入れ歯には、保険適用のプラスチック製の入れ歯のほか、自費診療の金属床義歯、金属のバネがないノンクラスプデンチャー、歯ぐきに当たる面が柔らかいシリコンデンチャーなどの種類があります。素材や設計によって、装着感・噛みやすさ・見た目・耐久性・費用が異なるため、お口の状態や何を重視するかに合わせて選ぶことが大切です。いわき市の酒井歯科医院では、それぞれの特徴と費用をご説明したうえで、一緒に入れ歯を選んでいきます。
はじめに:「入れ歯」は、どれも同じではありません
「入れ歯」と一言で言っても、保険適用のものから自費の入れ歯まで、実はたくさんの選択肢があります。
素材が違えば着け心地が違う。設計が違えば、噛む力も見た目の美しさも変わってきます。

このページでは、当院で取り扱っている代表的な入れ歯の種類について、それぞれの良いところ(メリット)と正直な弱点(デメリット)、そして費用を、写真と共に一つひとつご紹介していきます。あなたにとっての「最高のパートナー」を見つけるために、お役立ていただけると幸いです。
入れ歯の基本的な仕組みや、作製の流れ、お手入れについては、入れ歯治療のページで詳しくご紹介しています。
① 保険適用の入れ歯(レジン床義歯)


プラスチック(レジン)で作る、最もスタンダードな保険適用の入れ歯です。初めて入れ歯を作る方の多くが、まずこの入れ歯からスタートします。
✅ こんな方におすすめ
- まずは保険の範囲内で、費用を抑えて入れ歯を作りたい方
- 失った歯の働きを、まずは回復させたい方
⭕ メリット
- 保険適用なので、費用を抑えて作製できます。
- 修理や調整が、比較的簡単に行えます。
❌ デメリット
- 床(歯ぐきに接する部分)にある程度の厚みが必要なため、慣れるまで違和感や発音のしにくさを感じることがあります。
- 部分入れ歯の場合、歯に固定するための金属のバネ(クラスプ)が見えることがあります。
- 食べ物の温度が伝わりにくくなります。
【動画で見る】保険の入れ歯
保険の部分入れ歯の金属のバネが黒ずんだり、変色したりする理由は、こちらの記事で解説しています。
② 金属床義歯 ― 薄くて快適。食べ物の温度も伝わる入れ歯


床(歯ぐきに接する部分)の大部分を、薄い金属(コバルトクロムやチタン)で作製する自費の入れ歯です。部分入れ歯にも総入れ歯にも対応できます。
✅ こんな方におすすめ
- 保険の入れ歯の厚みや違和感が、どうしても苦手な方
- 食事をもっと楽しみたい方
- 丈夫で、たわみにくい入れ歯をお望みの方
⭕ メリット
- 床を保険のプラスチックの3分の1程度の薄さにできるため、違和感が比較的少なく、発音もしやすくなります。
- 金属は熱を伝えやすいため、食べ物の「温かさ」や「冷たさ」を感じやすく、食事をおいしく味わいやすくなります。
- 薄くても丈夫で、たわみや変形が起こりにくい素材です。
❌ デメリット
- 自費診療となります。
- 人工の歯を足すなどの修理が、保険の入れ歯より難しくなる場合があります。
- コバルトクロムの場合、ごくまれに金属アレルギーの心配があります。(チタンはその心配がほとんどありません)
【動画で見る】金属床義歯
③ ノンクラスプデンチャー ― 金属のバネがない部分入れ歯


部分入れ歯の金属のバネ(クラスプ)をなくし、代わりに歯ぐきの色に近い、弾力性のある樹脂で歯に固定する自費の部分入れ歯です。
✅ こんな方におすすめ
- 部分入れ歯の金属のバネが、どうしても気になる方
- 人前で、自信を持って笑いたい方
- 金属アレルギーが心配な方
⭕ メリット
- 金属のバネがないため、入れ歯を入れていることが周りの人から分かりにくくなります。
- 弾力性のある素材が歯ぐきになじみ、装着感が比較的やわらかです。
❌ デメリット
- 自費診療となります。
- 金属床に比べると、耐久性では一歩譲ります(樹脂部分がすり減ったり、変色したりしやすい)。
- 修理や調整が難しい場合があります。
- 失った歯の本数や位置によっては適用できない場合があり、その場合は②の金属床との併用となります。
④ シリコンデンチャー ― 歯ぐきに当たる面が柔らかい総入れ歯

