お口の体操は、「噛む・飲み込む・話す」に使う舌や唇、のどの筋肉を、ご自宅で手軽に鍛えるトレーニングです。年齢とともに衰えやすいこれらの筋肉も、毎日少しずつ動かすことで、オーラルフレイルの予防や、お口の機能の維持につながります。このページでは、いわき市の酒井歯科医院が口腔機能検査のあとにお渡ししている「お口の通信簿」に載せている8つの体操を、結果表と同じA〜Hの順番で、主に大人の方に向けてやさしく解説します。
あなたに合う体操の選び方
当院で口腔機能検査を受けた方は、結果表の「対応訓練」に書かれたアルファベットの体操から始めてください。検査をまだ受けていない方は、下の表で、いま気になっていることに近い行を選んでみましょう。どれも、ご自身が一番よくしたいと思うものから始めて、習慣にしていくのがおすすめです。
| 気になること | 結果表の項目 | おすすめの体操 |
|---|---|---|
| 舌が白っぽい・口臭が気になる | ❶ 舌の汚れ | A・E |
| 口が渇く・ネバつく | ❷ お口の乾燥 | A・C・H |
| 硬いものが噛みにくい | ❸ 咬む力 | D・G |
| 滑舌が悪い・食べこぼす | ❹ 舌と唇の動き | B・C・D・F |
| 飲み込みにくい・むせる | ❺ 舌の力 | C・D・E |
| 唇が閉じにくい・口が開きがち | ❻ 口唇閉鎖力 | C・D・G |
🔸安全に続けるための約束
・痛みや違和感があるときは、すぐに中止してください
・一度にたくさん行うより、毎日少しずつ続けることが大切です
・飲み込みに不安がある方やむせやすい方は、水を使う「A」は無理をせず、先に歯科医院でご相談ください
・入れ歯の方は、入れ歯が合っていないと十分に効果が出ないことがあります
各検査の結果の見方は、口腔機能検査の解説ページで詳しくご紹介しています。
のどと呼吸を鍛える体操(A・B)
A. ガラガラうがい
上を向いてうがいをすることで、飲み込みに使うのどの筋肉を鍛えます。歯磨きのついでにできる、もっとも手軽な体操です。

🔸やり方
① 上を向いて、ガラガラうがいを5〜15秒続けます
② 水を口に溜めたまま、鼻で3回呼吸します
🔸目安
・歯磨きのときに3回
🔸期待できること
・のどの筋肉が鍛えられ、飲み込みを助けます
・口呼吸から鼻呼吸への切りかえを意識できます
B. ペットボトルを使ったトレーニング
空のペットボトルを吸ったり膨らませたりして、唇のまわりの筋肉と、息を吐く力を鍛えます。

🔸やり方
① 空のペットボトルをくわえ、吸ってへこませます
② へこんだペットボトルに強く息を吹き込み、膨らませます
🔸目安
・吸って吐いてを3回連続で行います(1日3回できると理想的です)
・苦しくならない程度の強さで行ってください
🔸期待できること
・唇のまわりの筋力と、呼吸の力を養います
・むせたときに、しっかり咳をして吐き出す力を保ちます
舌と唇を鍛える体操(C・D・E・F)
C. 舌回し
口を閉じたまま、舌で歯の表側をなぞるように回します。だ液の分泌もうながされます。

🔸やり方
① 口を閉じた状態で、舌先を歯の表側に沿わせます
② そのまま、ゆっくりと10回まわします
🔸目安
・左回り10回、右回り10回を1セットとして、1日3セット
🔸期待できること
・だ液が出やすくなります
・舌や頬の動きがよくなり、食事中に噛んでしまうのを防ぎます
【動画監修・指導】東京歯科大学 教授 上田 貴之 先生(動画はGC社のサイトより引用)
D. あいうべ体操
「あ・い・う・べ」と大きく口を動かして、お口のまわりと舌の筋肉をまとめて鍛えます。声は出しても出さなくても構いません。

🔸やり方
① 「あ」:お口を大きく開けます
② 「い」:お口を横に引っ張ります
③ 「う」:唇を前に突き出します
④ 「べ」:舌を下に向かって突き出します
🔸目安
・「あいうべ」を1セットとして、1日30セット
🔸期待できること
・お口のまわりや舌の筋肉が鍛えられます
・滑舌がよくなり、舌や頬を噛みにくくなります
E. 舌ブラシ清掃&トレーニング
舌ブラシで舌の汚れ(舌苔)を落としながら、舌を押し返す力も鍛えます。強くこすらないのがポイントです。

🔸やり方
① 舌ブラシを舌の奥に軽く当て、ゆっくりと前方へ引き出します
② 舌ブラシを舌に当てて200〜300gほどの力で押し、舌で押し返すようにして10秒ほど止めます
🔸目安
・①と②を、それぞれ2回ずつ
🔸期待できること
・舌の清掃と同時に、舌の筋力トレーニングができます
・飲み込みがスムーズになります
F. パタカラ体操
「パ・タ・カ・ラ」の4つの音で、唇・舌先・舌の奥と、それぞれ違う場所を鍛えます。

