シーラントは、生えたばかりの奥歯の噛む面にある深い溝を、歯科用の樹脂(レジン)であらかじめ埋めて虫歯を防ぐ予防処置です。歯を削らず、麻酔も使いません。特に6歳前後に生える「6歳臼歯(第一大臼歯)」は、溝が深く、生えきるまで歯ブラシが届きにくいため、虫歯になりやすい歯です。シーラントは外れることがあるため、定期検診で状態を確認しながら続けることが大切です。
6歳臼歯は「歯の王様」。でも、生えたては虫歯になりやすい
6歳前後になると、乳歯の一番奥に、お子さんにとって初めての永久歯である「6歳臼歯(第一大臼歯)」が生えてきます。永久歯の中で最も大きく、噛む力も最も強い歯で、生涯にわたって噛み合わせの土台となる「歯の王様」です。
ところが、この大切な歯は、生えたばかりの頃がいちばん虫歯になりやすいという弱点を持っています。
生えたての6歳臼歯が虫歯になりやすい3つの理由
① 噛む面の溝が深く複雑で、歯ブラシの毛先が溝の奥まで届かない
② 生え始めてから完全に生えきるまでに時間がかかり、その間は周りの歯より背が低く、磨きにくい
③ 生えたての歯は表面のエナメル質がまだ未熟で、酸に溶けやすい

この「最も無防備で、最も大切な時期」の奥歯を虫歯から守るのが、シーラントです。
シーラントとは?奥歯の溝を樹脂で埋める予防処置
奥歯の噛む面には、食べ物をすり潰すための細かい溝があります。生えたての永久歯の溝は特に深く、食べかすや歯垢(プラーク)がたまりやすい、虫歯菌の格好のすみかです。
シーラントは、この溝を歯科用の樹脂(レジン)であらかじめ埋めてふさぐ処置です。例えるなら、掃除しにくいお風呂のタイルの目地を、コーキング剤で埋めてカビを生えにくくするのと同じです。溝をふさいでしまえば、汚れが入り込む場所そのものがなくなります。

シーラントの効果:奥歯の溝の虫歯を大きく減らせます
シーラントの予防効果は、世界中の研究をまとめた国際的な検証(コクラン・レビュー)で確かめられています。
レジン系のシーラントを永久歯の奥歯に行った場合、シーラントをしなければ2年間で奥歯の40%が虫歯になるような条件でも、その割合を約6%まで減らせると報告されています。この効果は、少なくとも4年後まで続くことが確認されています。

出典:Ahovuo-Saloranta A ほか「Pit and fissure sealants for preventing dental decay in permanent teeth」Cochrane Database of Systematic Reviews(2017年)
シーラントに最適な時期は?
シーラントが最も効果を発揮するのは、奥歯が生えてから、できるだけ早い時期です。生えたての歯は溝が深く、エナメル質も未熟なため、虫歯のリスクが最も高いからです。
| 対象の歯 | 生える時期の目安 | 当院での考え方 |
|---|---|---|
| 6歳臼歯(第一大臼歯) | 6歳前後 | 基本の対象。生えてきたら早めにご相談ください |
| 12歳臼歯(第二大臼歯) | 12歳前後 | 溝の深さや虫歯のリスクに応じて検討します |
ただし、歯ぐきがまだ大きくかぶさっている時期は、唾液から歯を隔離しにくく、シーラントが外れやすくなります。当院では定期検診で生え方を確認しながら、処置に最も適したタイミングを見極めてご提案します。
当院でのシーラントの流れ(削らない・麻酔なし)
シーラントは、虫歯治療のように歯を削ることはありません。麻酔も使わず、短時間で終わるので、小さなお子さんでも安心して受けていただけます。
① 歯面の清掃:溝の中の汚れや歯垢を、専用の器具で取り除きます。
② 表面の処理と乾燥:樹脂がしっかりくっつくよう、歯の表面を専用の薬剤で処理し、水で洗って十分に乾かします。
③ 樹脂を流し込む:溝に歯科用の樹脂(レジン)を流し込みます。
④ 光で固める:専用の光を当てて、樹脂を固めます。
⑤ 噛み合わせの確認:高さを確認し、必要があれば調整して終了です。

