反対咬合(受け口)の方は、歯が20本未満になるリスクが1.48倍高い。
これは東北大学大学院歯学研究科が40歳以上の地域住民約1万7,000人を対象に実施した研究で明らかになった数字です。歯を失う原因として虫歯や歯周病はよく知られていますが、噛み合わせの乱れ(不正咬合)もまた、将来の歯の本数に大きく影響することが示されました。
この記事では、研究データをもとに受け口と歯の寿命の関係を整理し、将来できるだけ多くの歯を守るための噛み合わせ管理の考え方を歯科医の立場から解説します。
「歯を失う原因」は虫歯・歯周病だけではない|噛み合わせという第三の要因
東北大学大学院歯学研究科の研究により、反対咬合(受け口)の方は、歯が20本未満になるリスクが1.48倍高いことが報告されています。 本研究では、40歳以上の地域住民1万7,349人を対象に解析が行われ、特に奥歯の喪失リスクが高いことも明らかになりました。
この結果から、噛み合わせの異常(不正咬合)の早期発見や矯正歯科治療が、生涯にわたる歯の保存や健康寿命の延伸に寄与する可能性が示唆されています。
出典:東北大学大学院歯学研究科 プレスリリース
「反対咬合(受け口)は歯20本未満リスクが1.48倍 ―1.7万人解析―」
(2026年1月8日 公開)
私自身、東北大学歯学部の卒業生として、この研究成果を大変心強く受け止めています。
「噛み合わせが歯に負担をかける」とは臨床の現場でも実感してきたことですが、今回の研究はその感覚を約1万7,000人規模のデータで裏付けるものです。数字として示されることで、患者さんへの説明もより伝わりやすくなると感じています。

こんにちは。いわき市中央台の酒井歯科医院です。
毎日の歯みがきや定期検診、しっかり意識して取り組んでいらっしゃいますか? 「歯を大切にする」と聞くと、多くの方がまず思い浮かべるのは「虫歯」や「歯周病」の予防かもしれません。
それらに加えて、近年の研究により、「歯並び(噛み合わせ)」そのものが将来どれだけ自分の歯を残せるかに深く関わっていることが分かってきました。
今回は、私も若き日にお世話になった東北大学から発表された研究結果をもとに、少し意外で、そして将来のためにとても大切なお話を分かりやすくご紹介します。

受け口(反対咬合)は歯を失いやすい? 約1万7,000人を対象とした東北大学の研究
歯を失う主な原因として、これまでは虫歯や歯周病が中心に語られてきました。噛み合わせが歯に負担をかけるという認識はありましたが、「どのような噛み合わせが」「どれくらい歯の喪失リスクを高めるのか」を大規模なデータで示した研究は多くありませんでした。
この問いに答えるため、東北大学の研究グループは40歳以上の地域住民約1万7,000人を対象とした解析を実施。咬合状態と歯の喪失との関係を体系的に調べた結果、反対咬合(受け口)に特有のリスクが浮かび上がりました。
研究データが示す「1.48倍」のリスク|反対咬合と歯の喪失の関係
調査の結果、反対咬合(受け口)の方は、そうでない方に比べて歯が20本未満になるリスクが1.48倍高いことが明らかになりました。
反対咬合とは、上下の歯を噛み合わせたときに下の前歯が上の前歯より前に出ている状態を指します。一見すると大きな問題がないように見えても、この噛み合わせが長年続くことで、特定の歯に過剰な力がかかり続ける可能性があります。
本来であれば上下14〜16組の歯全体で噛む力を分散させるところを、反対咬合では機能的に噛める部位が限られるため、一部の歯への負担が慢性的に集中してしまうのです。

反対咬合で奥歯を失いやすい理由|噛み合わせと過剰な歯への負担
今回の研究で特に注目すべき点は、反対咬合の方では「奥歯の喪失が多い傾向」が見られたことです。
噛み合わせのバランスが崩れていると、特定の歯、特に奥歯に過剰な力がかかり続けてしまうことがあります。 その結果、歯や歯ぐきにダメージが蓄積し、将来的な歯の喪失につながる可能性があるのです。

今回の研究は、矯正歯科治療によって噛み合わせを整えることが、見た目の改善にとどまらず、歯の寿命を延ばす可能性があることを示唆しています。特に、反対咬合のような不正咬合に対する早期介入が、将来的な奥歯の喪失予防につながると考えられます。

受け口かもしれない方へ|今日からできるお口のセルフチェック
「もしかして自分も受け口かもしれない…」と感じた方は、まずはご自身のお口の状態を知ることが大切です。
鏡で噛み合わせをチェック
イーっと噛んだときに、下の前歯が上の前歯より前に出ていないか確認してみましょう。
定期検診で相談する
自己判断が難しいケースも多いため、歯科医院では虫歯や歯周病だけでなく、噛み合わせのバランスも専門的に確認できます。
まとめ|将来の歯の本数を守るために、今の噛み合わせを見直してみませんか?
今回の研究から、受け口(反対咬合)が将来の歯の本数に影響することが、数字として示されました。
「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という8020運動を達成するためには、 歯みがきや定期的なメンテナンスに加えて、噛み合わせの管理も重要な要素となります。
酒井歯科医院では、噛み合わせのチェックから矯正相談まで、患者さん一人ひとりのお口の状態に合わせた丁寧な診査・アドバイスを行っています。「自分の噛み合わせは大丈夫かな?」「受け口かもしれないけれど矯正が必要?」など、気になることがあればどうぞご相談ください。

よくあるご質問
Q. 反対咬合(受け口)だと、なぜ歯を失いやすいのですか?
A.反対咬合では、噛み合わせのバランスが崩れることで特定の歯(特に奥歯)に過剰な力が集中しやすくなります。この状態が長期間続くと、歯や歯ぐきへのダメージが蓄積し、歯の喪失リスクが高まることが東北大学の研究で示されています。
Q. 反対咬合かどうかを自分で確認する方法はありますか?
A.鏡の前でイーっと歯を噛み合わせたときに、下の前歯が上の前歯より前に出ていれば反対咬合の可能性があります。ただし自己判断が難しいケースも多いため、歯科医院での確認をおすすめします。
Q. 矯正治療を受ければ歯の喪失リスクを下げられますか?
A.矯正歯科治療によって噛み合わせを整えることで、特定の歯への過剰な負担を軽減できる可能性があります。研究では不正咬合の早期発見と治療が生涯にわたる歯の保存に寄与する可能性が示唆されており、当院でもご相談を受け付けています。
本文中の用語について
⚫反対咬合(はんたいこうごう、受け口):
下の前歯が上の前歯より前に出てかみ合う状態。
⚫不正咬合(ふせいこうごう):
歯並びやかみ合わせが正常な位置関係から外れている状態。
酒井歯科医院では、虫歯や歯周病の治療だけでなく、再発を防ぐ予防歯科にも力を入れています。医院の診療方針や診療内容については、酒井歯科医院トップページからご覧いただけます。
執筆・監修歯科医
噛み合わせから
歯の寿命を守る歯科医
理事長・院長
酒井直樹
SAKAI NAOKI
経歴
- 1980年 福島県立磐城高等学校卒業
- 1988年 東北大学歯学部卒業
- 1993年 酒井歯科医院開院
- 2020年 医療法人SDC設立 理事長就任
所属学会・勉強会
- 日本臨床歯科CADCAM学会
- 日本顎咬合学会
- 日本口育協会
- 日本歯科医師会
- 日本歯周内科学研究会
- ドライマウス研究会




