歯周病のメインテナンスとは、歯周病の治療で歯ぐきの状態が落ち着いた後に、再発を防ぐために行う定期的な専門管理のことです。保険診療では、病状が安定した段階での管理を「歯周病安定期治療(SPT)」と呼びます。歯周病は治療で改善しても再発しやすい慢性疾患のため、3〜4ヶ月ごとに歯周ポケットの検査、セルフケアの確認、歯科衛生士による専門的なクリーニング(PMTC)を続けることが、歯を長く守るための鍵になります。いわき市中央台の酒井歯科医院では、7名の歯科衛生士が在籍し、チームで毎月600名以上の方のメインテナンスを担当しています。
はじめに:歯周病治療のゴールは「治す」ことではありません
長い歯周病の基本治療を終えられた方、本当にお疲れさまでした。歯ぐきの腫れや出血もおさまり、お口の中がすっきりと気持ちの良い状態になったことと思います。
ただ、残念ながらこれで「終わり」ではありません。むしろここからが、取り戻した健康な状態を生涯にわたって守り続けるためのスタートです。このページでは、治療が終わっても歯周病が再発する理由と、それを防ぐ「メインテナンス(SPT)」について解説します。

なぜ、歯周病は治療が終わっても再発するのか
歯周病は、糖尿病や高血圧と同じ「慢性疾患」です。一度骨が溶けてできた深い歯周ポケットは、治療で炎症がおさまっても、その「溝」が完全に元どおりになるわけではありません。

たとえるなら、歯周病治療は庭の雑草を根こそぎ抜き取るようなものです。庭の土壌(お口の環境)や深い穴が変わらなければ、どこからか種が飛んできて、雑草はまた簡単に生えてきます。

毎日の歯磨きはもちろん大切ですが、深いポケットの底までを毎日完璧に清掃し続けることは、どんなに丁寧な方でも困難です。わずかに残った細菌は時間をかけて再び増え、3ヶ月ほどで歯周病を起こす力を取り戻すといわれています。

さらに、次のようなマイナス要素が残っていると、再発のリスクは一段と高まります。
再発を招く主なマイナス要素
・日々の清掃不良(磨き残し)
・喫煙習慣
・歯ぎしり・食いしばりなどの負担過多
・糖尿病などの全身疾患のコントロール不良

再発を防ぐ要 ― メインテナンス(SPT)とは
再発を防ぐ最も確実な方法が、歯科医院での定期的な「メインテナンス」です。治療によって病状が安定した段階で続ける管理を、保険診療では「歯周病安定期治療(SPT:Supportive Periodontal Therapy)」といいます。当院では、このSPTを含めた治療後の定期管理を「メインテナンス」と呼んでいます。
メインテナンスは、単なる「歯のお掃除」ではありません。歯周ポケットの状態を定期的に確かめ、再発の兆しを早めに見つけて手を打つ、歯周病の再発予防に特化した医療です。治療後に定期的なメインテナンスを続けた人は、続けなかった人に比べて、歯を失う本数が少ないことが長期の研究で報告されています。

当院のメインテナンスの内容(1回約30分)
当院のメインテナンスは1回約30分。お口全体の状態を確認し、その日の状態に合わせて次のようなケアを行います。
✅ ① 歯周ポケットの再検査
歯周ポケットの深さや、検査時の出血の有無を定期的に確認し、再発の兆しがないかをチェックします。前回の結果と比べることで、わずかな変化も見逃さないようにしています。


✅ ② セルフケアの確認とアドバイス
歯垢の付き具合をチェックし、ご自身の歯磨きの「弱点」を、口腔内写真をiPadに映しながら一緒に確認します。お口の状態に合った歯ブラシや補助清掃用具の使い方もお伝えし、セルフケアの技術とモチベーションを保つお手伝いをします。

✅ ③ PMTC(専門的な機械的歯面清掃)
歯科衛生士が専用の機器を使い、ご自身の歯磨きでは落としきれない、歯周ポケットの入り口や歯と歯の間に潜む細菌の塊「バイオフィルム」を徹底的に除去します。必要に応じて、新たに付いた歯石の除去やフッ素の塗布も行います。


メインテナンスに通う頻度の目安
通院間隔の目安
・歯ぐきの状態が安定している方 → 3〜4ヶ月に1回
・再発リスクが高い方(深いポケットが残っている、喫煙・糖尿病がある など)→ 1〜2ヶ月に1回
・専門医療機関で歯周外科治療を受けた方 → 状態に合わせて間隔を調整

