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歯科のトピックス

ティースジュエリーは本当に安全?歯科医として知ってほしいリスクと注意点

    こんにちは、いわき市中央台の酒井歯科医院です。

    最近、SNSで「ティースジュエリー(Tooth Jewelry)」という歯のおしゃれが流行しているのをご存じでしょうか。
    歯の表面に小さなストーンや飾りを付けることで、笑顔をキラッと輝かせるファッションとして人気が高まっています。

    ティースジュエリーを右上に接着した口腔周囲の画像

    ただ一方で、歯科医の立場からすると、「気軽に始めてしまうにはリスクが大きい」というのが正直なところです。 見た目の楽しさだけで判断してしまうと、後々“取り返しのつかないトラブル”を招くことも・・・あったり致します。


    ティースジュエリーはどうやって付けるの?

    ティースジュエリーは、Amazon等では御自身で施術可能なキットも販売はされているようですが、基本的に歯科医院で行う処置です。ネイルのように簡単に貼り付けるだけ…と思われがちですが、実際には歯の表面をわざと荒らす(脱灰する)処置を行います。
    ツルツルの歯の表面には、当然のことながら強力な接着剤でもくっつきにくいので、やむを得ずザラつかせるのです。

    ティースジュエリー、ご自身でも出来るキット販売

    この処置により歯の表面に細かな凹凸を作り、レジン(光で固まる樹脂)を使って装飾パーツを接着します。 持続期間は数週間から数ヶ月ほどとされていますが、その間にパーツが取れてしまうことも これまた当然のことながらしばしばあるようです。


    実はメリットよりデメリットの方が大きい?

    1. むし歯や歯周病のリスクが上がる

    ティースジュエリーを装着すると歯の表面に凹凸が生じ、食べカスやプラーク(細菌のかたまり)が溜まりやすい状態になります。そのため、普段通りに磨いているつもりでも磨き残しが起こりやすく、むし歯や口内炎の発生リスクが大きくなります。

    2. 歯の表面は元に戻らない

    最も注意していただきたいのはここです。 装着前の「表面処理(=歯の脱灰)」によって、歯の表面は永久に100%元には戻りません。もちろんフッ素やアパタイトによって再石灰化は期待できますが、ミクロの目で見て一度削れてしまったエナメル質が完全に再生するわけではありません。 結果として、将来的に汚れが付きやすい・むし歯になりやすい歯になってしまいます。

    3. 外すときも歯科医院での処置が必須

    SNSでは「簡単に剥がせます」といった投稿もありますが、実際には不正確です。 装飾パーツが取れても、土台の樹脂だけ歯に残ってしまうケースがとても多いのです。この土台を放置すると、 変色 ・細菌繁殖 など、非常に不衛生(不潔)な状態になりかねません。

    4. 飾りの形状によっては口内炎やケガの原因に

    尖った形のデザインを選ぶと、舌・唇・頬の粘膜に当たり慢性的な口内炎 を引き起こしてしまうことも珍しくないだろうと考えられます。


    こんな人は特に要注意です

    特にお子さんや若い世代は「見た目のかわいさ・映え」で判断しがちですが、 歯の寿命を削るようなリスクと常に隣り合わせだということを理解してほしいと思います。

    ティースジュエリー、左上の犬歯に接着後の拡大画像

    どうしても付けたい場合には…最低限これだけは守ってください

    • メリットだけでなくデメリットも説明してくれる歯科医院を選ぶ
    • 「外すときの処置」まできちんと対応できる医院で行う
    • 期間を決めて短期間だけにする
    • 異常を感じたらすぐ取り外す
    • 定期検診を欠かさない

    決して「気軽に楽しむファッション」ではないことは覚えておいてください。

    ティースジュエリーのリスクを喚起するイラスト

    まとめ:ティースジュエリーは“メリットよりリスクが上回る”ケースが多いです

    ティースジュエリーはSNS映えする流行アイテムではありますが、 歯の健康を損なう可能性が非常に高い処置であり、当院としてはオススメしておりません。

    大切なのは「飾ること」より、ご自身の歯を長く健康に保つことではないでしょうか。 迷われている方は、一度かかりつけの各歯科医にご相談いただけますと幸いです。

    執筆・監修歯科医

    歯の健康を最優先に
    考える歯科医療を

    酒井直樹

    医療法人SDC 酒井歯科医院 理事長 / 院長