歯科のトピックス

非歯原性歯痛って御存知ですか?

正座をする、時間が経つ、爪先が痺れる、立ち上がれなくなる・・・何方にもそんな経験はお有りになりますでしょう。
これは膝下部分に全体重が乗ることで膝から下の神経や血管が圧迫されるせいですが、『爪先に問題点がある』って考える方はまずいらっしゃらないと思うのです。
それと同様の事が『歯』であり『口腔内』に生じることは案外 知られてないように思います。歯が原因じゃないのに歯が痛いって感じてしまう・・・非常に厄介なトラブルなんです。

歯の痛みにも「① 歯原性歯痛」「② 非歯原性歯痛」ってのがありまして、①は確かに大きなむし歯の存在等で感じるいわゆる『歯の痛み』です。困ってしまうのは②の方です。

歯に原因が存在しないにも関わらず歯に痛みを感じて(錯覚?)しまう歯痛。
食物を咀嚼する程度の咬合圧なら何らの問題も無いかとは思いますが、歯ぎしりに代表されるような無意識下の過大な力で咬合する際や 無意識に常なる歯牙接触癖(TCH)を有する方ば顎への負担・・・とりわけ耳の直前に位置する顎関節には強大な力や持続的な圧迫が加わります。

考えてみればその周辺には口腔周辺に関わる神経走行が束になって存在もします。もしくは強大な力が細かい頭部・顎顔面部の微少な骨を歪めて神経圧迫も生じて参ります。そう考えますと足の痺れと同様に歯に①のような問題が無いのにも関わらず何らかの不快感を生じることがあったりするのも頷けようかと思います。

歯は単なる塊ではなく生体の一部(臓器と表現する方もいらっしゃる)ですので、よく言われる神経も有れば血の通うモノでもあります。
明らかに①のような原因が確認されれば当然治療はするのですが、原因特定が出来ない場合には②由来も少なくないので我々歯科医はすぐには治療しないこともあるのです。
削ってしまったのに実は原因はその歯ではなかった・・・ナンてことになると取り返しはつきません。(泣)

何とかして欲しいといった切なる訴えは理解出来るのですが、原因が歯に無いとなれば・・・そこが歯科治療の難しさでもあります。
②には狭心症や心筋梗塞などの心臓疾患由来の下顎や歯に痛みが生じるケースもあると言われます。胸とかには痛みを感じないのに歯だけに痛みが出て来るケースもあるそうですから侮れないところもありましょう。

『こんなに丈夫な歯なのにどうして痛むんだろ・・・?』なんてお感じの方は②を疑ってみて下さいませ。

酒井直樹

酒井直樹

医療法人SDC 酒井歯科医院 理事長 / 院長

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