院長の研鑽

歯並び不正は口呼吸を鼻呼吸へ改善させることで予防が可能

自分で研究し調べたわけではないので確認を持って言えることではないのですが、野生動物で『歯並びが悪い』ってことは基本的に有り得ないのではないか、本来は鼻呼吸するはずなのに口呼吸をしてしまってる動物は珍しいのではないか・・・そう思ったりいたします。
確かに数万年の歳月が流れれば人間も生物として進化・退化を引き起こし変わって行くことも理解はできますが、昭和~平成~令和という短期間での変化には臨床に携わり低年齢の児童の口腔内を拝見する立場として驚くことが随分と増えました。

激増する歯並び不正のお子さん達

例えば本日も小学校の歯科検診に伺ったのですが、ここ数年は特に歯並びの良好な児童を見つけることが難しくなりました。不正咬合の判定もせねばならないのですが、基準レベルをどうすれば良いのかを迷うこともしばしば生じるようになりました。同時に先天的に永久歯が何本か存在しないケースも散見するようになりました。

歯科医師になったばかりの30年以上前にはもっともっと珍しかったように記憶してるのですが、先天的欠如はひとクラスにお二人ぐらい居るような感覚さえあります。

歯科界が歯並び不正に対し警鐘を鳴らしてる

私が歯学部の学生だった頃には来たる少子化の煽りを受けて小児歯科や小児の矯正歯科は先細りの選択肢というイメージが有ったのですが、7~8年ほど前からは歯科のトレンドは小児歯科や矯正歯科の話題ばかり・・・・モノ凄い勢いで悩める小児が激増状態のようにも感じて居ります。

歯並び不正のお子さんは、口呼吸で『お口ポカン』のケースが多く、併発するように鼻づまりなど鼻疾患が多く見られアレルギー症状に悩んでいるようにもお見受けします。顔貌にも変化が生じて来て、真っ正面から見ると顎が細って、横から見ると口唇が突出しているようにも見えます。
スッキリした顔が素敵・・・なんて言ってる場合ではありませんね。
生物としての基本となる呼吸や咀嚼が阻害されていては摂食嚥下もまともに出来ないようになってしまいます。(泣)

顔貌の未来予想

日本歯科医師会では、会員の研鑽のために毎月タイトル写真の様な生涯研修の課題を提供してくれるのですが、その中の写真から拝借を致します。ある高校の卒業アルバムから75年前・25年前・25年後・75年後の顔の変化予測した画像になります。今どきの若者には急激にこんな変化が生じてるようです。

若者に見られる顔貌の変遷

鼻呼吸へ改善させてこれらを防ぐ?

現代においては様々な進化が凄まじい勢いで起こって来てることを否定は出来ませんでしょう。
そんな中、噛まなくなってしまった人類は本当に進化していると言えるんでしょうか?・・・そんな警告が歯科界から盛んに発せられてるって御存知でしたでしょうか?
見方を変えれば、むしろ病変なるものを自らが作り出し、それを自分達の努力で必死に治そう治そうと試みる・・・そんな姿に見えなくもありません。
食べる・呼吸する・会話する・・・表情ですら表すことが出来る口腔の大切さは未来永劫欠かせませんでしょう。
本日の検診でも『ナニかが可笑しくなりつつある』想いを新たにして参りました。

口呼吸は低位舌を引き起こしたり顎顔面の発育不足を生じさせます。諸トラブル回避の為にも舌を挙上して上顎に密着させ、鼻呼吸に改善を図ることが急務と考えられます。

鼻呼吸ではなく口呼吸が正解
【左】本来の鼻呼吸 【右】歯並びを悪くさせる口呼吸


酒井直樹

酒井直樹

医療法人SDC 酒井歯科医院 理事長 / 院長

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