総入れ歯の歯ぐきに当たる面を、弾力のあるシリコンで覆った自費の入れ歯です。硬い入れ歯が歯ぐきに当たって痛む方や、顎の骨が痩せて歯ぐきが薄くなった方に適しています。
✅ こんな方におすすめ
- 総入れ歯で噛むと、歯ぐきが痛くなりやすい方
- 総入れ歯が外れやすく、しっかり吸い付く入れ歯をお望みの方
⭕ メリット
- シリコンがクッションの役割をし、噛んだときの歯ぐきの痛みを和らげます。
- 歯ぐきに密着しやすく、吸着が良くなることで噛みやすくなる場合があります。
❌ デメリット
- 自費診療となります。
- 長く使ううちにシリコン部分が劣化・変色することがあり、修理や作り直しが必要になる場合があります。
- シリコンの表面は汚れが付きやすいため、毎日のていねいなお手入れが欠かせません。
素材別の比較表
ここまでご紹介した入れ歯を、部分入れ歯と総入れ歯に分けて比較しました。★の数は、当院の経験にもとづく目安です。
部分入れ歯の比較
| 種類 | 特徴・メリット | 注意点・デメリット | 比較評価 |
|---|---|---|---|
| プラスチック (保険適用) | ・費用を抑えられる ・修理が比較的しやすい | ・床に厚みがあり違和感が出やすい ・金属のバネが見えることがある ・食べ物の温度が伝わりにくい | 美しさ:★☆☆☆☆ 耐久性:★★☆☆☆ 装着感:★☆☆☆☆ |
| ノンクラスプデンチャー | ・金属のバネがなく、見た目が自然 ・弾力性があり、装着感がやわらか | ・自費診療 ・金属床に比べると耐久性で一歩譲る ・症例によっては適用できない | 美しさ:★★★★☆ 耐久性:★★☆☆☆ 装着感:★★★★☆ |
| 金属床義歯 (コバルトクロム) | ・薄く作れ、発音もしやすい ・食べ物の温度が伝わりやすい ・丈夫でたわみにくい | ・自費診療 ・ごくまれに金属アレルギーの心配がある | 美しさ:★★★☆☆ 耐久性:★★★★☆ 装着感:★★★★☆ |
| 金属床義歯 (チタン) | ・コバルトクロムよりさらに薄く、軽い(重さは約半分) ・金属アレルギーの心配がほとんどない ・食べ物の温度が伝わりやすい | ・自費の入れ歯の中で最も高価 | 美しさ:★★★☆☆ 耐久性:★★★★☆ 装着感:★★★★★ |
総入れ歯の比較
| 種類 | 特徴・メリット | 注意点・デメリット | 比較評価 |
|---|---|---|---|
| プラスチック (保険適用) | ・費用を抑えられる ・修理や調整がしやすい | ・床に厚みがあり、違和感や発音のしにくさが出やすい ・食べ物の温度が伝わりにくい | 美しさ:★☆☆☆☆ 耐久性:★★☆☆☆ 装着感:★☆☆☆☆ |
| シリコンデンチャー | ・歯ぐきに当たる面が柔らかく、痛みが出にくい ・吸着しやすく、噛みやすくなる場合がある | ・自費診療 ・長く使うとシリコン部分が劣化・変色することがある | 美しさ:★★★☆☆ 耐久性:★★☆☆☆ 装着感:★★★☆☆ |
| 金属床義歯 (コバルトクロム) | ・薄く作れ、発音もしやすい ・食べ物の温度が伝わりやすい ・丈夫でたわみにくい | ・自費診療 ・ごくまれに金属アレルギーの心配がある | 美しさ:★★★☆☆ 耐久性:★★★★☆ 装着感:★★★★☆ |
| 金属床義歯 (チタン) | ・コバルトクロムよりさらに薄く、軽い(重さは約半分) ・金属アレルギーの心配がほとんどない | ・自費の入れ歯の中で最も高価 | 美しさ:★★★☆☆ 耐久性:★★★★☆ 装着感:★★★★★ |
何を重視するかで選ぶ
費用を抑えたい → ① 保険の入れ歯
薄さ・着け心地・食事のおいしさ → ② 金属床義歯
金属のバネを見せたくない(部分入れ歯) → ③ ノンクラスプデンチャー
総入れ歯で歯ぐきが痛くなりやすい → ④ シリコンデンチャー
実際には、残っている歯の状態や顎の形によって、選べる入れ歯が限られることもあります。お口の状態を拝見したうえで、それぞれの選択肢をご説明します。
自費の入れ歯の費用・期間・リスク
②〜④の入れ歯は自費診療(保険適用外)です。費用の目安は次のとおりです。
| 種類 | 費用(税込) |
|---|---|
| 保険の入れ歯(プラスチック) | 保険適用 |
