治療に関すること

「歯ぎしり」と「逆流性食道炎」との関係性

逆流性食道炎って耳にした事がありませんか?

逆流性食道炎とは、文字通りに本来なら逆流するはずの無い胃酸や胃の内容物がその手前の食道エリアに逆流することによって炎症が起きる病気です。
大袈裟に言うと胃の中においては何でも溶かすことが出来る胃液(胃酸)がひとたび逆流するようなことがあると、胃液は強酸性ですから食道は耐えられないんだと思われます。

私だけではないと思うのですが、何方も「胸焼け」を経験したり「 喉の奥に酸っぱいものがこみ上げてくる」といった経験をしたことがあろうかと思います。
これは胃液が食道に逆流して起こる症状で、一時的なモノは問題にならなくとも中長期的に逆流症状が続く場合は逆流性食道炎の疑いが濃厚です。

歯との関わりは何でしょう?

逆流性食道炎を理解はしても、さて それが『歯』や『歯ぎしり』とどういった関係にあるんでしょうか?
実はここに深い関わり合いがあるんです。それは、強酸性の胃液が口腔まで逆流することで、それが歯に触れることで「酸蝕症」を引き起こしかねないことが想像されるからであります。

酸蝕症は困ったトラブル・・・

酸蝕症はここ数年 問題になっている歯のトラブルで、酸性の飲食物などで歯が溶けてしまうことを示します。酢などに代表される強酸性の食品を日常的に摂取することで徐々に歯が溶かされて行ってしまう困ったトラブルでもあります。

一般的には、口腔内は時間経過に伴い唾液のもつ緩衝作用で口の中は中性に戻され、歯の修復機転である「再石灰化」により酸によって歯の表面の溶けた部分が修復されるように出来ているのですが、胃酸が逆流し続けてしまうと口腔内が酸に晒される時間が長くなり再石灰化が間に合わずに酸蝕歯になってしまうのです。
これが厄介なことでして、歯の表面をガードしてくれてるエナメル質が酸蝕で溶けてしまい歯の内部の象牙質の部分がむき出しになってしまうのです。

歯ぎしりによってナンとか中和しようとする

歯ぎしりに伴う歯の摩耗は宜しくは無いのですが、酸蝕症対策という観点からすれば理に適った身体の仕組みと言えるのかもしれません。何故かと申しますと・・・
歯ぎしりには「唾液の分泌を促す」作用があるからであります。考えてみれば夜間の睡眠中は体を横にしますよね、胃酸が逆流して来やすいのも宜なるかなであります。

歯ぎしりは唾液の分泌を促してくれる

胃液の逆流で酸性に傾いてしまった口腔内を中性に戻すには唾液の分泌を促す必要があります。人間の体ってヤツは実に上手く出来てまして、しきりに口を動かしたり歯ぎしりをする事で唾液腺を刺激し、唾液の分泌を促進させていることが解って参りました。

酸蝕症予防には歯ぎしりは欠かせない?

食道内に入り込み、口腔内に接近する胃酸を唾液で中和するためにも「歯ぎしり」は必須な行為とも言えるかもしれません。

悩ましい歯ぎしりの功罪

歯ぎしりをすることで我々は自己防衛のシステムを作動させますが、その反面で、歯ぎしりを続けて極端に歯を摩耗させたり歯周病を促進させてしまうのも宜しいことではありません。また、顎の関節にも負担をかけ顎関節症や頭痛・肩こりといったマイナスの諸症状を引き起こす可能性も否定出来ないのです。
では、酸蝕症回避の為の歯ぎしりのメリットを生かしながら歯や歯ぐきを守るにはどうすればよいのでしょうか?

ナイトガードの活用

ナイトガードとは、文字通り夜間就寝中にマウスピースを装着していただくことで歯ぎしりによるダメージから歯を保護するモノであります。
マウスピースを装着している状態で歯ぎしりをしても、少なくとも歯の摩耗は防げるはずです。一説には顎関節にかかる力も軽くなり顎関節症予防にも通じると言われております。

ナイトガード(マウスピース)は保険でも認められます。逆流性食道炎と診断された方は活用なさると宜しいのかもしれませんね。

酒井直樹

酒井直樹

医療法人SDC 酒井歯科医院 理事長/院長

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