デジタルインプラント治療とは、歯科用CTの三次元画像による術前シミュレーションや、口腔内スキャナーによるデジタルの型取り、コンピューターで設計するオーダーメイドの土台など、デジタル技術を用いて安全性と精度を高めたインプラント治療です。いわき市の酒井歯科医院では、すべての症例で歯科用CTによる埋入計画を立て、必要な症例ではサージカルガイドを用いて手術を行い、人工の歯の土台には全症例でオーダーメイドの「アトランティス」を使用しています。
デジタルインプラント治療とは ― 3つの段階で使う技術
インプラント治療の成功には、執刀する歯科医師の経験が欠かせません。そのうえで当院では、「見えない部分」を確かめ、計画を正確に形にするために、治療の3つの段階でデジタル技術を活用しています。
| 段階 | 使う技術 | 目的 |
|---|---|---|
| 計画 | 歯科用CT・シミュレーションソフト | 骨や神経の位置を立体的に確認し、埋入位置を決める |
| 手術 | サージカルガイド(必要な症例のみ) | 計画どおりの位置・角度・深さにドリルを導く |
| 人工の歯 | 口腔内スキャナー・アトランティス | 精密なデジタルの型取りと、オーダーメイドの土台の作製 |
治療全体の流れや通院回数については、インプラント治療の流れのページでご説明しています。このページでは、それぞれの段階を支える技術の中身をご紹介します。
計画:歯科用CTによる術前シミュレーション
安全なインプラント手術は、手術前の計画で大きく左右されます。当院では、すべての症例で手術の前に歯科用CTを撮影し、顎の骨の厚みや形、下顎の神経の通り道、上顎洞(副鼻腔)の位置を三次元の画像で確認します。
そのCT画像をもとに、コンピューター上でインプラントを仮に配置し、何度もシミュレーションを重ねてから手術に臨みます。
シミュレーションで確認すること
・インプラントを埋め込む位置・角度・深さ
・使用するインプラントの太さと長さ
・下顎の神経や上顎洞までの距離
・骨の量が足りているか、骨造成が必要か

シミュレーションの結果、骨造成が必要な症例や神経に近い症例は、奥羽大学 口腔外科学教室の教授を当院にお招きして手術を行います。歯科用CTでどのように撮影・診断するのかは、こちらの動画でご覧いただけます。
手術:サージカルガイドを使ったガイド手術
サージカルガイドとは、CTのシミュレーションで決めた位置・角度・深さのとおりにドリルを導くための、マウスピースのような形の手術用の器具です。ガイドに開けられた穴に沿ってドリルを進めることで、計画を手術に正確に反映しやすくなります。

ガイドが必要な症例、必要ない症例
すべての症例でサージカルガイドが必要になるわけではありません。CTの診査の結果、次のような特に高い精度が求められる症例で使用を検討します。
サージカルガイドの使用を検討する症例
・複数本のインプラントを、互いの位置関係を正確に保って埋め込む必要がある場合
・埋め込む位置が、下顎の太い神経(下歯槽神経管)や上顎洞に近い場合
一方、骨の量が十分にある1〜2本程度の比較的シンプルな症例では、CTによる術前計画をもとに、ガイドを使わずに安全に手術を行うことができます。一人ひとりの症例のリスクを見極め、その方に本当に必要な安全対策を選ぶことを大切にしています。


サージカルガイドの作製と費用
サージカルガイドは、CTデータと歯型のデータをもとに、専門の作製機関で設計・作製します。費用は、インプラント治療の費用とは別に、1装置(片顎)ごとに次のとおりです。
| 項目 | 費用(税込) |
|---|---|
| サージカルガイド(1装置・1〜3本) | 77,000円 |
| サージカルガイド(1装置・4本以上) | 110,000円 |
※ガイドを使っても、ごくわずかな誤差が生じる可能性はあります。当院では、ガイドの有無にかかわらず、手術中も確認を重ねながら慎重に進めます。
人工の歯:口腔内スキャナーとオーダーメイドの土台
インプラントが骨と結合したら、最終的な人工の歯を作ります。ここでもデジタル技術が、快適さと精度を支えています。
① 口腔内スキャナーによるデジタルの型取り
粘土のような型取り材を口に入れる従来の方法ではなく、口腔内スキャナー(セレック・iTero)でお口の中をスキャンして、歯や歯ぐきの形を三次元のデータにします。型取り材が苦手な方や、吐き気を感じやすい方にも負担の少ない方法です。
② すべての症例でオーダーメイドの土台「アトランティス」
インプラント体と人工の歯をつなぐ土台(アバットメント)には、あらかじめ形の決まった「既製品」と、患者さんごとに設計する「オーダーメイド」があります。当院では、すべての症例でオーダーメイドの土台「アトランティス」を使用しており、既製の土台は使用していません。

