歯科のトピックス

スポーツドリンクによる酸蝕症と糖分摂取過多

エネルギー補給に・・・最適?

私が子供の頃には部活時に水すら飲ませて貰えませんでしたけど、今どきは『スポーツドリンク』がありますよね。
汗を掻くことで失われた水分や電解質(Na・K・Ca・Mg)、運動で消費したエネルギーを補給でき、この時期ですと熱中症対策にも有効でしょうから重宝されますが、実は問題点が無いワケではありません。
飲むことを否定こそしませんが、歯にダメージが来てしまうことを皆さんは御存知でしたでしょうか?

歯にはマイナスにもなり得るという事実

我々歯科医は、むし歯とはまったく無縁だった児童&生徒さんが、成長なさって小学校高学年から高校卒業頃までのクラブだの部活が始まった途端におかしくなってしまうことに危惧を覚えており警鐘を鳴らし続けております。
身体に良かれと思っての飲み物の摂取が、実は種類によっては歯には大きなマイナスになることを御理解願えると宜しいように思うのです。

pH(ペーハー:酸性度合い)を意識願います

酸蝕症(さんしょくしょう)』というトラブルがあります。
歯は酸で溶けてしまうのです。最悪なのは『酢』ですが、それ以外にも歯はpH5.4で溶け始めると言われますのでpH3.5と言われる一般のスポーツドリンクは確実に酸性度が高い飲みものと言えますでしょう。
つまりはスポーツドリンクを飲み過ぎると・・・もしくはチビチビ飲んでいると酸に触れ続けた歯が溶けちゃうことにもなります。水・お茶・麦茶とかなら中性飲料ですからそんなことは引き起こしません

健康を害するほどの糖分摂取量

加えて糖分がなぁ・・・(泣)
冷たいとそれほど感じませんけど、実際問題としていわゆるスポーツドリンク(500ml)には角砂糖にして9個分もの砂糖が含まれているんだそうです。もうそれだけでWHO(世界保健機関)が推奨する1日の砂糖摂取量の目安25グラムを上回ってることを鑑みますと『身体には決して宜しくない』状況とも言えましょう。

知識さえあれば防げた悲劇

かつて三歳児検診でほぼ全ての歯が崩壊してるお子さんに出会いました。
ほとんどのお子さんが『3歳=むし歯ゼロ』であることから異常を感じて傍らのお母さんに『もしかして特別な飲み物など・・・?』と伺ったところ、『身体に良いので食事の時にスポーツドリンクを飲ませてます!』と胸を張っておられました。
育ち盛りにナニも噛めなくするのとどちらがそのお子さんにとって正解だったんでしょうか・・・知識さえあれば防げた悲劇と感じも致しました。

モチロン、熱中症でグッタリされてる時などには有効でしょう。ただ、頻度高く常飲し続けると酸蝕症トラブルやむし歯誘発に見舞われることも御理解願えると宜しいように思います。

酒井直樹

酒井直樹

医療法人SDC 酒井歯科医院 理事長/院長

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