現代病「スマホ首」がもたらす口元のSOS!
こんにちは、いわき市にある酒井歯科医院 院長の酒井です。
近年、私たちの生活に欠かせないツールとなったスマートフォン。
通勤中、休憩中、お子様から大人まで、誰もが下を向いてスマホを操作している姿はもはや日常の風景となっていますね。しかし、この「少し頭を落としたうつむき姿勢」が、実は私たちの体のあちこちに・・・特に口元に深刻な影響を与えていることをご存知でしょうか?

スマホ姿勢は口腔環境にとって大敵?
「スマホ首」とも呼ばれるこの姿勢は、首の骨の自然なカーブが失われるストレートネックを引き起こす大きな原因の一つと考えられています。そして、このストレートネックが、顎関節症や歯ぎしり、さらにはTCH(歯列接触癖)、そしてお口の健康の土台である歯周病までをも引き起こしたり悪化させたりする可能性があるのです。

今回は、この見過ごされがちな現代病「スマホ首」が、あなたの口腔健康にどのような悪影響を及ぼすのか、そのメカニズムと対策について詳しくお話ししたいと思います。
ストレートネックが引き起こす顎関節への悪影響
ストレートネックとは?
「ストレートネック」とは、通常緩やかなS字カーブを描いている首の骨(頚椎)がまっすぐになってしまう状態を指します。スマホを長時間操作する際に頭を前に突き出す姿勢が続くことで、首や肩の筋肉が常に緊張し、この本来あるべきS字カーブが失われてしまうのです。


ストレートネックが顎関節に与える悪影響
では、なぜストレートネックが顎関節に悪影響を与えるのでしょうか?
それは、首と顎が非常に密接な関係にあるからです。
私たちの頭は、約5~6kgの重さがあると言われています。ストレートネックになると、この重い頭を支えるバランスが崩れ、頭が前方に突き出た状態になります。すると、頭の重さを支えるために、首や肩だけでなく顎周りの筋肉にも過剰な負担がかかるようになります。

顎関節は、下顎の骨と側頭骨をつなぐ、体の動きの中でも特に複雑な動きをする関節です。この顎関節は、首や肩の筋肉と密接に連携しています。ストレートネックによって首や肩の筋肉が緊張すると、その影響は顎周りの筋肉にも波及し、顎関節の動きが制限されたり不自然な力が加わったりします。
これにより、以下のような症状が現れる可能性があります。
- 顎の痛み:口を開け閉めする際に、顎の関節や周囲の筋肉に痛みを感じる。
- 口が開けにくい:顎関節の動きが悪くなり、口を大きく開けられなくなる。
- 顎から音がする:カクカク、ジャリジャリといった異音がする。
- 顔の歪み:顎関節のバランスが崩れることで、顔の左右のバランスが崩れる。
これらは、まさに顎関節症の典型的な症状です。スマホの使い過ぎでストレートネックになり、結果的に顎関節症を引き起こしてしまうケースが残念ながら増えているのが現状です。


歯ぎしり・TCH、そして歯周病への影響
ストレートネックが顎関節症を引き起こすだけでなく、歯ぎしりやTCH(歯列接触癖)、さらには歯周病の進行にも影響を与える可能性があることをご存知でしょうか?