| ノンクラスプデンチャー(部分入れ歯) | 132,000円〜181,500円 |
| 金属床義歯(部分入れ歯) | 242,000円〜418,000円 |
| 総入れ歯(金属床・シリコン) | 330,000円〜462,000円 |
費用
失った歯の本数や素材によって異なります。治療前に必ずお見積りをお渡しします。自費の入れ歯は医療費控除の対象になります。
通院回数・期間
通院回数は7回前後が目安です。完成までの期間は、お口の状態や通院の間隔によって異なりますので、初診時にご説明いたします。
保証
自費の入れ歯には、3年間の保証を設けています。保証の詳しい内容は、治療開始前にご説明いたします。
主なリスク・副作用
・慣れるまでは、違和感や話しにくさ、歯ぐきの痛みが出ることがあります。
・顎の骨や歯ぐきの形は少しずつ変化するため、合わなくなった場合は調整や修理、作り直しが必要になります。
・部分入れ歯では、支えとなる歯に負担がかかることがあります。
・金属床(コバルトクロム)では、ごくまれに金属アレルギーが出ることがあります。
・ノンクラスプデンチャーやシリコンデンチャーは、使用とともに樹脂やシリコンが劣化・変色することがあります。
本数ごとの詳しい費用は、料金表でご確認いただけます。
入れ歯の種類に関するよくあるご質問
Q. 保険の入れ歯と自費の入れ歯は、何が違いますか?
A.主な違いは、使える素材と設計の自由度です。保険の入れ歯はプラスチック製で、強度を保つためにある程度の厚みが必要です。自費の入れ歯は金属や特殊な樹脂、シリコンなどを使えるため、薄く作ったり、金属のバネをなくしたり、歯ぐきに当たる面を柔らかくしたりできます。そのぶん費用は高くなります。
Q. 金属床義歯は、保険の入れ歯と比べて着け心地が違いますか?
A.床を保険のプラスチックの3分の1程度の薄さにできるため、違和感が少なく、発音もしやすくなります。また、金属は熱を伝えやすいので、食べ物の温かさや冷たさを感じやすいのも特徴です。
Q. ノンクラスプデンチャーは、本当に目立ちませんか?
A.金属のバネを使わず、歯ぐきに近い色の樹脂で固定するため、見た目は自然です。ただし、失った歯の本数や位置によっては、裏側に金属の補強が必要になる場合があります。適用できるかどうかは、お口の状態を拝見したうえで判断します。
Q. シリコンデンチャーは、どんな方に向いていますか?
A.総入れ歯で噛むと歯ぐきが痛くなりやすい方や、顎の骨が痩せて歯ぐきが薄くなっている方に向いています。歯ぐきに当たる面のシリコンがクッションになり、痛みを和らげます。シリコン部分は長く使ううちに劣化することがあるため、定期的な点検をおすすめしています。
Q. 自費の入れ歯は、どれくらい長持ちしますか?
A.素材や使い方によって異なりますが、顎の骨や歯ぐきは少しずつ変化するため、どの入れ歯も定期的な調整が必要です。当院では、自費の入れ歯に3年間の保証を設けており、定期的な検診で良い状態を保てるようサポートしています。
Q. 自費の入れ歯は、医療費控除の対象になりますか?
A.はい、自費の入れ歯は医療費控除の対象になります。1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合、確定申告をすることで所得税の一部が戻ってきます。詳しくは医療費控除のページをご覧ください。
酒井歯科医院では、保険の入れ歯から自費の入れ歯まで、お口の状態とご希望に合わせて入れ歯をご提案しています。入れ歯治療の全体像は入れ歯治療のページ、当院が対応している治療の一覧は診療案内ページ、医院の診療方針や院内環境は酒井歯科医院トップページからご覧いただけます。
執筆・監修歯科医
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理事長・院長
酒井直樹
SAKAI NAOKI
経歴
- 1980年 福島県立磐城高等学校卒業
- 1988年 東北大学歯学部卒業
- 1993年 酒井歯科医院開院
- 2020年 医療法人SDC設立 理事長就任
所属学会・勉強会
- 日本臨床歯科CADCAM学会
- 日本顎咬合学会
- 日本口育協会
- 日本歯科医師会
- 日本歯周内科学研究会
- ドライマウス研究会


