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歯を失った後の治療法には、インプラント・ブリッジ・入れ歯の3つがあります。それぞれ、噛む力、見た目、周りの歯への影響、手術の有無、費用、治療期間が異なり、どれが合うかは失った歯の場所や本数、残っている歯の状態、全身の健康状態、ご希望によって変わります。このページでは、いわき市の酒井歯科医院の歯科医師が3つの治療法を比較し、状況別の選び方をご紹介します。

歯を失ったまま放置するとどうなる?

歯を1本失うだけで、お口全体のバランスは崩れ始めます。私たちの噛み合わせは、例えるなら家を支える『建物の柱』のようなものです。上下28本の歯が互いに支え合い、力を分散させることで、健康な咀嚼と生活が成り立っています。

もし、その柱が一本、また一本と失われてしまったら…?
その先に待っている未来を、こちらの動画でまずご覧ください。

歯の喪失と顔の変化

歯が失われたままでいると、残された柱(歯)は傾き、向かいの天井(向かいの歯)は伸びて落ち込んできて、やがて建物(お口全体)は、ゆっくりとではありますが確実に崩壊へと向かっていきます。建物と違い、一度崩れてしまったお口の健康を、完全に取り戻すことはできません。

歯を失ったまま放置すると、両隣の歯が傾き、向かいの歯が伸びてきて噛み合わせが崩れる様子のイラスト

だからこそ、手遅れになる前に、失われた柱を「再建」するための3つの選択肢(インプラント・ブリッジ・入れ歯)について、真剣に考えていただきたいのです。このページが、あなたにとっての「最善」を見つけるためのガイドブックになれば幸いです。


【比較早見表】3つの治療法の違いが一目でわかる

まず、インプラント・ブリッジ・入れ歯の主な違いを一覧で確認しましょう。それぞれの詳しい特徴は、表の後で解説します。

失った歯を補うインプラント・ブリッジ・入れ歯の3つの治療法を並べて比較したイラスト
インプラントブリッジ入れ歯
見た目★★★★★
(自然)
★★★★☆
(比較的自然)
★★☆☆☆
(金属のバネが見えることも)
噛む力★★★★★
(天然の歯に近い感覚)
★★★★☆
(比較的よく噛める)
★★☆☆☆
(硬いものは苦手)
周りの歯への影響◎
(周りの歯を削らない)
△
(両隣の歯を削る)
△
(バネをかける歯に負担)
手術必要不要不要
治療期間の目安長い
(5〜8か月程度)
比較的短い比較的短い
(通院7回前後)
費用高額
(自費診療)
保険適用あり
(自費も選べる)
保険適用あり
(自費も選べる)

それぞれの費用は、料金表でご確認いただけます。


インプラント・ブリッジ・入れ歯 それぞれの特徴

比較早見表で全体像をつかんだところで、それぞれの治療法の特徴を詳しく見ていきましょう。

✅ ① インプラント ― 周りの歯を削らずに、1本ずつ独立した歯を取り戻す治療

歯を失った部分の顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込み、それを土台に独立した歯を取り戻す方法です。

歯を失った部分の顎の骨にインプラントを埋め込み、人工の歯を取り付けた状態の断面イラスト
インプラント体(人工歯根)・アバットメント(土台)・人工の歯の3つの部品を縦に並べた構造のイメージ
※画像はイメージです

⭕ メリット

  • 周りの健康な歯を削らずに済みます。
  • 天然の歯に近い感覚で、しっかり噛むことができます。
  • 見た目が自然です。

❌ デメリット

  • 外科手術が必要です。
  • 治療期間が比較的長くなります。
  • 健康保険が適用されない自費診療です。
  • 顎の骨が足りない場合は、骨を補う処置(骨造成)が必要になることがあります。
  • 長く使い続けるために、定期的なメインテナンスが欠かせません。

当院では、少数歯の比較的シンプルな症例は院長が、本数の多い症例や骨造成が必要な症例は、奥羽大学 口腔外科学教室の高田教授が院内で手術を担当しています。費用・期間・リスクの詳細は、インプラントのページでご紹介しています。

