冷たいものがキーンとしみる「知覚過敏」。実は今、日本の薬味であるわさびの成分「6-MSITC」で、削れた歯の象牙質を再生させるという最先端研究が東京歯科大学で進んでいます。この記事では、話題の研究の中身をわかりやすく解説したうえで、いわき市中央台の酒井歯科医院が、歯を守るために今日からお家でできる予防セルフケアをご紹介します。
虫歯じゃないのに歯がしみる…それ、「知覚過敏」かもしれません
こんにちは!いわき市中央台の「医療法人SDC 酒井歯科医院」です。
厳しい暑さが続くと、キーンと冷えたジュースやアイス、冷たいビールが一段とおいしく感じられますよね。でも、口に含んだ瞬間に 「歯がキーンとしみる!」 と顔をしかめた経験はありませんか? 虫歯ではないのに冷たいものがしみる・・・この多くは「知覚過敏」によるものです。
そして今、この“しみる痛み”を、なんと 「わさび」の成分で根本から治そう という驚きの研究が進められています。まずは、テレビやニュースでも話題になったその最先端研究からご紹介します。
「わさびの成分」が歯を再生させる?──東京歯科大学の最新研究
物理的に穴をふさぐ従来の治療は効果的ですが、強いかみ合わせなどでコーティングが取れてしまうこともあります。そこで東京歯科大学の澁川義幸教授(生理学講座)らの研究チームは、「歯の組織そのものを新しく再生させ、痛みを元からブロックできないか」 というアプローチに着目しました。

白羽の矢が立ったのが、日本ならではのスパイス 「わさび」。研究チームは、日本産わさびに含まれる健康成分 「6-MSITC(ヘキサラファン®)」 に注目しました。この成分には、歯をつくる細胞(象牙芽細胞)のはたらきを活発にし、歯の再石灰化を強力に後押しする作用があることが解明されたのです。細胞内の酵素(炭酸脱水酵素)を活性化してイオンの移動を促し、その連鎖反応で象牙質が新しくつくられていく、という仕組みです。
実際に、ラットの奥歯を削って6-MSITCを与える実験では、削れた部分に象牙質が再生する様子が確認され、国内外で特許も出願されています。
この研究、始まりがとてもユニークなんです。澁川教授が「わさびで象牙質をつくれるのでは」と思い立ち、行きつけの寿司屋の店主に「わさび関連企業の知り合いはいないか」と尋ねたところ、翌朝わさび商社(名古屋の金印)の担当者から電話が・・・という、まさに“へいお待ち!”な縁からスタートしたそうですよ。
ツーンとしない?「わさびガム」の臨床試験も進行中
「わさびの成分で治療なんて、逆にツーンと痛そう……」とご心配かもしれませんが、大丈夫。東京歯科大学水道橋病院で進む臨床試験では、辛みや刺激をすべて取り除いた「6-MSITC入りのガム」 が使われています。

冷たいものを避けていた患者さんに噛んでもらったところ、しみにくくなり「冷たいものをおいしく食べられるようになった」 という声も出ているそうです。将来「安全でより確かな歯の再生治療薬」として実用化される日が、今からとても楽しみですね。
⚠️ ご注意ください
この再生治療薬は現在も臨床試験の段階で、一般の歯科医院で使えるお薬ではありません(当院でも提供していません)。安全で確かな治療薬として実用化される日を、私たちも楽しみに見守っています。それまでは、正しいセルフケアと必要に応じた治療で、しみる悩みを予防・対処していきましょう。
そもそも、なぜ歯がしみるの?
歯は、表面の硬いエナメル質が内側の象牙質を守っています。加齢や強すぎる歯みがき、歯ぐきの下がりなどでエナメル質が削れて象牙質がむき出しになると、冷たい刺激が神経に伝わり「キーンとしみる」痛みが起こります。これが知覚過敏です。

💡 知覚過敏の詳しい仕組み・虫歯との違い・当院の治療法や費用については、専用ページでくわしく解説しています。
▶ 知覚過敏症の原因と治療法(酒井歯科医院)はこちら
今日からできる、歯を守る「予防セルフケア」3つ
最先端の薬を待つ間にも、日々のちょっとした習慣を見直すことで、知覚過敏の予防・改善を大きく助けられます。歯を守るための3つのポイントをご紹介します。

