低い飲料
pHがわずかに低い飲料

逆に安全な飲料

私が高校生の頃は、部活同時には水道水以外の飲み物はありませんでした。
今どきの中学生や高校生は気の毒です。部活動が始まってスポーツドリンクを多飲するようになると急激に歯が溶け始めます。頑丈なエナメル質が溶けて比較的軟らかい象牙質がむき出しになって来るのでむし歯にもなりやすくなります。
部活同時の飲料としては歯にダメージを来さない水とかお茶(酸性ではなく中性)が適当かと思われます。


pHがどちらとも言えない飲料
pHが安心な飲料
pHが安心な飲料
pHが安心な飲料

 「ペットボトル飲料の糖分含有量の目安」はこちら

酸蝕症の予防策は?

人間の身体ってのは上手く出来てるモノで口の中は通常は中性のpH7前後に保たれています。ですが、飲料や食料もしくは胃酸の影響で酸性度が高く保持された場合には、pHは5.5以下になってしまい歯は一気に溶けやすくなります
とは言え、酸性の飲食物の中には全身的な健康に良質とされている物も多いので完全に否定出来ないのが悩ましい点でもあります。
酸蝕症を予防するポイントとしては次のようなモノが挙げられます。要は酸性の飲食物を長い時間歯の表面に触れさせないってことになりますでしょうか。

<酸蝕症の予防策>

  • 酸性の飲食物を口にした後は水で口をゆすぐ
  • 酸性飲食物をだらだら食べたり飲んだりしない
  • 寝る前には酸性の飲食物を控える
  • フッ素は酸蝕症にも有効なので活用する

就寝中は何方も唾液の分泌量が極端に少なくなり、口腔内のpH(ペーハー)が中性に戻りにくくなります。中でもイビキをかく方は口が乾いてしまうことも手伝って酸性から中性への回復が思うように行きません
 また、酸蝕症の予防策のひとつとして、酸性の飲食物を大量に摂取した直後には歯みがきをしないことも意外に大切なようです。どうしてもエナメル質が軟らかくなっているため、約30分ほど時間を置いたり洗口後に歯磨きをした方が宜しいようです。


こんな食習慣に御注意下さい

実際には酸蝕のみならず、飲み物に含まれる糖分量も問題になります。下記で御確認下さい。

 「ペットボトル飲料の糖分含有量の目安」はこちら

酸蝕症の実際の症例

こちらでは実際に酸性の飲食物でどういった症状が出てしまったのか、私が経験した当院の症例で解説して参ります。参考になさってみて下さい。

就寝前にお酢(pH2~3)を飲んでしまった方

最近はそうでもないようですが、一時期ワイドショーなどで『酢はカラダに良い』ようなことを盛んに放映しておりました。『黒酢健康法』などで検索して見ると確かに間違っては居ないようですし私もそれを否定するつもりはないのですが、この患者さんは就寝前に、しかも苦手じゃなかったそうで濃い方が良いに違いないとお考えになってそのまま薄めもせずに飲んでいらしたそうです。
歯にとっては最悪だったように思えてなりませんです。
左の写真と右の写真の撮影間隔は1年2ヶ月です。長年メインテナンスをさせていただいていて、非常に状況が宜しいように感じて居った方だったのですが拝見して私もビックリしてしまいました。
一切歯磨きをせずに放置してもここまでにはならないので、伺ってみたところ『テレビでやってたから』を鵜呑みにしたのが原因だったようです。(泣)


お酢による酸蝕症の例①
お酢による酸蝕症の例②

クエン酸サプリを舐めてしまった方

クエン酸サプリの梅エキス

この患者さんと長くお付き合いしていて、それほどむし歯の多発傾向は感じて居なかったのですが、ある時に『急にむし歯になっちゃった』と仰って来院されました。
『ん?』と思って口腔内を拝見すると、確かに一部分だけ掛けたりむし歯とかではなく極端に歯が崩壊(溶解?)しておりました。
私も最初 理由が解らずに『特別なモノを飲み始めたりしませんでしたか?』と伺ってみても原因特定に至れず、いろいろとお話を伺っていったところ『そう言えば最近 健康に良いって書いてあったからサプリメントを飲み始めた』とのこと。伺えば梅のエキスを凝縮させた製品とのことでググって確認させていただいたら写真のサプリメントでありました。いわゆるクエン酸サプリってヤツでした。(泣)
こういったモノもすぐにゴックンしてくれていれば問題はなかったんでしょうけれど、『長く舐めていた方が吸収が良いのかと思って・・・そう言えば左下の歯の頬側に置きっ放しでした』とのこと。

クエン酸サプリによる酸蝕症①
クエン酸サプリによる酸蝕症②

二枚の写真の間隔は1年半余りです。『ここまで溶かされちゃうんだ・・・』って我々医院スタッフも驚くばかりでした。
知識さえあれば防げたトラブルです。くれぐれもお気を付け下さい。


歯科医師・酒井直樹

執筆・監修歯科医

医療法人SDC 酒井歯科医院

院長 酒井 直樹

経歴

1980年 福島県立磐城高等学校卒業
1988年 東北大学歯学部卒業
1993年 酒井歯科医院開院
2020年 医療法人SDC 設立