オーラルフレイルとは、加齢とともに「噛む・飲み込む・話す」といったお口の機能が少しずつ衰え、全身の健康にも影響しはじめる状態です。放置すると栄養不足や筋力低下につながり、要介護状態への入り口になることがあります。いわき市の酒井歯科医院では、専用機器による口腔機能検査と一人ひとりに合わせたトレーニング指導で、オーラルフレイルの早期発見と予防に取り組んでいます。
オーラルフレイルとは? ”むせ”や”飲み込みにくさ”が発するSOSサイン
「硬いものが食べにくくなった」
「お茶やお味噌汁で、よくむせるようになった」
「滑舌が悪くなって聞き返されることが増えた」
こうしたお口周りのささいな機能の衰えを「年のせい」と見過ごしていませんか? 実はこれらは、全身の健康を脅かす重要なSOSサインである可能性があります。オーラルフレイルは、早期に気づいて適切に対処することで、進行を遅らせることができます。

オーラルフレイルと口腔機能低下症の違い
よく似た言葉ですが、指している段階が異なります。
① オーラルフレイル
・お口の機能がささいに衰えはじめた段階です
・病名ではなく、早めに気づいて対策をはじめる「黄信号」の時期です
② 口腔機能低下症
・7項目の検査のうち3項目以上が基準を下回った場合に、歯科医師が診断する病名です
・検査とその後の管理・訓練は、保険診療で受けられます

なお、お子さんの「食べる・話す・呼吸する」機能がうまく育っていない状態は「口腔機能発達不全症」と呼ばれ、別の考え方で対応します。詳しくは口腔機能発達不全症のページをご覧ください。
なぜ危険? オーラルフレイルが引き起こす「負のスパイラル」
オーラルフレイルは、お口の中だけの問題にとどまりません。噛む・飲み込む機能の低下は、栄養不足・筋力低下・社会的孤立へと連鎖し、フレイル(全身の虚弱)や要介護状態への入り口になると考えられています。

この連鎖をどこかで断ち切ること・・・それが健康寿命を守る最も重要な一手です。そのためにまず必要なのが、お口の現状を正確に「知ること」です。
あなたは大丈夫?「オーラルフレイル」セルフチェック(OF-5)
OF-5(オーフ・ファイブ)は、オーラルフレイルかどうかを5つの質問で判定するチェック表です。2024年4月に、日本老年医学会・日本老年歯科医学会・日本サルコペニア・フレイル学会の3学会が合同ステートメントで公表しました。検査機器がなくてもご自身で答えられるのが特徴で、地域の介護予防の取り組みなどでも活用されています。当てはまるものを数えてみてください。
- ✅ ご自分の歯が20本未満である
- ✅ 半年前に比べて硬いものが食べにくくなった
- ✅ お茶や汁物でむせることがある
- ✅ 口の渇きが気になる
- ✅ ふだんの会話で、言葉をはっきり発音しにくいことがある
2つ以上当てはまる場合は、オーラルフレイルに該当すると考えられます。自覚症状が軽いうちに口腔機能検査を受けておくと、今の状態を数値で確認でき、早めの対策につなげられます。まずはお気軽にご相談ください。

出典:日本老年医学会・日本老年歯科医学会・日本サルコペニア・フレイル学会「オーラルフレイルに関する3学会合同ステートメント」(2024年4月)
歯科医院で始める「オーラルフレイル対策」
「年のせいだから仕方ない」とあきらめる必要はありません。適切な検査と継続的なトレーニングによって、お口の機能は何歳からでも維持・向上させることが可能です。酒井歯科医院では、以下の4つのアプローチでオーラルフレイル対策を総合的にサポートします。
🟨 ① 現状を「数値」で知る ― 口腔機能検査
当院では専用の機器を用いて、あなたのお口の機能が今どのような状態にあるのかを客観的な数値で評価します。口腔機能低下症の診断に使う7項目(口腔衛生状態・口腔乾燥・咬合力・舌や唇の動き・舌圧・咀嚼機能・嚥下機能)の検査は、すべて院内で行えます。ここでは代表的な3つをご紹介します。各検査の詳しい内容は口腔機能検査の解説ページをご覧ください。
Ⅰ.舌圧測定(ぜつあつそくてい)
食べ物を正しく飲み込んだり、発音したりするために不可欠な「舌の筋力」を専用の機器で客観的な数値として測定します。

📺 テレビでも紹介されました:2026年4月16日放送のNHK「あしたが変わるトリセツショー」で、舌圧測定をはじめとするお口の機能低下(オーラルフレイル)が特集されました。「むせ・滑舌の衰えが健康長寿の分かれ道」として、当院でも実施している検査内容が広く紹介されています。
Ⅱ.咀嚼能力検査(そしゃくのうりょくけんさ)
「どれだけ効率よく食べ物を噛み砕けているか」という咀嚼能力を、専用の装置で客観的に測定可能です。自覚しにくい咀嚼機能の低下を早期に把握することで、適切なトレーニングや歯科治療につなげることができます。