✅ ② ブリッジ ― 固定式で、比較的違和感の少ない治療

失った歯の両隣の歯を土台として削り、そこに橋(ブリッジ)をかけるように連結した被せ物を装着する方法です。

失った歯の両隣の歯を削って土台にし、3本つながった被せ物を装着するブリッジの断面イラスト
奥歯の3本分がつながった白いブリッジ
※画像はイメージです

⭕ メリット

  • 固定式なので、入れ歯のような違和感が少なくて済みます。
  • 保険適用で作製できる場合が多くあります。
  • 手術が不要で、比較的短い期間で治療が終わります。

❌ デメリット

  • 支えにするために、両隣の歯を大きく削らなければなりません(最大のデメリットです)。
  • 支えとなる歯に大きな負担がかかり、将来的にその歯の寿命を縮めてしまう可能性があります。
  • 一番奥の歯を失った場合など、失った歯の場所や本数によってはブリッジにできません。
  • 被せ物と歯ぐきの間に食べ物が詰まりやすく、清掃が難しくなります(歯間ブラシなどが必須です)。

✅ ③ 入れ歯(義歯)― 手術が不要で、幅広い症例に対応できる治療

取り外し式の装置で、部分入れ歯は残っている歯に金属のバネ(クラスプ)などをかけて、総入れ歯は歯ぐきに吸着させて安定させる方法です。

残っている歯にバネをかけて固定する部分入れ歯(左)と、歯ぐきに吸着させる総入れ歯(右)のイラスト
金属のバネ(クラスプ)で残っている歯に固定する、保険適用のプラスチック(レジン)製の部分入れ歯
※画像はイメージです

⭕ メリット

  • 健康な歯をほとんど削らずに済みます。
  • 外科手術が不要で、身体への負担が少ない治療です。
  • 失った歯が多い場合にも対応でき、保険適用で費用を抑えて作製できます。

❌ デメリット

  • 硬いものや粘りのあるものが噛みにくいことがあります。
  • 慣れるまで、違和感や発音のしにくさを感じることがあります。
  • 保険の部分入れ歯では、金属のバネが見えることがあります。
  • 毎日、取り外してのお手入れが必要です。

入れ歯の基本や作製の流れは「入れ歯治療」のページで、保険・自費の入れ歯の種類と費用は「入れ歯の種類と特徴」のページでご紹介しています。


状況別の選び方

どの治療法が合うかは、失った歯の場所や本数、残っている歯の状態によって大きく変わります。代表的なケースごとに、主な選択肢をまとめました。

両隣に歯が残っている場合(左)はブリッジができ、一番奥の歯を失った場合(右)は後ろに支えがないためブリッジができないことを示すイラスト

1本だけ失い、両隣の歯が健康な場合

両隣の歯を削らずに済むインプラントか、手術がなく比較的短期間で終わるブリッジが選択肢になります。周りの歯を守りたいか、治療の手軽さを優先したいかで選び方が変わります。

両隣の歯がすでに大きく治療されている場合

両隣の歯にもともと大きな詰め物や被せ物がある場合は、その歯を土台として活かせるブリッジも有力な選択肢になります。

一番奥の歯を失った場合

後ろ側に支えとなる歯がないため、基本的にブリッジはできません。インプラントか部分入れ歯が主な選択肢になります。

失った歯が多い・すべての歯を失った場合

部分入れ歯や総入れ歯が中心になります。顎の骨の状態によっては、複数本のインプラントで歯を取り戻すこともできます。

手術は避けたい・持病が心配な場合

手術のいらないブリッジか入れ歯をおすすめします。持病のある方も、まずはご相談ください。

費用をできるだけ抑えたい場合

保険適用で作製できるブリッジか入れ歯が選択肢になります。

実際には、歯ぐきや顎の骨の状態、噛み合わせ、全身の健康状態によって、選べる治療法が変わることもあります。検査をしたうえで、それぞれの選択肢をご説明します。

「歯が生えてくる薬」や「貼るだけで歯が再生するパッチ」のニュースを見て、治療を待った方がよいのでは、と迷う方もいらっしゃいます。歯の再生の研究は進んでいますが、一般の治療として使えるようになるまでには、まだ長い時間がかかります。失った歯はそのままにせず、今ある治療法で早めに補うことをおすすめします。研究の今は、歯生え薬TRG035と韓国の歯の再生パッチは本当?の記事でご紹介しています。


