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デンタルフロスと歯間ブラシは、歯ブラシの毛先が届かない「歯と歯の間」を清掃する道具です。歯と歯の間の歯垢は、歯ブラシだけでは約6割しか落とせませんが、フロスや歯間ブラシを併用すると約9割まで高まると報告されています。隙間が狭い部分にはフロス、隙間が広い部分や歯ぐきが下がった部分、ブリッジやインプラントの周りには歯間ブラシが基本です。歯間ブラシは、抵抗なく通る中で最も太いサイズを選びます。

歯ブラシだけでは、歯と歯の間の歯垢は約6割しか落とせません

「毎日ちゃんと歯磨きしているのに、虫歯や歯周病になってしまう」・・・定期検診でよく伺うお悩みです。その原因の多くは、歯ブラシの毛先が物理的に届かない「歯と歯の間(隣接面)」にあります。

研究では、歯と歯の間の歯垢(プラーク)の除去率は、歯ブラシだけでは約58%。これが、デンタルフロスを併用すると約86%、歯間ブラシを併用すると約95%まで高まると報告されています。

歯と歯の間の歯垢除去率の比較グラフ。歯ブラシのみ58%、デンタルフロス併用86%、歯間ブラシ併用95%
歯と歯の間の歯垢除去率(山本ほか,日本歯周病学会会誌,1975年より)

ところが、国の調査では、歯ブラシを使っている人が96%なのに対し、歯間ブラシを使っている人は20%、デンタルフロスは12%にとどまっています。大人の虫歯や歯周病の多くは、まさにこの「磨き残しの聖域」から始まります。

覚えておきたい ハミガキのABC

出典:山本昇ほか「Interdental Brush と Dental Floss の清掃効果について」日本歯周病学会会誌 17巻2号(1975年)、日本顎咬合学会誌 第34巻第3号(2014年)/使用率は平成22年国民健康・栄養調査(同誌より)


【早見表】フロスと歯間ブラシ、あなたに合うのはどっち?

フロスと歯間ブラシは、どちらも歯と歯の間を清掃する道具ですが、得意な場所が違います。選び方の基本は「歯と歯の隙間の広さ」です。

お口の状態おすすめポイント
歯と歯の隙間が狭い・歯並びが重なっているデンタルフロス糸なので、きつい接触部分にも入る
歯ぐきが健康で、隙間がほとんどないデンタルフロス歯と歯が接する面の虫歯予防に有効
歯ぐきが下がって隙間が広い歯間ブラシ歯の根元の凹みまで届く
歯周病の治療中・治療後歯間ブラシ(+フロス)歯ぐきのきわの歯垢を効率よく除去
ブリッジ・インプラントの周り歯間ブラシ連結部の下や周囲まで清掃できる
矯正装置をつけている歯間ブラシ・タフトブラシワイヤーやブラケットの周りに届く
乳歯のお子さんホルダー型フロス(保護者が使用)奥歯が隣り合ったら仕上げ磨きで
※同じお口の中でも、場所によってフロスと歯間ブラシを使い分けるのが理想です。
歯と歯の隙間が狭い場合はデンタルフロス、歯ぐきが下がって隙間が広い場合は歯間ブラシを使うことを示した使い分けのイラスト

デンタルフロスが向いているケース

歯と歯の隙間が狭い方や、歯並びが重なっている部分が多い方に向いています。糸状なので狭い隙間にも入り込み、歯の側面に付着したネバネバの歯垢をからめ取ります。歯ぐきの縁より約3.5mm下まで清掃効果があるとの報告もあります。

また、フロスがいつも同じ場所でほつれる・引っかかるのは、虫歯や詰め物の段差があるサインかもしれません。気になる場所があれば、定期検診の際にお知らせください。

歯間ブラシが向いているケース

歯と歯の隙間が比較的広い方、歯ぐきが下がってきた方、ブリッジやインプラントが入っている方に向いています。小さなブラシが歯の根元の凹凸にフィットし、フロスよりも短時間で広い面の汚れを掻き出せます。


デンタルフロスの種類と選び方

デンタルフロスには、形・加工・素材の違いでいくつかの種類があります。初めての方は、奥歯まで届きやすいホルダータイプから始めるのがおすすめです。

種類特徴こんな方に
ロールタイプ指に巻いて使う。1か所ごとに新しい部分を使えて、慣れれば最も清掃効果が高いフロスに慣れた方
ホルダータイプ(F字)持ち手に糸が張ってある。前歯に使いやすい初めての方
ホルダータイプ(Y字)糸が横向きに張ってあり、奥歯まで届きやすい初めての方・奥歯が苦手な方
ワックスあり滑りがよく、ほつれにくい隙間がきつい方・初めての方
ワックスなし歯面の歯垢をからめ取りやすいフロスに慣れた方
膨らむタイプ唾液で糸がスポンジ状に膨らみ、広い面をこすれるブリッジの周り・上級者
デンタルフロスの種類。ロールタイプ、F字のホルダータイプ、Y字のホルダータイプ、唾液で膨らむタイプを並べた写真