アトランティスは、スキャンしたデータから、その方の歯ぐきの形や周りの歯の位置、噛み合わせに合わせて、コンピューター上で一つひとつ設計・作製される土台です。歯ぐきの形に沿った土台にすることで、人工の歯が自然な見た目に仕上がりやすく、歯ぐきとの境目もお手入れしやすい形にできます。


③ セラミック(e-max)の人工の歯
土台の上にかぶせる人工の歯は、スキャンのデータをもとに、提携する歯科技工所でセラミックを用いて作製します。素材は、透明感があり天然の歯に近い色合いを再現しやすい「e-max(イーマックス)」を基本としています。完成前にはお口の中で形・色・噛み合わせを確認し、調整してから装着します。

デジタル技術と、歯科医師の判断
ここまで当院のデジタル技術をご紹介してきましたが、これらはあくまで「道具」です。デジタル技術を使っても、手術のリスクがゼロになるわけではありません。
どの道具を、どの症例で、どのように使うのか。そして、それをどう患者さんの健康に結びつけていくのか。それを判断するのは、最終的には歯科医師の経験と知識、そして患者さんとの対話です。
新しい技術と、変わらない人の温かさ。その両方がそろって、はじめて安心していただけるインプラント治療になると、私たちは考えています。
デジタルインプラント治療に関するよくあるご質問
Q. サージカルガイドは全員に必要ですか?
A.必要ありません。複数本を正確な位置関係で埋め込む症例や、神経・上顎洞に近い症例など、特に高い精度が求められる場合に使用を検討します。骨の量が十分にある1〜2本程度の症例では、CTによる術前計画をもとに、ガイドを使わずに安全に手術を行うことができます。
Q. サージカルガイドの費用はいくらですか?
A.インプラント治療の費用とは別に、1装置(片顎)あたり、1〜3本の場合は77,000円、4本以上の場合は110,000円です(いずれも税込)。必要かどうかは、CTの診査結果をもとにご相談のうえで決めます。
Q. 歯科用CTの被ばくは心配ありませんか?
A.当院では、安全な手術計画のために、インプラント治療のすべての症例で歯科用CTを撮影しています。歯科用CTは撮影する範囲をお口の周りに絞っているため、病院などで使われる医科用CTに比べて被ばく量が少なく抑えられています。神経や血管の位置を確かめずに手術を行うリスクと比べ、撮影によって得られる安全性のメリットのほうがはるかに大きいと考えています。
Q. オーダーメイドの土台(アトランティス)は、既製品と何が違うのですか?
A.既製の土台は形があらかじめ決まっていますが、アトランティスは、患者さんの歯ぐきの形や歯の位置に合わせて一つひとつ設計します。歯ぐきに沿った形にできるため、見た目が自然に仕上がりやすく、お手入れもしやすくなります。当院では、すべての症例でアトランティスを使用しています。
Q. 口腔内スキャナーでの型取りは苦しくないですか?
A.小さなカメラでお口の中を撮影していくだけなので、粘土のような型取り材を口いっぱいに入れる必要がありません。型取り材の味や、固まるまで待つ間の息苦しさ、吐き気が苦手な方にも負担の少ない方法です。
インプラントの仕組みや費用、治療の流れについては、こちらのページをご覧ください。
酒井歯科医院では、インプラント治療だけでなく、治療後のインプラントを長く守るメインテナンスと予防ケアにも力を入れています。当院が対応している治療の全体像は診療案内ページで、医院の診療方針や院内環境については酒井歯科医院トップページからご覧いただけます。
執筆・監修歯科医
「経験と勘」に
確かな「根拠」を重ねて
理事長・院長
酒井直樹
SAKAI NAOKI
経歴
- 1980年 福島県立磐城高等学校卒業
- 1988年 東北大学歯学部卒業
- 1993年 酒井歯科医院開院
- 2020年 医療法人SDC設立 理事長就任
所属学会・勉強会
- 日本臨床歯科CADCAM学会
- 日本顎咬合学会
- 日本口育協会
- 日本歯科医師会
- 日本歯周内科学研究会
- ドライマウス研究会





