いわき市中央台で診療を行っております、医療法人SDC 酒井歯科医院です。
「虫歯=子どもの病気」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。ですが、実は年齢を重ねた大人の方こそ注意すべき「大人の虫歯」があります。特に、歯の根元にできる虫歯は進行が速く、気づいた時には大きく進んでいるケースも少なくありません。

今回は、歯科医師の視点から、健康な歯を長く守るために知っておきたい「大人の虫歯」のリスクと、ご自宅や歯科医院でできる効果的な予防法について詳しくお話しします。
1. 大人の虫歯が「根元」から進む理由
歯茎が下がると現れるリスク
年齢を重ねたり、歯周病が進んだりすることで歯茎が少しずつ下がり、これまで歯茎に覆われていた歯の根元の部分が露出してきます。この歯の根元にできる虫歯を根面う蝕(こんめんうしょく)」と呼びます。

歯周病、噛みしめ癖、歯磨き圧の強さ、過去に治療した歯の根元など、様々な要因が関係し、統計的には40代以降の女性に急増する傾向が見られることがわかっています。

なぜ進行が速いのか?
歯の表面(歯冠)を覆っているのは、人体で最も硬い組織であるエナメル質です。一方で、歯の根元はエナメル質ではなくその下の層である象牙質という比較的柔らかい組織が露出しています。歯の根元にあるその象牙質はエナメル質に比べて酸に弱く、虫歯菌の出す酸によって溶かされやすいため、一度虫歯ができてしまうと急速に内部へ進行しやすいという特徴があります。気づいた時には神経まで達している・・・ということも少なくありません。
例えて言うならこのぐらいの相違があります。

2. 大人の虫歯は「治療後の再発」にも要注意
大人の虫歯のもう一つの厄介な点は、「治療済みの歯」にも多く発生するということです。これは、以前詰めたものやかぶせたものの境目から再び虫歯になる「二次う蝕」と呼ばれるものです。
治療の精度が上がっても、詰め物やかぶせ物の周りにはわずかな隙間が生じる可能性があります。その隙間に歯垢が溜まると虫歯が再発しやすくなります。実際に、55歳以上の虫歯治療経験者を対象とした調査では、治療部位によって1年後の再発率が16%から25%に及ぶという報告もあります。

虫歯は治しても再発する可能性があるため、初期の虫歯を注意深く見守り早期の予防ケアを続けていくことが大人の歯科治療において極めて重要になります。
3. 医療法人SDC 酒井歯科医院がお勧めする予防法
大人の虫歯は予防が非常に重要です。いわき市中央台の当院では、皆様の歯を生涯守るために以下の予防策を強くお勧めしています。
① 歯の根元と歯間をていねいに磨く
歯周病予防と合わせて、歯と歯茎の境目、そして露出した歯の根元を意識して優しく丁寧に磨くことが大切です。また、歯ブラシだけでは届きにくい歯と歯の間には、デンタルフロスや歯間ブラシを必ず活用してください。
② フッ素(フッ化物)を積極的に使う
フッ素は、歯の再石灰化(修復する働き)を助け、歯質を強化する効果があります。特に、虫歯の進行が速い象牙質の虫歯予防には有効で、
- 高濃度フッ素配合歯磨き剤
- フッ素洗口
- 歯科医院での専門的フッ素塗布
の併用で高い効果が期待できます。ご自宅でのケアに取り入れましょう。
③ 定期的な「プロのチェック」を受ける
大人の虫歯は、自分では見つけにくい場所(根元、歯と歯の間、治療した歯の境目など)にできやすいため、早期発見が非常に難しいです。
定期的に歯科医院で検診を受けることで、虫歯や歯周病のサインを早期に発見できます。また、フッ素の専門的な塗布や、日々のブラッシングのアドバイスを受けることで効果的な予防につながります。
歯科医院は「治療するところ」であると同時に、「健康な状態を守っていくところ」なのです。

まとめ
大人の虫歯予防の目的は、「ライフステージを通して、ご自身の歯で美味しく食事をし、健康に過ごすこと」です。
医療法人SDC 酒井歯科医院は、いわき市中央台の皆様がいつまでも健康な口元を保てるよう、最新の予防知識と常勤歯科衛生士による確かな技術でサポートしてまいります。
歯の根元の変化や、治療した歯のトラブルが気になっている方は、皆様のかかりつけの歯科医院にてもご相談ください。
執筆・監修歯科医
地域の口腔健康を守る歯科医
理事長・院長
酒井直樹
SAKAI NAOKI
経歴
- 1980年 福島県立磐城高等学校卒業
- 1988年 東北大学歯学部卒業
- 1993年 酒井歯科医院開院
- 2020年 医療法人SDC設立 理事長就任
所属学会・勉強会
- 日本臨床歯科CADCAM学会
- 日本顎咬合学会
- 日本口育協会
- 日本歯科医師会
- 日本歯周内科学研究会
- ドライマウス研究会