知っておいていただきたい注意点
① 外れたり欠けたりすることがある
シーラントは、歯を削って形を整える詰め物とは違い、溝の表面に樹脂をくっつけているだけです。そのため、硬いものを噛んだり、歯ぎしりをしたりすると、一部が欠けたり外れたりすることがあります。これがシーラントの最大の弱点です。
② 定期的なチェックが欠かせない
シーラントが気づかないうちに部分的に外れて隙間ができると、かえってその中で虫歯が進むおそれがあります。当院では、定期メインテナンスのたびにシーラントの状態を確認し、外れや欠けがあれば補修します。
③ シーラントをしても、歯磨きとフッ素は必要
シーラントが守るのは、奥歯の「噛む面の溝」だけです。歯と歯の間や、歯と歯ぐきの境目の虫歯は防げません。毎日の歯磨きと仕上げ磨き、フロス、フッ素と組み合わせることで、はじめて虫歯予防の効果が最大になります。
シーラントは保険で受けられます
当院のシーラントは、保険診療で行っています。
🧒 18歳到達後最初の3月31日までのお子さんは、福島県の子ども医療費助成により、窓口でのご負担はありません。
お子さんの、生えたばかりの大切な永久歯を、虫歯から守ってあげませんか。6歳臼歯が生えてきたら、どうぞお気軽にご相談ください。
よくあるご質問
Q. シーラントは何歳から受けられますか?
A. 年齢ではなく6歳臼歯が生えてきたタイミングが目安です(多くは6歳前後)。歯ぐきがまだ大きくかぶさっている時期は外れやすいため、定期検診で生え方を確認しながら最適な時期をご提案します。
Q. 乳歯にもシーラントはできますか?
A. はい、ご希望があれば対応します。乳歯の奥歯も、溝が深い場合は虫歯になりやすいことがあります。ただし、乳歯は小さく、処置の間お口を開けて待っていられるかどうかも大切です。定期検診で歯の状態とお子さんの様子を確認しながら、ご相談のうえで行います。
Q. シーラントは痛くないですか?
A. 歯を削らず、麻酔も使わないので痛みはありません。溝を清掃し、樹脂を流し込んで光で固めるだけの短時間の処置です。
Q. シーラントが取れてしまったらどうすればよいですか?
A. 取れたことに気づいたら早めにご来院ください。部分的に外れて隙間ができると、その中で虫歯が進むおそれがあります。当院では定期メインテナンスのたびに状態を確認し必要に応じて補修しています。
Q. シーラントをすれば、虫歯にならないのですか?
A. シーラントが防げるのは、奥歯の噛む面の溝の虫歯です。歯と歯の間や歯と歯ぐきの境目の虫歯は防げません。毎日の歯磨きと仕上げ磨き、フロス、フッ素と組み合わせることが大切です。
Q. 大人でもシーラントはできますか?
A. シーラントは、溝が深く虫歯のリスクが高い、生えたての永久歯に最も効果的な処置です。大人の方の場合は歯の溝の状態によって適しているかどうかが変わるため、定期検診の際にご相談ください。
【合わせてお読み下さい】
酒井歯科医院では、むし歯・歯周病の治療だけでなく、定期的なプロケアによる予防歯科を診療の中心に位置づけています。当院が対応している治療の全体像は診療案内ページで、医院の診療方針や院内環境については酒井歯科医院トップページからご覧いただけます。
執筆・監修歯科医
生えたての歯こそ
最高の守りを
理事長・院長
酒井直樹
SAKAI NAOKI
経歴
- 1980年 福島県立磐城高等学校卒業
- 1988年 東北大学歯学部卒業
- 1993年 酒井歯科医院開院
- 2020年 医療法人SDC設立 理事長就任
所属学会・勉強会
- 日本臨床歯科CADCAM学会
- 日本顎咬合学会
- 日本口育協会
- 日本歯科医師会
- 日本歯周内科学研究会
- ドライマウス研究会