🔸やり方
① 「パ」:唇をはじくように
② 「タ」:舌の先を上あごにつけるように
③ 「カ」:舌の奥を上あごに近づけるように
④ 「ラ」:舌を巻くように
🔸目安
・「パ・タ・カ・ラ」をそれぞれ10回ずつ、はっきりと連続で発音し、1日3セット
🔸期待できること
・滑舌がよくなります
・食べこぼしや、お口の中に食べ物が残ることが減ります
噛む力とだ液をはぐくむ体操(G・H)
G. ガムトレーニング
ガムを噛んで、丸めて、舌で伸ばす。噛む力と舌の動き、飲み込みの流れをまとめて練習できます。

🔸やり方
① ガムを左右の奥歯で噛みます(噛みにくい側を長めに)
② ガムを丸め、舌の先で上あごに3秒間押し付けて伸ばし、だ液を3回飲み込みます
③ ガムが奥に伸びない方は、舌先を前後に5〜10回動かしてから、もう一度②を行います
🔸目安
・だ液を3回飲み込んだあと、ガムが上あごの奥まで広がっていれば、舌がしっかり使えています
🔸期待できること
・噛む力が鍛えられます
・舌や頬を噛みにくくなり、飲み込みがスムーズになります
【動画監修・指導】東京歯科大学 教授 上田 貴之 先生(動画はGC社のサイトより引用)
H. だ液腺マッサージ
だ液の出口になる3つのだ液腺を、指でやさしく刺激します。食事の前に行うのもおすすめです。

🔸やり方
はじめに、レモンや梅干しを目の前に置いて、だ液をためるとより効果的です。
① 耳下腺(じかせん):上の奥歯と耳の間あたりを、数本の指の腹で軽く押し、後ろから前へ回します
② 顎下腺(がっかせん):下あごの骨の内側を、数本の指でつまむように押します
③ 舌下腺(ぜっかせん):あごの真下のくぼみを、両手の親指の腹でゆっくり軽く押し上げます
🔸目安
・痛みのない範囲で、やさしく行ってください
🔸期待できること
・だ液が出やすくなり、お口の乾燥がやわらぎます
・舌や頬の粘膜のこすれやヒリヒリ感が減り、舌や頬を噛みにくくなります
【動画監修・指導】東京歯科大学 教授 上田 貴之 先生(動画はGC社のサイトより引用)
当院で取り入れている、そのほかのトレーニング
ペコぱんだトレーニング
舌で器具を押しつぶして、舌の力(舌圧)を鍛えるトレーニングです。当院では、舌の力が基準値を下回った方に、器具の使い方をご説明しています。

【動画監修・指導】東京歯科大学 教授 上田 貴之 先生(動画はGC社のサイトより引用)
もぐもぐトレーニング
🔸毎日の食事でできること
・どんな食事も、左右それぞれ15回ずつ噛んでから飲み込みます
・グミのような弾力のある食べ物を、毎日のトレーニングとして食べます(こんにゃくやパンの耳でも構いません。噛み切れないときは無理をせず出してください)
体操を続けても気になるときは
むせや噛みにくさが続くときは、合わない入れ歯や、むし歯・歯周病が隠れていることもあります。また、ご自身の状態を数値で知ることで、どの体操を優先すればよいかがはっきりします。気になる方は、口腔機能検査をご相談ください。
お子さんのお口の機能トレーニングについては、子どもの口腔機能トレーニング(実践編)をご覧ください。
よくあるご質問
Q. 検査を受けていなくても、体操を始めてよいですか?
はい、始めていただいて大丈夫です。このページの早見表から、いま気になっていることに近い体操を選んでみてください。ただし、ご自身の状態を正しく知ったうえで取り組むほうが、優先する体操がはっきりします。気になる症状がある方は、一度口腔機能検査をご相談ください。
Q. 1日にどのくらい行えばいいですか?
各体操の「目安」を参考にしてください。一度にまとめて行うよりも、歯磨きのときや食事の前など、毎日の生活の中に組み込んで少しずつ続けることが大切です。疲れや痛みを感じたときは、回数を減らして無理なく続けてください。
Q. むせやすいのですが、体操をしても大丈夫ですか?
舌や唇を動かす体操(C・D・F)は、比較的安心して行えます。水を使う「A. ガラガラうがい」や、強く息を吸う「B. ペットボトルを使ったトレーニング」は、むせが強い方には負担になることがありますので、無理をせず、先に当院でご相談ください。
Q. 子どもも同じ体操をしてよいですか?
あいうべ体操など、お子さんにも取り入れやすい体操はあります。ただ、お子さんは成長の段階に合わせた進め方が大切なので、子どもの口腔機能トレーニング(実践編)のページもあわせてご覧ください。
酒井歯科医院では、虫歯や歯周病の治療だけでなく、再発を防ぐ予防歯科にも力を入れています。医院の診療方針や診療内容については、酒井歯科医院トップページからご覧いただけます。
執筆・監修歯科医
毎日少しずつ
お口を鍛えましょう
理事長・院長
酒井直樹
SAKAI NAOKI
経歴
- 1980年 福島県立磐城高等学校卒業
- 1988年 東北大学歯学部卒業
- 1993年 酒井歯科医院開院
- 2020年 医療法人SDC設立 理事長就任
所属学会・勉強会
- 日本臨床歯科CADCAM学会
- 日本顎咬合学会
- 日本口育協会
- 日本歯科医師会
- 日本歯周内科学研究会
- ドライマウス研究会