適切な間隔は、歯ぐきの状態や生活習慣によって一人ひとり異なります。検査の結果をもとに、あなたに合った間隔をご提案します。調子が良いからと自己判断で間隔を空けてしまうと、気づかないうちに再発が進むこともありますので、ご注意ください。
当院の強み ― 7名の歯科衛生士によるチームのサポート体制
歯周病の再発を防ぐ質の高いメインテナンスこそ、当院が最も力を入れている分野です。当院には、7名の歯科衛生士が在籍しています。
この体制で、毎月600名以上の方がメインテナンスのために来院されています。当院に通われる患者さんの半数以上が、何年にもわたって定期的なメインテナンスを続けてくださっている方々です。これは私たちの何よりの誇りです。

✅ あえて「完全担当制」にしていない理由
「できれば、いつも同じ衛生士さんに担当してほしい」・・・そのお気持ちは、私たちもよく理解しています。そのうえで当院では、あえて完全担当制にはしていません。
担当の衛生士が急な体調不良やご家族の事情でお休みすることもあります。また当院では、スタッフに気兼ねなく有給休暇を取得し、心身ともにリフレッシュしてほしいと考えています。そのため、3ヶ月先の予約日に特定のスタッフが必ず勤務日であるというお約束はできません。「担当者がいないので予約を変更してください」とご迷惑をおかけすることだけは避けたい、というのが私たちの考えです。
✅ 「チーム」であなたの歯を守ります
だからこそ当院では、誰か一人に頼るのではなく、在籍する歯科衛生士全員が患者さんの情報を共有し、誰が担当しても同じ質のメインテナンスを提供できる「チーム医療体制」を整えています。「あの人でなければ」ではなく、「酒井歯科医院の衛生士さんなら誰でも安心」。そう感じていただけることが、私たちの目標です。

治療のゴールは「守り続ける」こと
歯周病治療の本当のゴールは、歯ぐきの炎症を「治す」ことではありません。治療によって取り戻した健康な状態を、生涯にわたって「守り続ける」ことです。
その長く、価値ある道のりのパートナーとして、私たち「チーム酒井歯科医院」がいつもそばにいます。専門医療機関で歯周外科治療を受けられた方のその後のメインテナンスも、当院で責任をもって担当します。
よくあるご質問(歯周病のメインテナンス)
Q. メインテナンスはどのくらいの間隔で通えばよいですか?
A. 歯ぐきの状態が安定している方は、3〜4ヶ月に1回が目安です。深い歯周ポケットが残っている方や、喫煙・糖尿病など再発リスクが高い方は、1〜2ヶ月に1回をおすすめすることもあります。検査の結果をもとに、一人ひとりに合った間隔をご提案します。
Q. 1回のメインテナンスでは、何をどのくらいの時間で行いますか?
A. 1回約30分で、歯周ポケットの検査、セルフケアの確認とアドバイス、歯科衛生士による専門的なクリーニング(PMTC)を行います。必要に応じて、歯石の除去やフッ素の塗布も行います。
Q. 痛みや腫れがなければ、通わなくても大丈夫ですか?
A. 歯周病の再発は、痛みなどの自覚症状がないまま静かに進むことがほとんどです。症状が出たときには、すでに進行していることも少なくありません。調子が良いときこそ、定期的なメインテナンスで状態を確認することが大切です。
Q. 担当の歯科衛生士を決めてもらうことはできますか?
A. 当院では、ご予約を確実にお取りするため、完全担当制にはしていません。歯科衛生士全員が患者さんの情報を共有し、誰が担当しても同じ質のメインテナンスを提供できる体制を整えていますので、ご安心ください。
酒井歯科医院では、歯周病の治療だけでなく、再発を防ぐメインテナンスと予防ケアにも力を入れています。当院が対応している治療の全体像は診療案内ページで、医院の診療方針や院内環境については酒井歯科医院トップページからご覧いただけます。
執筆・監修歯科医
治した歯を
二度と悪くさせない
理事長・院長
酒井直樹
SAKAI NAOKI
経歴
- 1980年 福島県立磐城高等学校卒業
- 1988年 東北大学歯学部卒業
- 1993年 酒井歯科医院開院
- 2020年 医療法人SDC設立 理事長就任
所属学会・勉強会
- 日本臨床歯科CADCAM学会
- 日本顎咬合学会
- 日本口育協会
- 日本歯科医師会
- 日本歯周内科学研究会
- ドライマウス研究会




