歯周病治療は、進行度に応じて段階的に進めます。まず歯周ポケット検査やレントゲンなどの精密検査で現状を把握し、歯科衛生士によるブラッシング指導・スケーリング・SRPを中心とした歯周基本治療を行います。その後の再評価で改善を確認し、深い歯周ポケットが残る場合には、連携する専門医療機関での歯周外科治療を検討します。治療後は、再発を防ぐための定期的なメインテナンス(SPT)へ移行します。いわき市中央台の酒井歯科医院が、それぞれのステップの内容と期間の目安を解説します。
「歯周病です」と診断されたあなたへ
「歯周病のようですね」・・・そう言われて、「どんな治療が始まるんだろう」「痛いのかな」「どのくらい通えばいいんだろう」と、不安を感じていらっしゃるかもしれません。
ご安心ください。歯周病治療には、科学的根拠に基づいた明確なステップがあります。そして治療の主役は、私たち歯科医師や歯科衛生士だけでなく、患者さんご自身です。

このページでは、当院で行う歯周病治療の流れを、ステップごとに分かりやすくご説明します。治療の全体像を知ることが、不安を和らげ、前向きに治療に取り組むための第一歩になります。
歯周病治療の全体像(5つのステップ)
Step1 精密検査・診断
歯周ポケット・歯の揺れ・レントゲンなどで進行度を把握
Step2 歯周基本治療
ブラッシング指導、スケーリング、SRPで原因を取り除く
Step3 再評価
再検査で改善の程度を確認し、次の治療方針を決める
Step4 歯周外科治療(必要な場合のみ)
深いポケットが残る場合に、専門医療機関へご紹介
Step5 メインテナンス(SPT)
3〜4ヶ月ごとの定期管理で再発を防ぐ

軽度〜中等度の歯周病の多くは、Step2の歯周基本治療で改善が見られます。外科治療が必要になるのは、一部の進行したケースに限られます。
Step1:すべての基本となる「精密検査」と「診断」
治療は、歯周病の状態を正確に知ることから始まります。
① 歯周ポケット検査
「チクチクしますね」という、あの検査です。プローブという細い器具を使い、歯と歯ぐきの間の溝(歯周ポケット)の深さを1本ずつ測ります。健康な歯ぐきでは1〜3mm程度ですが、ポケットが深いほど歯周病が進行していることを示します。測定時の出血の有無も、炎症の大切な目安になります。

② 歯の動揺度検査
ピンセットで歯をはさんで軽く動かし、揺れの大きさと方向を調べます。健康な歯もわずかに動きますが、歯を支える骨が減るほど、前後・左右・上下に大きく揺れるようになります。

③ レントゲン撮影
歯ぐきの下に隠れて目では見えない歯を支える骨(歯槽骨)が、どれくらい失われているかをレントゲンで確認します。当院では、必要に応じて三次元で骨の状態を把握できる歯科用CTも活用します。

④ 口腔内写真の撮影
歯ぐきの色や腫れの状態を、客観的な記録として写真に残します。治療後の写真と見比べることで、ご自身の頑張りの成果を目で見て実感していただけます。

Step2:歯周基本治療 ― これが治療の「核」です
検査結果に基づき、歯周病の原因である「歯垢(プラーク)」と「歯石」を徹底的に取り除いていきます。軽度〜中等度の歯周病の多くは、この基本治療をしっかり行うことで改善が見られます。
① ブラッシング指導(TBI)
意外に思われるかもしれませんが、歯周病治療で最も重要なのは患者さんご自身の毎日の歯磨きです。歯科衛生士が、お口の状態に合った歯ブラシや補助清掃用具の選び方と、歯垢を確実に落とすための「あなたに合った磨き方」をマンツーマンでお伝えします。

② スケーリング(歯石除去)
歯ブラシでは落とせない硬く石灰化した「歯石」を、超音波の器具や専用の手用器具を使って、歯の表面や歯ぐきの浅い部分から取り除きます。
③ SRP(スケーリング・ルートプレーニング)
歯周ポケットの奥深く、歯の根(ルート)の表面にこびりついた歯石や汚染物質を取り除く処置です。同時に、根の表面をなめらかに整える(プレーニング)ことで、細菌が再び付きにくい環境をつくります。
SRPは、お口の中をいくつかのブロックに分けて、数回に分けて行うのが一般的です。ポケットが深く痛みが心配な部位は、場合によっては麻酔をして行いますのでご安心ください。


Step3:再評価 ― 治療の効果を確かめる
歯周基本治療が終わって歯ぐきが落ち着いたら、もう一度、歯周ポケットの深さや出血の有無などを検査します。最初の検査結果と比べることで、治療の効果を客観的に確認します。

再評価の結果に応じて
・歯ぐきが安定した → Step5 メインテナンスへ
・一部に深いポケットが残る → その部位のSRPを再度行う
・それでも改善が難しい → Step4 専門医療機関での歯周外科治療を検討
Step4:歯周外科治療(重度の場合・専門医療機関へご紹介)
歯周病が重度まで進行し、基本治療だけでは歯周ポケットの奥の歯石を取りきれない場合に検討する処置です。
フラップ手術や歯周組織再生療法などの歯周外科治療は、高度な専門性と長い手術時間を要するため、当院では院内では行っておりません。再評価の結果、外科治療が必要と判断した場合は、連携する専門医療機関へ責任をもってご紹介します。紹介先での治療が終わった後のメインテナンスは、当院で引き続き担当します。
紹介先で検討される代表的な外科治療は、次のとおりです。
① フラップ手術
麻酔をした上で歯ぐきを切開して開き、歯の根の深い部分を直接見ながら、歯石や感染した組織を取り除きます。処置後は歯ぐきを元の位置に戻して縫い合わせます。
② 歯周組織再生療法
フラップ手術の際に、エムドゲイン®やリグロス®などの薬剤や、GTR法の膜を用いて、失われた歯を支える骨の再生を目指す治療法です。

