スタッフ募集|酒井歯科医院で一緒に働きませんか?

口腔外科

あの「アロンアルフア」が歯科治療に?抜歯後の傷口を守る新しい技術のお話

    抜歯後の止血といえば、これまではガーゼを強く噛んで圧迫する方法が一般的でした。しかし近年、傷口を物理的に保護して止血を助ける新しい材料が登場しています。アロンアルフアの接着技術を応用して開発された歯科用創傷被覆材「アロンキュア デンタル」は、抜歯後の傷口にやさしく密着し、大切な血餅を守りながら止血と治癒をサポートする新しい選択肢です。本記事では、その仕組みや安全性、従来法との違いについて、歯科医療の現場でどのように活用されるのか、その可能性と注意点も含めて解説します。


    抜歯後の「あの時間」が苦手な方へ

    こんにちは。いわき市中央台の酒井歯科医院です。
    歯科治療の中でも、「抜歯」と聞くと身構えてしまう方は少なくありません。そして実は、患者さんにとって意外と負担が大きいのが「抜歯後の止血の時間」です。
    「血が止まるまで、しばらくガーゼを強く噛んでくださいね。」・・・そう言われ、

    ・あごが疲れてしまった
    ・いつまで噛めばよいのか不安になった
    ・血の味が気持ち悪く感じた

    そんな経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
    今回は、その抜歯後の負担を軽減する可能性を持つ、新しい医療技術についてご紹介します。

    ガーゼで圧迫する従来法と、接着技術で抜歯窩にフタをするアロンキュア デンタルの比較イラスト

    瞬間接着剤の技術が歯科医療へ応用されました

    皆さんは「アロンアルフア」をご存じでしょうか。
    家庭用の瞬間接着剤として広く知られていますが、そのメーカーである東亞合成株式会社が、長年培ってきた接着技術を応用し、歯科医療向けの新素材を開発しました。

    その名称が「アロンキュア デンタル」です。

    もちろん、市販の接着剤をお口の中に使用するわけではありません。お口の中という湿潤環境に適応するよう設計された、医療専用の二次治癒ハイドロゲル創傷被覆・保護材です。

    アロンキュア デンタルを抜歯窩に適用し、ハイドロゲル化して傷口を被覆・止血する仕組みのイラスト

    「ガーゼを噛む」から「傷口にフタをする」へ

    従来の止血方法は、ガーゼによる圧迫が基本でした。

    ですが、今回のこの新素材は、傷口に密着し、物理的に“フタ”を形成するという新しい発想を採用しています。いわば、抜歯創部に医療用の「透明な絆創膏」を貼るようなイメージです。

    従来のガーゼ圧迫止血とアロンキュア デンタルの違いを比較した図(圧迫不要・自然消失・強力密着)

    患者さんにとってのメリット

    h3 ① 長時間ガーゼを噛む必要が少なくなる可能性

    創部に密着して保護するため、従来のような長時間の圧迫が不要になるケースが期待されています。
    (※症例や出血状況により判断は異なります)

    h3 ② 抜去の必要がない

    「フタをしたら、後で剥がすのでは?」と不安に思われるかもしれません。
    この素材は時間の経過とともに唾液により徐々に溶解し、自然に消失します。無理に剥がす処置は不要です。

    h3 ③ 治癒に重要な「血餅(けっぺい)」を守る

    抜歯後の傷口には、血液が固まってできる血餅が形成されます。これは、創傷治癒において極めて重要な存在です。
    この血餅が失われると、いわゆる「ドライソケット」などの痛みの原因になることがあります。
    アロンキュア デンタルは、この大切な血餅を外的刺激から保護する役割も担います。

    アロンキュア デンタルの3つのメリット(長時間圧迫不要・自然消失・血餅保持)を解説したイラスト

    飲み込んでしまっても大丈夫?

    お口の中で使用するものですから、安全性は重要です。メーカー情報によると、

    ・体内に吸収されない
    ・消化管を通過し自然に排出される設計

    となっています。万が一、剥がれて飲み込んでしまっても、過度な心配は不要とされています。


    治療後に気をつけていただきたいこと

    重要なポイントは一つです。

    強いうがいをしないこと

    治療直後に強くうがいをすると、水圧で被覆材が剥がれる可能性があります。止血が確認された後であれば、万が一剥がれても大きな問題はありませんが、お口に残っていれば無理せずそっと吐き出してください。


    医療は、我慢から「快適」へ

    かつては「抜歯後は我慢するもの」と考えられていました。ですが現在は、

    ・材料科学
    ・接着技術
    ・デジタル医療

    などの進歩により、患者さんの負担を軽減する技術が次々に生まれています。私たち酒井歯科医院も、こうした新しい知見に常に目を向けながら、地域の皆様にとってより安心で快適な治療環境を可能な限り整えてまいります。
    抜歯や治療に不安がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。


    ※重要なご注意

    本記事は医療用素材に関する情報提供を目的としています。市販の瞬間接着剤をお口の中に使用することは絶対におやめください。家庭用接着剤は医療用途ではありません。
    なお、現時点では本材料の価格がまだ明確になっておりません。
    そのため、もし費用が高額となった場合には、保険診療での使用が難しくなる可能性があることを、あらかじめご理解いただけますと幸いです。

    執筆・監修歯科医

    地域に寄り添う歯科医師

    酒井直樹

    医療法人SDC 酒井歯科医院 理事長 / 院長