① 寝る前の「酸性飲料」を控える
ビール・ワイン・スポーツドリンク・黒酢・乳酸菌飲料などは、歯の表面を溶かしやすい「酸性」の飲み物です。特に寝る前に飲むと口の中に酸が残り、睡眠中にエナメル質をじわじわ溶かして知覚過敏の原因になります。寝る前の水分補給は、お水やノンカフェインのお茶が最も安全です。
※酸で歯が溶ける状態が進むと「酸蝕症(さんしょくしょう)」につながります。くわしくは〔酸蝕症のページ〕もあわせてご覧ください。
② 歯みがきは「やさしい圧(150〜200g)」で
「きれいに磨こう!」とゴシゴシ力を入れると、頑丈なエナメル質でも削れて知覚過敏を悪化させます。歯ブラシを当てる適切な力は、わずか150〜200gというとても優しい力です。
🍳 お家でできる!力加減チェック法
キッチンスケール(はかり)に歯ブラシを押し当て、いつも磨くイメージで力を入れてみてください。針が「150〜200g」を指す強さが、歯を痛めない一番よい加減です。想像以上に軽い力で驚かれるはずですよ。
③ 食後のうがいと、ていねいな歯みがき
食後は口の中が一時的に酸性に傾きます。食後すぐにお水でブクブクうがいをするだけでも、酸を薄めて歯を守る大きな助けになります。もちろん、その後のやさしいブラッシングも習慣にしましょう。
まとめ:しみる悩みは我慢せず、いわき市中央台の酒井歯科医院へ
「少ししみるけど、虫歯じゃないから我慢すればいいか……」とやり過ごしていると、お食事を心から楽しめなくなってしまいます。知覚過敏は、毎日の歯みがきの癖や食生活の工夫で、驚くほど予防できるものです。
一方で、かみ合わせの不具合や昔の詰め物が合わなくなっていることで歯に無理な負担がかかり、それが知覚過敏を招いているケースも少なくありません。原因を見極めることが、遠回りのようで一番の近道です。
当院では、お口の状態やライフスタイルを丁寧にお伺いし、お一人おひとりに合わせた優しいケアをご提案しています。冷たいものがしみて辛いと感じたら、どうか我慢せず、いつでもお気軽にご相談ください。
▶ 知覚過敏症の治療・ご相談についてはこちら
大好きな冷たい食べ物・飲み物を、何の不安もなく笑顔で楽しめるよう、私たちが全力でお手伝いいたします!
合わせてお読みください
「歯を再生する」という分野では、今回ご紹介したわさび成分の研究のほかにも、体のもつ力を活かした研究が世界で進んでいます。再生治療の“これから”に興味を持たれた方は、こちらもあわせてどうぞ。
よくあるご質問(FAQ)
Q. わさびを食べれば知覚過敏は治りますか?
いいえ。効果が期待されているのは、わさびに含まれる特定成分「6-MSITC」を精製・応用した治療薬で、わさびを食べること自体で象牙質が再生するわけではありません。現在は臨床試験の段階です。
Q. わさびの再生治療は、今の歯科医院で受けられますか?
現時点では受けられません。東京歯科大学水道橋病院で臨床試験中の段階で、一般の歯科医院で処方できる薬ではありません(当院でも扱っていません)。実用化までは、正しいセルフケアと必要に応じた保険治療で予防・対処するのが確実です。
Q. 歯みがきの力はどのくらいが適切ですか?
歯ブラシを当てる力は150〜200gが目安で、想像以上に軽い力です。キッチンスケールに歯ブラシを押し当てて確かめると、自分の“ちょうどよい強さ”がつかめます。強く磨くほどエナメル質が削れて知覚過敏を悪化させるため、「やさしく・こまめに」が基本です。
この記事について(E-E-A-T・出典明記)
本記事は、東京歯科大学(澁川義幸教授・生理学講座)による「日本産わさび成分6-MSITCを用いた象牙質再生」に関する研究発表および報道(2026年)をもとに、患者様向けの予防啓発を目的として、医療法人SDC 酒井歯科医院が再構成・監修したものです。当院が現在提供している知覚過敏の治療内容・費用については、〔知覚過敏症のページ〕をご覧ください。
参考・出典
- 東京歯科大学 プレスリリース「ワサビで歯の再生が可能に―歯(象牙質)の再生にワサビ成分が有用であることを明らかにしました」(2026年・PDF)
東京歯科大学プレスリリース(PDF) - 科学技術振興機構(JST)サイエンスポータル「冷たい食事でキーンと痛む歯、『わさび』で組織を再生して治す 東京歯科大」(2026年7月31日)
サイエンスポータルの記事を読む - 原著論文(英文):The Journal of Physiology(2026)
doi.org/10.1113/JP287809
執筆・監修歯科医
お口のライフパートナー
として健康を守る
理事長・院長
酒井直樹
SAKAI NAOKI
経歴
- 1980年 福島県立磐城高等学校卒業
- 1988年 東北大学歯学部卒業
- 1993年 酒井歯科医院開院
- 2020年 医療法人SDC設立 理事長就任
所属学会・勉強会
- 日本臨床歯科CADCAM学会
- 日本顎咬合学会
- 日本口育協会
- 日本歯科医師会
- 日本歯周内科学研究会
- ドライマウス研究会