あなたに合った治療法を、一緒に選びましょう

インプラント・ブリッジ・入れ歯には、それぞれ異なるメリットとデメリットがあります。「手術が不安」「費用を抑えたい」「できるだけ自然に見せたい」など、優先したいことは患者さんによって異なります。
酒井歯科医院では、3つの選択肢のメリット・デメリットをすべてご説明したうえで、最終的にどの治療法を選ぶかを、患者さんご自身にご納得のうえで決めていただくことを何よりも大切にしています。

歯科医師がiPadの画像を見せながら、高齢の患者さんにインプラント・ブリッジ・入れ歯の違いを説明している様子
※写真はイメージです

当院の説明・カウンセリングへの取り組みは、こちらでご紹介しています。

あなたにとっての「最善」を、一緒に見つけましょう。


歯を失った後の治療法についてよくあるご質問

Q. インプラント・ブリッジ・入れ歯の中で、一番良い治療法はどれですか?

A.「一番良い治療法」は、お口の状態・年齢・全身の健康状態・費用・生活スタイルによって異なります。周りの歯を削りたくない方にはインプラントが、手術を避けたい方や費用を抑えたい方にはブリッジや入れ歯が向いている場合があります。当院では、それぞれのメリット・デメリットをご説明したうえで、患者さんご自身に選んでいただいています。

Q. 歯を抜いたまま放置すると、どうなりますか?

A.歯を失ったまま放置すると、隣の歯が傾いて倒れ込み、向かいの歯が伸び出してくることで、噛み合わせ全体が崩れていきます。その結果、ほかの歯を失うリスクが高まり、治療も難しくなります。歯を失ったら、早めに歯科医院にご相談ください。

Q. ブリッジにするには、健康な歯を削らないといけないのですか?

A.はい。ブリッジは、失った歯の両隣の歯を土台として削る必要があります。これがブリッジの最大のデメリットです。削った歯は将来的に寿命が短くなるおそれがあるため、両隣の歯が健康な場合ほど、インプラントも選択肢として検討する価値があります。

Q. 保険でできる治療はどれですか?

A.ブリッジと入れ歯は、保険適用で作製できます(ブリッジは、失った歯の場所や本数などの条件によっては保険で作れない場合があります)。インプラントは自費診療です。ブリッジや入れ歯も、見た目や着け心地にこだわった自費の素材を選ぶことができます。

Q. 一番奥の歯を失った場合は、どの治療法になりますか?

A.一番奥の歯を失った場合は、後ろ側に支えとなる歯がないため、基本的にブリッジはできません。インプラントか部分入れ歯が主な選択肢になります。顎の骨の状態や、残っている歯の状態を検査したうえで、どちらが合うかをご説明します。

Q. 「欠損補綴(けっそんほてつ)」とは、どういう意味ですか?

A.「欠損」は歯を失った状態、「補綴(ほてつ)」は失った歯を人工物で補う治療のことです。つまり「欠損補綴」は、インプラント・ブリッジ・入れ歯などで、歯を失った所を補い、噛む・話すといった働きを取り戻す治療をまとめて指す言葉です。

酒井歯科医院では、インプラント・ブリッジ・入れ歯など、歯を失った後の選択肢を患者さんと一緒に考えます。当院が対応している治療の全体像は診療案内ページで、医院の診療方針や院内環境については酒井歯科医院トップページからご覧いただけます。

執筆・監修歯科医

3つの選択肢
あなたに合うのはどれか
正直にお伝えします