こんにちは、いわき市中央台の酒井歯科医院です。
現代の歯科医療における最重要テーマ
歯周病予防は、現代の歯科医療において最も重要なテーマの一つとされています。特に日本では、虫歯が減少している一方で歯周病が増加する傾向が続いており、多くの方が気づかないうちに歯周病を進行させてしまうケースが増えています。

歯周病は痛みを感じにくく、自覚症状が乏しいまま静かに進む病気であり、気づいたときには歯を支える骨が大きく失われていることも珍しくありません。こうした状況を防ぐためには、早期発見と継続的なケアが欠かせません。
また、歯周病予防の中心となる歯石除去や歯科医院でのメンテナンスは、家庭での歯磨きだけでは補えない重要なプロセスです。特に歯周病が増加している背景には、食生活の変化や口呼吸、ストレスの増加など現代社会特有の要因も含まれており、生活習慣と歯の健康は密接に関連しています。
定期的な歯科医院メンテナンスを受けることで、歯石や細菌の蓄積を防ぎ、健康な状態を維持しやすくなります。さらに、歯周病予防はお口の健康だけでなく、心疾患や糖尿病をはじめとする全身の健康とも深く関係していることがわかってきました。
つまり、歯周病対策は単なる“お口の問題”ではなく、全身の健康に関わる重要な取り組みなのです。こうした背景を踏まえ、今回の記事では歯周病予防の基本や歯石除去の役割、そして歯科医院での定期メンテナンスの重要性について詳しく解説し、皆さまが健康な毎日を過ごすためのヒントをお伝えします。

「歯医者さんって、街中にたくさんある気がするけど、本当に将来足りなくなるの?」
「虫歯は減ったって聞くけど、自分の歯は本当に大丈夫?」
という疑問や不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。今回は歯周病予防をテーマに、最近話題になっている虫歯の減少と歯周病の増加の背景、そして歯科医院におけるメンテナンスや歯石除去の重要性について詳しく解説します。
1. 虫歯の減少でも安心できない? 歯周病の増加が世界的な問題に
虫歯の減少の理由と歯科医療の現状
実は今、子どもの虫歯は大きく減少しています。約30年前は6歳から8歳のお子さんの9割近くが虫歯になっていましたが、2022年には3割未満に減りました。これは、日々の歯みがき習慣の定着やフッ素塗布の機会が増えたことなどが理由として挙げられます。
同時に歯科医療全体を見てみると、歯科医院の倒産や休業・解散件数が過去最多になっているという厳しい現実があります。これは、保険診療がメインの歯科医院経営が難しくなっていることや、歯科医師の高齢化が進んでいること、さらには将来的に地方などで歯科医師が不足していく可能性があるという懸念に繋がっています。

世界で最も蔓延している病気=歯周病
虫歯が減る一方で、実は逆に歯周病は増加しています。
歯周病は、その蔓延の広さから、なんと「世界で最も一般に蔓延している感染症」としてギネス世界記録にも認定されているほどです。WHO(世界保健機関)によると、世界には重度の歯周病患者が約10億人いるとされています。