Ⅲ.舌・唇の滑らかさの検査(健口くん)
「パ」・「タ」・「カ」といった音を、できるだけ速くリズミカルに発音していただき、1秒間に何回、舌や唇を滑らかに動かせるかを測定します。この検査により、お口全体の巧緻性(こうちせい)と呼ばれる器用さのレベルを客観的な数値で評価することができます。

🟨 ② あなただけの「お口のリハビリ計画」
検査結果に基づき、歯科医師と歯科衛生士があなたに合った「お口のトレーニング(口腔機能訓練)」のメニューを作成・指導します。ご自宅で毎日続けられる簡単な体操が中心で、舌の力を鍛えるトレーニング器具(ペコぱんだ)なども使います。待合室ではお口のトレーニング動画を流していますので、お待ちの間にぜひご覧ください。

🟨 ③「噛めるお口」を取り戻す ― 歯科治療
もちろん、合わない入れ歯や治療していない虫歯・歯周病があればお口の機能は十分に発揮できません。入れ歯の精密な調整やインプラントのような適切な歯科治療を行い、しっかりと「噛める」土台を最初に取り戻すことが何よりも重要です。
🟨 ④ プロによる徹底的な「口腔ケア」
お口の中を清潔に保つことは、お口の機能を維持するだけでなく全身の健康を守る上でも非常に重要です。特に、ご高齢の方の死因の上位を占める「誤嚥性肺炎」は、お口の中の細菌が肺に入ることで発症します。定期的なプロによる口腔ケアは、そのリスクを減らすことにつながります。

「食べる喜び」を生涯にわたって
自分の口で美味しく安全に食事を食べられること。それは、私たちの人生の最後の最後まで失いたくない根源的な喜びです。

その喜びを一日でも長く守り続けるために、私たちかかりつけ歯科医はあなたの生涯のパートナーとして寄り添います。「むせが気になる」「噛みにくくなった」など、ささいな変化を感じたら、どうぞお気軽にご相談ください。
よくあるご質問
Q. オーラルフレイルは何歳から気をつければいいですか?
50代以降から少しずつお口の機能が低下し始めるとされています。ただし、自覚症状が出にくいため、40代のうちから定期的な口腔機能チェックを受けることをおすすめしています。
Q. むせやすくなったのはオーラルフレイルのサインですか?
食事中のむせや、お茶・汁物でむせることが増えた場合は、オーラルフレイルの初期サインの可能性があります。放置すると誤嚥性肺炎のリスクも高まりますので、早めにご相談ください。
Q. 口腔機能検査は保険が使えますか?
はい。お口の機能の低下が疑われる場合、口腔機能検査は保険診療で受けられます。検査で口腔機能低下症と診断された場合は、その後の管理やトレーニング指導も保険の対象です(年齢やお体の状態などによって条件が異なります)。ご自身が対象かどうかは、まず当院スタッフにお気軽にご相談ください。
Q. 自宅でできるオーラルフレイル予防はありますか?
「パ・タ・カ・ラ」を繰り返す口腔体操(パタカラ体操)や、舌を大きく動かすトレーニングが効果的です。また、よく噛んで食べること・水分をこまめに摂ることも大切です。具体的なやり方はお口の体操の解説ページでご紹介しています。正しい方法で継続するためにも、歯科医院でのアドバイスを合わせてご活用ください。
Q. 入れ歯を使っていますが、オーラルフレイル対策はできますか?
はい、できます。入れ歯の方でも口腔機能訓練は有効です。また、合わない入れ歯はお口の機能低下を促進させる原因になりますので、まず入れ歯の調整・見直しから始めることをおすすめしています。
酒井歯科医院では、幅広い歯のお悩みに対応しています。当院が対応している治療の全体像は 診療案内ページで、医院の診療方針や院内環境については 酒井歯科医院トップページからご覧いただけます。
執筆・監修歯科医
健康寿命は
お口から延ばせます
理事長・院長
酒井直樹
SAKAI NAOKI
経歴
- 1980年 福島県立磐城高等学校卒業
- 1988年 東北大学歯学部卒業
- 1993年 酒井歯科医院開院
- 2020年 医療法人SDC設立 理事長就任
所属学会・勉強会
- 日本臨床歯科CADCAM学会
- 日本顎咬合学会
- 日本口育協会
- 日本歯科医師会
- 日本歯周内科学研究会
- ドライマウス研究会






