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院長のコラム

骨粗しょう症と歯の関係|抜歯や歯周病リスクを歯科医師が解説

「骨粗しょう症(こつそしょうしょう)」と聞くと、多くの方は足や腰の骨の病気、というイメージを持たれるかもしれません。しかし、実はこの全身の骨がもろくなる病気は、私たちの歯の寿命にも深刻な影響を及ぼす可能性があることをご存じでしょうか?

特に、骨粗しょう症の治療を受けている方は、抜歯などの歯科治療を受ける際に必ず私たち歯科医師にそのことを伝えていただく必要があります。

この記事では、歯科医師の立場から、骨粗しょう症とお口の健康との意外な関係、そして、ご自身の歯と骨、両方を守るために知っておいていただきたい大切なポイントを分かりやすく解説します。

骨粗しょう症②

歯周病が進行すると、歯を支える土台である「歯槽骨(しそうこつ)」という顎の骨が溶けて、歯が抜けてしまう、というお話は以前のブログでも解説しました。

歯周病は次第に歯を支える骨が溶ける病気

骨粗しょう症は、全身の骨密度が低下し骨がスカスカになってしまう病気です。当然、お口の中にある歯槽骨も例外ではありません。

骨粗しょう症④

全身の骨密度が低下すると、歯槽骨も痩せてもろくなります。そうなると、たとえ歯周病がそれほど進行していなくても、歯を支える力が弱まり、歯がグラグラと揺れ始め最終的には歯が抜けてしまうリスクが高まるのです。

「骨粗しょう症と歯周病の進行しやすさ」に関するエビデンス

全身の骨密度が、顎の骨(歯槽骨)にも影響する

骨粗しょう症は、全身の骨の密度を低下させ、骨を脆くする病気です。これには、歯を支える土台である顎の骨(歯槽骨)も含まれます。

歯周病は、歯槽骨が破壊される病気である

歯周病は、歯周病菌によってこの歯槽骨が破壊されていく病気です。

骨粗しょう症が、歯周病の進行を後押しする

上記の2つを合わせると、「土台である歯槽骨自体の密度が、骨粗しょう症によって既に低くもろくなっている」と、歯周病菌による攻撃に対して骨の抵抗力が弱まり、通常よりも早く、そして深刻に骨の破壊(歯周病の悪化)が進行してしまう、というロジックが成り立ちます。


骨粗しょう症の治療を受けている、あるいは過去に受けていた方は、歯科治療を開始する前に必ずその旨を私たちにお伝えください。なぜなら、骨粗しょう症の治療で広く使われているお薬が、ごく稀に、歯科治療に影響を及ぼす副作用を引き起こす可能性があるからです。

骨粗しょう症の治療薬(ビスフォスフォネート製剤など)

骨粗しょう症の治療薬として「ビスフォスフォネート製剤(BP製剤)」という種類のお薬が広く使われています。このお薬は、骨の吸収を抑えることで骨密度を高める、非常に優れた効果があります。

副作用のリスク:「顎骨壊死(がっこつえし)」

しかし、このBP製剤を服用されている方が抜歯などの外科処置を受けると、ごく稀に、処置した部分の骨がうまく再生・治癒せずに、骨が壊死(えし)してしまう「顎骨壊死」という副作用が報告されています。

だからこそ、歯科医師への申告が不可欠

まず大前提として、「お薬を飲んでいるから、歯科治療が受けられない」ということは決してありませんので、ご安心ください。
事前に服用中のお薬の種類や期間を正確に教えていただくことで、私たちは・・・

  • 抜歯などの外科処置を、可能な限り安全に行うための計画を立てる
  • お薬によるリスクを最小限に抑えるための、十分なる処置を準備する
  • 医科の主治医の先生と密に連携し、情報の共有を行う

といった、万全の対策を講じることができます。患者さんの安全を守るために皆様からの正確な情報提供が不可欠です。

骨粗しょう症③

骨粗しょう症の予防・改善とお口の健康維持には、共通する大切なポイントがあります。

① カルシウムとビタミンDを意識した食生活

骨の主成分であるカルシウム(乳製品、小魚、大豆製品など)と、その吸収を助けるビタミンD(きのこ類、魚類など)をバランス良く摂取することが大切です。また、しっかりと噛んで食べることは、顎の骨に適度な刺激を与え骨の健康維持にも繋がります。

骨粗しょう症⑤

② 適度な運動の習慣

ウォーキングなどの適度な運動は、骨に負荷をかけることで骨密度を高める効果があります。全身の健康のためにも無理のない範囲で続けましょう。

③ 定期的な歯科検診とクリーニング

骨粗しょう症で顎の骨がもろくなっている場合、歯周病の進行は通常よりも早く深刻な結果を招くことがあります。定期的に歯科医院でPMTCなどのプロフェッショナルケアを受け、歯周病の原因となるバイオフィルムを徹底的に除去しお口の中を常に清潔な状態に保つことが、ご自身の歯を守る上で非常に重要になります。


お口の健康は、全身の健康と密接に繋がっています。当院は、お口の中だけを診るのではなく患者さんの全身の健康まで見据えたパートナーでありたいと考えています。
骨粗しょう症の治療を受けている方、骨密度が気になり始めた方、ご家族が心配な方。
どんな些細なことでも構いませんので、ぜひ一度、お近くの歯科医院にご相談ください。

骨粗しょう症①

執筆・監修歯科医

歯の土台となる
骨の健康も守る!

酒井直樹

医療法人SDC 酒井歯科医院 理事長 / 院長

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