舌がんは、口腔がんの中でいちばん多いがんです。大きな原因は喫煙と飲酒ですが、尖った歯や合っていない被せ物などが舌に当たり続ける「慢性的な刺激」も、危険因子の一つとされています。そのため、お酒やタバコをやらない若い方に見られることもあります。この記事では、舌がんの原因と歯並びとの関係、口内炎との見分け方、今日からできるセルフチェックを、いわき市の歯科医師がお伝えします。
「口内炎かも?」と不安な方へ
こんにちは。いわき市中央台の酒井歯科医院です。
ニュースなどで「若い人の舌(ぜつ)がん」の話題を目にして、不安を感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「お酒もタバコもやらないのに、なぜ?」
「口内炎がよくできるけれど、もしかして…」


舌がんとは?お酒やタバコをやらない人にも
舌がんを含む口腔がんは、長いあいだ「お酒やタバコの習慣がある中高年の男性に多い病気」とされてきました。今でもその傾向は変わりませんが、女性や若い方、お酒やタバコの習慣がない方の発症も報告されています。口腔がんの患者数自体も、この数十年で増える傾向が続いています。「自分には関係ない」と思わず、一度知っておいていただきたい病気です。

舌がんの原因と、歯並びとの関係
主な原因は、喫煙・飲酒と「慢性的な刺激」
舌がんの大きな原因は、喫煙と飲酒です。そのほかに、お口の中が清潔に保たれていないことや、歯や被せ物が舌に当たり続ける「慢性的な刺激」も、口腔がんの危険因子として診療ガイドラインに挙げられています。

現代人に多い「狭い歯並び」
やわらかい食事が中心になり、よくかむ機会が減ったことで、あごが十分に育たない方が増えているといわれます。あごが小さいと歯並びが内側に狭くなり、歯の尖った部分が舌の側面に繰り返し当たりやすくなります。

とくに、舌の側面に当たりやすい奥歯の尖った部分や、欠けた歯、合っていない被せ物・詰め物は、舌への刺激のもとになります。若い方の舌がんでは、こうした歯による刺激が関わっている可能性が指摘されています。同じように舌を刺激し続けるものとして、舌ピアスのリスクにも注意が必要です。

口内炎と舌がんの見分け方
舌に痛みや違和感があると「口内炎だろう」と放っておきがちですが、初期の舌がんは、口内炎と見分けにくいことがあります。目安になる3つのポイントをまとめました。気になるときは、2週間を待たずに受診していただいてかまいません。

① 2週間以上治らない
口内炎は、ふつう1〜2週間ほどで治ります。2週間以上たっても治らない場合は、口内炎ではない可能性もあるので、受診をおすすめします。
② 痛みが少ないのに治らない
口内炎は小さくても強く痛むことが多い一方、初期の舌がんは痛みが少ないことがあります。「痛くないから大丈夫」とは限りません。
③ 境目がはっきりせず、触ると硬い
ただれの境目がはっきりせず、まわりや中に硬さ(しこり)を感じる場合は、念のため受診をおすすめします。
できやすいのは、舌の側面
舌がんは、舌の先や真ん中よりも、舌の側面(両脇)にできやすいという特徴があります。歯が当たりやすい場所でもあります。

口内炎そのものの原因や治し方は、口内炎などお口の小さなトラブルのページで詳しくご紹介しています。
今日からできる、お口のセルフチェック
舌がんは、早く見つかるほど治療の負担が小さくなります。必要以上に心配することはありませんが、次の3つを日ごろから意識しておくと、変化に早く気づけます。
① 2週間ルールを意識する
口内炎や傷が2週間以上治らないときは、自分で判断せず、歯科医院を受診しましょう。
② 舌に当たる歯がないか確かめる
歯が舌に当たってこすれる感じがないか、欠けた歯や尖った被せ物がないかを確かめましょう。
③ 鏡で舌の側面を見る習慣を
歯みがきのついでに、舌を横に出して、側面や裏側も見てみてください。

口腔がん全体の初期症状は口腔がんの初期症状とセルフチェックで、舌のさまざまなトラブルは舌のトラブルガイドでご紹介しています。
酒井歯科医院でできること
当院では、定期検診やクリーニングのときに、歯や歯ぐきだけでなく、舌やお口の粘膜の状態も確認しています。
舌に当たっている尖った歯や、合っていない被せ物・詰め物があれば、角を丸めたり調整したりして、舌への刺激を減らします。歯並びそのものが原因になっている場合は、必要に応じてマウスピース矯正で歯並びを整える方法もご相談いただけます。

詳しい検査や診断が必要と判断した場合は、いわき市医療センターの歯科口腔外科や大学病院をご紹介します。「これくらいで受診していいのかな?」と迷わず、気になることがあればお気軽にご相談ください。
よくあるご質問|舌がん
Q1. 舌がんの原因は何ですか?
大きな原因は、喫煙と飲酒です。そのほかに、尖った歯や合っていない被せ物・詰め物などが舌に当たり続ける「慢性的な刺激」や、お口の中が清潔に保たれていないことも、危険因子の一つとされています。お酒やタバコをやらない方にも見られることがあります。
Q2. 口内炎と舌がんは、どう見分ければよいですか?
口内炎は、ふつう1〜2週間ほどで治ります。2週間以上治らない、痛みが少ないのに治らない、境目がはっきりせず触ると硬い、といった場合は、口内炎ではない可能性もあります。自分で判断せず、歯科医院を受診してください。
Q3. 舌がんの初期症状は、どんなものですか?
舌の側面にできた、なかなか治らないただれや白い部分、触ると硬い部分、痛みが少ないのに治らない傷などが、初期のサインとして挙げられます。2週間以上よくならない場合は、受診をおすすめします。
Q4. 舌がんが心配なときは、何科に行けばよいですか?
まずは、かかりつけの歯科医院にご相談ください。当院では、詳しい検査が必要と判断した場合、いわき市医療センターの歯科口腔外科や大学病院をご紹介しています。
Q5. 歯並びを治すと、舌がんのリスクは下がりますか?
舌への慢性的な刺激を減らすことは、リスクを下げることにつながる可能性があります。ただし、矯正治療が必要とは限りません。舌に当たる尖った歯や被せ物を丸めたり調整したりする処置で、刺激を減らせることも多くあります。
酒井歯科医院では、むし歯や歯周病の治療だけでなく、定期的なケアで病気を防ぐ予防歯科を診療の中心にしています。定期検診では、舌やお口の粘膜の変化にも気を配っています。当院の診療内容は診療案内でご覧いただけます。
参考・出典
- 日本口腔腫瘍学会・日本口腔外科学会「口腔癌診療ガイドライン」(舌癌が口腔がんで最多・危険因子としての喫煙・飲酒・慢性機械的刺激)
口腔癌診療ガイドライン - 大阪国際がんセンター「『口腔がん』の罹患状況と推移を分析」(口腔がんの増加傾向・舌が最多部位)
大阪国際がんセンター プレスリリース
執筆・監修歯科医
早期発見が命を守る
お口のかかりつけ医として
理事長・院長
酒井直樹
SAKAI NAOKI
経歴
- 1980年 福島県立磐城高等学校卒業
- 1988年 東北大学歯学部卒業
- 1993年 酒井歯科医院開院
- 2020年 医療法人SDC設立 理事長就任
所属学会・勉強会
- 日本臨床歯科CADCAM学会
- 日本顎咬合学会
- 日本口育協会
- 日本歯科医師会
- 日本歯周内科学研究会
- ドライマウス研究会






