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全身との関係

お口の銀歯、見直しませんか? 金属アレルギーと白い歯の選択肢

    こんにちは。いわき市中央台の酒井歯科医院です。
    長年、お口の中に入っている「銀歯」。特に中高年以上の患者さんのお口の中には、過去に治療した金属の詰め物や被せ物が多く見られます。
    「歯の金属といえば、金歯か銀歯かくらいの違いでしょう?」と多くの患者さんは思っていらっしゃるかもしれません。しかし、実はその「銀歯」にも様々な種類があり、近年、お口の中の金属が原因とみられる金属アレルギーに悩む方が増えていると感じています。

    この記事でわかること

    今回は、歯科治療で使われる金属の違いやそのデメリット、そして金属を使わない新しい治療の選択肢について詳しくお話ししたいと思います。

    銀歯

    そもそも「金属アレルギー」とは?

    まず、金属アレルギーがどのように起こるのかをご説明します。
    金属アレルギーとは、アクセサリーなどが触れた皮膚がかぶれるのと同じようにお口の中の金属が原因で様々な症状が出ることです。

    金属アレルギー情報⑦

    お口の中は、何方もそうですが常に唾液で湿っています。金属は唾液に触れることでわずかながら溶け出し「金属イオン」という形で体内に取り込まれます。この金属イオンが体のタンパク質と結びつくと、それを「異物だ」と体が認識してしまうことがあります。これがアレルギー反応の正体です。

    皮膚のかゆみや発疹だけでなく、お口の中の粘膜が荒れたり舌がピリピリしたり口内炎ができやすくなったりと症状は多岐にわたります。

    詳しくは当院のこちらのページやブログ記事でも解説しています。


    アレルギーの鍵を握る「貴金属」と「卑金属」

    歯科治療で使われる金属は大きく2種類に分けられます。この違いがアレルギーの起こりやすさに直結します。

    分類主な金属特徴(アレルギーリスク)
    貴金属
    (ききんぞく)
    金 (Au)、白金 (Pt) など化学的に安定しており、唾液に溶け出しにくい。
    アレルギーリスクは低い
    卑金属
    (ひきんぞく)
    パラジウム (Pd)、ニッケル (Ni)、コバルト (Co)、クロム (Cr)、銀 (Ag) など唾液でイオン化して溶け出しやすい。
    アレルギーリスクは高い

    1. 貴金属(ききんぞく)

    金(ゴールド)白金(プラチナ)などがこれにあたります。
    これらは化学的に非常に安定しており酸化したり腐食したりしにくいのが特徴です。そのため、唾液に溶け出して金属イオンになることが少なく、アレルギーを引き起こすリスクが比較的低い体に優しい金属と言えます。

    2. 卑金属(ひきんぞく)

    ニッケル・コバルト・クロム、そして保険の「銀歯」に主に使われるパラジウムや銅・銀などがこれにあたります。
    これらは貴金属とは対照的に、水分(唾液)に触れるとイオン化して溶け出しやすい性質を持っています。アレルギーの原因となりやすいのは主にこちらの卑金属です。


    保険の「銀歯」が抱えるデメリット

    現在、日本の保険診療で一般的に使われている「銀歯」は「12%金銀パラジウム合金」というものです。名前には「金」と入っていますが、主成分は銀・パラジウム・銅などの「卑金属」です。

    保険適用の歯科用金属の組成

    この銀歯には、アレルギー以外にもいくつかのデメリットがあります。

    1. むし歯の再発リスク

    銀歯は、長年お口の中にあると唾液によって少しずつ腐食したり変形したりします。すると、歯と金属の間にわずかな隙間ができ、そこから細菌が入り込んで銀歯の下でむし歯が再発(二次カリエス)してしまうことがあります。

    2. 見た目(審美性)の問題

    お口を開けたときに金属が目立つことを気にされる患者さんはやはり多いです。また、金属イオンが溶け出して歯ぐきが黒ずんでしまうこともあります。

    3. アマルガムという古い金属

    さらに古い時代の治療では「アマルガム」という水銀を含む合金が使われていることもあります。現在ではほとんど使われませんが、お口の中に残っている場合は除去を検討することも必要です。


    進化する「金属を使わない」白い歯の選択肢

    「それなら・・・金属じゃない歯にしたい」
    そう思われる方も多いでしょう。幸い、近年は技術が進歩し、金属を使わない「メタルフリー治療」の選択肢が大きく広がっています。

    保険でも選べる「CAD/CAM冠(キャドキャムかん)」

    一昔前は、白い歯(セラミック)はすべて自費診療でした。しかし現在では、一定の条件を満たせば保険診療でも「CAD/CAM冠」という白い被せ物が選べるようになっています。
    これは、セラミックとプラスチックを混ぜ合わせた「ハイブリッドレジン」という材料をコンピューター(CAD/CAM)で削り出して作る歯です。

    セラミック修復

    メリット

    • 金属アレルギーのリスクがない
    • 保険適用なので費用負担が少ない
    • 自然な白さで見た目が良い

    デメリット

    • セラミック100%に比べると、色調の透明感や長期的な耐久性はやや劣る
      • 適用できる歯の場所に細かい保険のルールがある

    とは言え、金属を使わずに保険で白い歯を入れられるようになったのは患者さんにとって非常に大きなメリットだと感じています。

    より美しく、丈夫な自費のセラミック

    さらに高い審美性や耐久性を求める患者さんには自費診療のセラミック材料もご提案しています。

    1. e-max(イーマックス)

    透明感が非常に高く、天然の歯に近い自然な美しさを再現できるガラス系セラミックです。特に、人目につきやすい前歯の治療に適しています。

    2. ジルコニア

    「人工ダイヤモンド」とも呼ばれるほど非常に硬く、丈夫なセラミックです。強い力がかかる奥歯の被せ物や複数の歯をつなぐブリッジにも使用できます。e-maxほどの透明感はありませんが、白さはもちろん、アレルギーの心配もありません。

    セレック・プライムスキャン

    これら金属を使わない治療の素材比較については、こちらのページもご覧ください。


    まとめ:お口の金属、一度見直してみませんか?

    お口の中の健康は、全身の健康に繋がっています。

    長年使ってきた銀歯がもしかすると今のお悩みの原因になっているかもしれません。金属のデメリットを知り、ご自身のお口の中の状態に関心を持っていただくことが健康への第一歩です。

    酒井歯科医院では、患者さんお一人おひとりのご希望やライフスタイルを伺いながら保険診療・自費診療を含めた最適な治療法を一緒に考えていきます。気になることがありましたらご相談ください。

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    執筆・監修歯科医

    お口の健康から
    全身の健康を考える

    酒井直樹

    医療法人SDC 酒井歯科医院 理事長 / 院長