歯周病は、虫歯のように「痛い」という自覚症状がほとんどないため、「気づいたときには手遅れ」になってしまうことがあり怖い病気でもあります。

生活習慣と歯周病の増加の関係
歯周病は、細菌の感染によって歯茎や歯を支える骨などが炎症を起こし、溶けていく病気です。歯が抜ける理由の約半分は、この歯周病が原因だと言われています。
歯周病が増えている背景には、私たちの日常的な習慣が関わっています。
1. 柔らかい食事 → 唾液量が減る
食べ物が柔らかくなると、しっかり噛む回数が減り、唾液の分泌量も少なくなってしまいます。また、噛む回数が減ると唾液が減り、歯周病予防の働きが弱まります。
2. 口呼吸の増加 → お口の乾燥
口呼吸が増えると、口の中が乾燥しやすくなります。唾液には細菌の増殖を抑える抗菌作用がありますが、乾燥するとその作用が低下してしまうのです。乾燥すると歯周病菌が増殖しやすくなります。
唾液の重要性について詳しく知りたい方はこちらもどうぞ。
歯石除去は歯周病予防の必須ケア
歯周病の原因は、細菌の塊である「歯石」です。この歯石は、一度できてしまうと毎日の歯みがきでは取り除くことができません。
イメージしてみてください。歯周病は、まるで「家の土台(歯を支える骨)」が、シロアリ(歯周病菌)にゆっくりと侵食されている状態です。シロアリの駆除(歯石除去)を専門家に任せなければ、柱(歯)がグラグラになり、最終的に家が倒れてしまうように、自覚症状がないからといって放置することは非常に危険です。
2. 歯周病予防の基本|歯石除去と歯科医院メンテナンスの重要性
歯科医院メンテナンスは“悪くなる前に行う”時代へ
従来は「痛くなったら行く場所」だった歯科医院。しかし今は、歯科医院メンテナンスによって悪化を防ぐ時代です。

歯医者さんを「修理工場」から「メンテナンス拠点」へ
これまでの歯科医院は、「虫歯が痛くなってから行く場所」というイメージが強かったかもしれません。ですが、これからの歯科医院は、「歯のメンテナンスのために定期的に行く場所」へと役割を変えていくべきだと専門家は指摘しています。定期的なメンテナンスこそが、自覚症状なく進行する歯周病の予防に繋がります。
お子さんの予防についてはこちらも参考になります。
今日からできる歯周病予防行動
1. 半年に1回は歯石除去(プロケア)
歯石除去によって歯周病の進行を早期に止めることができます。これは歯周病予防の最重要ポイントです。
歯周病の原因となる歯石は、歯磨きでは除去できません。我々歯科医師は「歯石除去は、少なくとも半年に一回は行っていただきたい」と推奨しています。
歯周病の進行を早期に発見し、細菌の塊(歯石)をプロの手でしっかりと除去することが、あなたの歯を守る一番の対策となります。
当院のメンテナンス内容についてはこちら
2. よく噛む習慣をつける
噛むことで唾液が増え、歯周病予防につながります。また、口腔機能の維持は高齢期の健康にも影響します。
意識してよく噛むことで、唾液の分泌を促し、お口の中の抗菌作用を高めましょう。これは、噛む機能の維持、さらには高齢になったときの認知レベルの維持にも関わってきます。
「噛めない」期間が体に与える影響
合わない入れ歯を使い続けたり、歯周病で噛めない期間が長くなったりすると、唾液が減少し、口腔内に悪影響が出ます。また、食べ物を十分に噛み切れない大きな塊のまま胃に送ってしまうと、当然のように胃に大きな負担がかかることがあります。実際、合わない入れ歯を使い続けた結果、胃潰瘍を発症したという事例も報告されています。
よく噛む力は矯正治療にも実は関係します。
3. 酒井歯科医院からのメッセージ|地域と歩む歯周病予防
酒井歯科医院では、患者さんの歯を長く守るため、治療だけでなく予防とメンテナンスを重視しています。
虫歯が減った時代だからこそ、私たち歯科医院と患者さんが手を組み、「痛くなる前に守る」という意識を共有することが大切です。歯科医院を、あなたの「お口の健康を守るためのパートナー」として、ぜひ定期的なメンテナンスにお越しください。

私たち市内の歯科医院は、いわき市の地域社会の皆様が、生涯にわたってご自身の歯で美味しく食事ができ、笑顔でいられるようサポートしてまいります。
執筆・監修歯科医
地域の歯を守る予防の専門家
理事長・院長
酒井直樹
SAKAI NAOKI
経歴
- 1980年 福島県立磐城高等学校卒業
- 1988年 東北大学歯学部卒業
- 1993年 酒井歯科医院開院
- 2020年 医療法人SDC設立 理事長就任
所属学会・勉強会
- 日本臨床歯科CADCAM学会
- 日本顎咬合学会
- 日本口育協会
- 日本歯科医師会
- 日本歯周内科学研究会
- ドライマウス研究会