再生療法の仕組みや適応条件は、こちらで詳しく解説しています。
Step5:最も重要な治療後の「メインテナンス(SPT)」
歯周病は、症状が改善しても、ケアを怠れば再発しやすい慢性疾患です。糖尿病や高血圧と同じように、治療後も継続的な管理が欠かせません。

治療が終わった後も、3〜4ヶ月に一度のペースで定期的なメインテナンスに通っていただきます。歯周ポケットの再検査と、歯科衛生士による専門的なクリーニング(PMTC)で、再発の芽を早めに摘み取ります。
メインテナンスの内容や、当院の歯科衛生士チームによるサポート体制は、こちらで詳しくご紹介しています。
治療期間・通院回数の目安
治療にかかる期間は、歯周病の進行度や歯の本数、セルフケアの状況によって大きく変わります。あくまで目安として、次のように考えてください。
軽度(歯肉炎〜軽度歯周炎)
検査〜基本治療で1〜3ヶ月程度、通院は数回
中等度
SRPを数回に分けて行い、再評価まで3〜6ヶ月程度
重度
専門医療機関での外科治療を含めると半年〜1年以上かかることも
治療後
3〜4ヶ月ごとのメインテナンスを継続

治療計画をお伝えする際に、おおよその期間と回数もご説明します。お仕事やご家庭のご都合も、遠慮なくご相談ください。
治療を成功させるために、大切にしていただきたいこと
・毎日のセルフケアを続ける(治療効果の大部分を左右します)
・治療を途中でやめない(中断すると炎症がぶり返します)
・喫煙している方は、できるだけ禁煙を(治りが大きく変わります)
・糖尿病などの持病やお薬は、必ずお知らせください
よくあるご質問(歯周病治療の流れ)
Q. 歯石は、毎日の歯みがきで取れますか?
A. 取れません。歯石は、歯垢が唾液のミネラルと結びついて石のように硬くなったもので、一度できると歯ブラシでは落とせません。とくに歯ぐきの下にできた歯石は、ご自分では見ることもできません。歯科医院で専用の器具を使って取り除きます。毎日の歯みがきの役割は、歯石のもとになる歯垢を、固まる前に落とすことです。
Q. SRP(歯の根の歯石取り)は痛いですか?
A. 歯周ポケットが浅い部分は、ほとんど痛みなく行えます。ポケットが深く炎症が強い部分は痛みを感じやすいため、必要に応じて麻酔をして行います。痛みが心配な方は、遠慮なくお申し出ください。
Q. 深くなった歯周ポケットは、クリーニングで元に戻りますか?
A. 歯周基本治療で炎症が治まると、腫れていた歯ぐきが引き締まり、ポケットが浅くなることは多くあります。ただし、医院でのクリーニングだけでは十分ではありません。毎日の歯みがきをきちんと続けること、そして喫煙など歯周病を悪化させる生活習慣を一緒に見直すことで、はじめて改善が期待できます。それでも深いポケットが残る場合は、連携する専門医療機関での歯周外科治療を検討します。
Q. 歯周外科手術は必ず必要になりますか?
A. いいえ。軽度〜中等度の歯周病の多くは、歯周基本治療と毎日のセルフケアで改善します。外科治療を検討するのは、再評価で深い歯周ポケットが残った一部のケースで、その場合は連携する専門医療機関へご紹介します。
Q. 治療後に歯がしみたり、歯ぐきが下がったりすることはありますか?
A. 炎症が治まると腫れていた歯ぐきが引き締まるため、歯ぐきが下がったように見えたり、一時的に冷たいものがしみたりすることがあります。多くは時間とともに落ち着きますが、気になる場合はしみ止めの処置などで対応します。
Q. 途中で通院をやめるとどうなりますか?
A. 歯周ポケットの奥に歯石や細菌が残ったままになるため、炎症がぶり返し、歯周病が再び進行するおそれがあります。ご都合で通院が難しくなった場合も、中断せずにまずはご相談ください。
酒井歯科医院では、歯周病の治療だけでなく、再発を防ぐメインテナンスと予防ケアにも力を入れています。当院が対応している治療の全体像は診療案内ページで、医院の診療方針や院内環境については酒井歯科医院トップページからご覧いただけます。
執筆・監修歯科医
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まず、お渡しします
理事長・院長
酒井直樹
SAKAI NAOKI
経歴
- 1980年 福島県立磐城高等学校卒業
- 1988年 東北大学歯学部卒業
- 1993年 酒井歯科医院開院
- 2020年 医療法人SDC設立 理事長就任
所属学会・勉強会
- 日本臨床歯科CADCAM学会
- 日本顎咬合学会
- 日本口育協会
- 日本歯科医師会
- 日本歯周内科学研究会
- ドライマウス研究会