歯ぎしりやTCHとの関連
まず、歯ぎしりとTCHについてです。
歯ぎしりとは、睡眠中に無意識に歯をギリギリとこすり合わせたり、強く噛み締めたりする行為です。TCH(Tooth Contacting Habit:歯列接触癖)は、日中の覚醒時に無意識のうちに上下の歯を接触させてしまう癖のことです。
これらの癖は、ストレスや噛み合わせの不調など、さまざまな要因で起こると言われています。しかし、ストレートネックが原因で顎周りの筋肉が常に緊張し、顎関節のバランスが崩れていると、無意識のうちに顎の筋肉を緩めることが難しくなり、歯ぎしりやTCHを誘発・悪化させる可能性があります。
歯ぎしりやTCHは、歯に過剰な負担をかけます。これにより、歯が削れたり、ひびが入ったり、詰め物や被せ物が破損したりするだけでなく、歯の根に負担がかかり知覚過敏までをも引き起こすこともあります。
歯周病との関連性
次に、歯周病との関連性についてです。
歯周病は、歯を支える骨や歯茎が破壊される病気で、進行すると歯が抜け落ちることもあります。歯周病の主な原因は、お口の中の細菌(歯周病菌)ですが、噛み合わせの不調や歯への過剰な負担は、歯周病の進行を加速させるリスク要因となります。
ストレートネックによる顎関節の不調は、結果的に噛み合わせのバランスを崩すことがあります。特定の歯にばかり負担がかかったり、本来均等にかかるはずの力が偏ったりすることで、歯周組織への負担が増大し、歯周病の進行を促進する可能性があるのです。

酒井歯科医院では、患者さんのお口の健康を総合的に診ることを重視しています。そのため、単に虫歯を治療するだけでなく、こうした噛み合わせや顎関節、さらには姿勢といった全身との関連性まで考慮した情報提供を行っています。また、口腔内の健康を維持するためのメンテナンス重視の姿勢で、常勤歯科衛生士が複数人在籍し、きめ細やかなケアを提供しています。
よくある質問(FAQ)
Q1:ストレートネックは、歯科で治療できるのでしょうか?
A1:ストレートネックそのものを歯科で直接治療することはできません。しかし、ストレートネックによって引き起こされた顎関節症や歯ぎしり、TCH、それによる歯への影響などについては、歯科で治療や対策を行うことができます。当院では、可能な限り患者さんの症状改善を目指します。
Q2:スマホの使い過ぎで顎関節症になってしまった場合、どのような治療法がありますか?
A2:顎関節症の治療法は、その原因や症状によって様々です。痛みを和らげるための薬物療法、顎関節への負担を軽減するためのマウスピース治療、顎関節や筋肉をリラックスさせるための理学療法、生活習慣の改善指導などがあります。当院では、意外に気付きにくい生活習慣の改善に関して患者さん一人ひとりの状態に合わせたご提案が出来ればと考えて居ます。
Q3:歯ぎしりやTCHは、どうすれば気づけますか?
A3:ご自身で気づかないことも多いですが、朝起きた時に顎が疲れている、歯がしみる、歯がすり減っている、舌の縁に歯型がついている、頬の内側に白い線があるなどの症状があれば、歯ぎしりやTCHの可能性があります。歯科での定期検診で、これらのサインを発見できることもありますのでご相談ください。


スマホと上手に付き合い、健康な笑顔を維持するために
スマホは私たちの生活を豊かにしてくれる便利なツールですが、使い方を誤ると、知らず知らずのうちに体に負担をかけてしまうことがあります。特に、今回お話ししたストレートネックから派生する顎関節症、歯ぎしり、TCH、そして歯周病への影響は、軽視できません。
健康な歯と顎は、食事や会話を楽しむ上で不可欠であり、全身の健康にも深く関わっています。酒井歯科医院では、お口のトラブルの治療はもちろんのこと、病気の予防、そして患者さんご自身が健康な状態を維持できるよう、予防歯科にも力を入れています。
「スマホ首かもしれない」、「顎が最近おかしい」、「歯ぎしりをしていると言われた」、「歯ぐきの調子が良くない」など、少しでも気になる症状があれば、ぜひ一度、いわき市の酒井歯科医院にご相談ください。


当院の常勤歯科衛生士が複数人在籍しており、丁寧なメンテナンスと、お一人お一人に合わせた情報提供で、皆様のお口の健康をサポートさせていただきます。
健康な笑顔で毎日を過ごすために、今こそお口の健康を見直してみませんか?
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