院長の研鑽

『移植・再植から見える歯と歯槽骨の関係』を学ぶ

かつて私の歯科医院が位置する『いわき市中央台』では児童数がモノ凄く多い時期がありました。いわゆるマンモス小学校だった時(児童数千名以上)には何度か経験もしましたし、勤務医時代にはすぐ近所に小学校があったがためにそれほど頻繁に遭遇することはありませんでしたがやはり何度か経験致しました。

歯(特に前歯)の完全脱臼

歯の脱臼・・・・『ナンのこっちゃ?』だろうかと思いますが、友達と戯れていたりする際に肘が顔面を襲うといったケースが一番に多かったように記憶しています。
瞬間的に強大な外力が前歯に加わり、大人だったら歯が折れるところを骨(歯は骨に埋まって支えられてます)が軟らかい小学生などはスポッと抜けてしまうのです。(汗)

上手く行けば戻せます!

その折に求められるのは、速やかに牛乳に入れたり、最悪は気持ちが悪いだろうけれど口腔内で飲み込みに注意しながら脱落歯牙を舌の上に載せて30分以内に最寄りの歯医者に駆け込むことなのです。
その際に大事なのは、歯根の周囲に付着してるヌルヌルっとした歯根膜の存在。これが乾燥されずに維持されれば復旧は可能だったりすることを御存知でしたでしょうか?
現場が学校であれば養護教諭の先生が御存知なのですぐに歯科医院受診が可能となり救えたりするのです。

意図的に再植する!?

その生体の回復力を利用して、難治性のトラブル時に再植を応用となさるのがリアルな実地セミナーでも御教授いただいた事がある月星先生であります。
再植や移植(歯の位置を変える)と歯を支えてくれている歯槽骨との関係性を纏めて下さっていて勉強になりました。明日の臨床にすぐに活かせるモノではありませんが、知識として頭の片隅に残しておきたく思います。

再植が上手く行かなかったケース

経験上ではありますが、脱落後 半日以上経過しては・・・・もう無理です。(泣)
ティッシュに丁寧に包んでカピカピに乾燥しちゃってた時も・・・ダメでした。
綺麗好きなお子さんだったからか、歯根周囲のヌルヌルとした歯根膜を綺麗に取り去ってしまってたお子さんもダメでした。(泣)
考えてみますと、10歳にも満たない年齢から上顎前歯部が無くなる・・・って大変なことであります。
一番には脱臼しないことなのですが、万が一にも脱臼してしまった際には『乾燥させずに、弄らずに、速やかに歯科へ』がポイントになることを覚えておいていただけると宜しいように思います。

備忘録的に歯科医師会の雑誌掲載の表題に関わる『要約』を引用しておきます。

顔面の発育の 1/3は,歯の萌出によって行われる。
逆に,歯または歯根膜が喪失すると,歯槽骨(顎堤)は吸収,減少する。その一方で,歯周炎で失われた歯槽骨を再生させる術式が盛んに開発されている。しかし,どのような時に,どれくらい骨が喪失,あるいは再生するかについての明確な答えはないように思われる。本稿では,移植,再植の臨床例を通して,骨吸収と骨再生のメカニズムを紐解こうとするものである。

日本歯科医師会雑誌22年5月号『移植・再植から見える歯と
歯槽骨の関係』より




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