当院の受付で取り扱っているフロス・歯間ブラシは、歯科医院おすすめのデンタルグッズのページで価格とともにご紹介しています。


歯間ブラシのサイズとタイプの選び方

サイズは「抵抗なく通る中で、最も太いもの」

歯間ブラシは、極細の4S(SSSS)からLサイズ程度まで細かく分かれています。細すぎると汚れが取れず、太すぎると歯ぐきを傷つけてしまうため、サイズ選びが効果を大きく左右します。なお、同じ「S」でも太さはメーカーによって異なります。
また、前歯と奥歯では隙間の広さが違うことが多く、場所によって2〜3種類のサイズを使い分ける方も珍しくありません。

【最重要】初めて使う方は、必ず歯科衛生士にサイズを選んでもらってください。当院では定期検診の際に、場所ごとに合ったサイズと入れる角度をお伝えしています。

形は「前歯はI字、奥歯はL字」

まっすぐなI字型は前歯に、ヘッドが曲がったL字型は奥歯に使いやすい形です。I字型でも、ワイヤー部分を少し曲げて奥歯に使えるタイプがあります。

素材は「ワイヤータイプ」と「ゴムタイプ」

ワイヤータイプは清掃力が高く、歯科医院で最もよく勧められる基本のタイプです。ゴム(シリコーン)タイプは金属が当たらずやさしい使い心地ですが、清掃力はワイヤータイプに劣ります。毛先が広がった、ワイヤーが曲がってぐらつく、といった状態になったら交換のサインです。

歯間ブラシのサイズの違い(4SからLまで)と、前歯向きのI字型・奥歯向きのL字型の形の違いを示した画像

使う順番とタイミング

歯磨きの「前」に使うのがおすすめ

先にフロスや歯間ブラシで歯と歯の間の歯垢を取っておくと、その後の歯磨きでフッ素が歯間部にも届きやすくなります。フロスを先に使ったほうが歯間部の歯垢が減り、フッ素の濃度も高まったという研究報告もあります(米国歯周病学会誌、2018年)。

ただし、いちばん大切なのは順番よりも「毎日続けること」です。すでに習慣になっている順番があれば、無理に変える必要はありません。

1日1回、寝る前の歯磨きのときに

寝ている間は唾液が減り、お口の中の細菌が増えやすくなります。1日1回、特に就寝前の歯磨きの際に使うのが理想です。

寝る前のケアの順番。フロスや歯間ブラシで歯と歯の間を清掃し、フッ素入り歯磨き粉で歯を磨き、少量の水で1回だけうがいをする3ステップの図解

【動画で確認】デンタルフロスと歯間ブラシの正しい使い方

正しい道具を選んでも、使い方を誤ると効果は半減します。以下はSUNSTARが公開している実践動画です。テキストだけでは伝わりにくい「指の動かし方」や「歯への当て方」を動画で確認してください。

デンタルフロスの使い方

💡 ポイント
・のこぎりを引くように、ゆっくり入れる
・歯の側面に「C」の字に沿わせて、上下に動かす
・1か所ごとに、糸の新しい部分を使う

正しいデンタルフロスの使い方 フルバージョン

歯間ブラシの使い方

💡 ポイント
・歯ぐきを傷つけないよう、ゆっくり水平に入れる
・前後に数回動かす(回したり、こすりつけたりしない)
・使用後は水でよく洗って、乾燥させる

正しい歯間ブラシの使い方 フルバージョン

スタッフによるInstagram投稿動画はこちら

酒井歯科医院のスタッフがデンタルフロスを肘までの長さで切る方法を実演している様子

フロスの巻き方や歯間ブラシを入れる角度など、手順をさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。もちろん、動画だけでは分からないあなたのお口に合わせたコツは、当院の歯科衛生士がマンツーマンでお伝えします。


歯ブラシの当て方も、あわせて見直しましょう

フロスや歯間ブラシの効果を活かすには、歯ブラシで歯の表面をきちんと磨けていることが前提です。歯ブラシは鉛筆を持つように軽く握り、毛先が軽くしなる程度の力(150〜200g程度)で、5〜10mmの幅で小刻みに動かすのが基本です。

正しいハブラシの使い方 フルバージョン

よくあるご質問

Q. フロスや歯間ブラシを使うと血が出ます。続けていいですか?

A. 使い始めに少量の出血があるのは、歯ぐきに炎症(歯肉炎)が起きているサインです。正しい方法で続けると、多くの場合1〜2週間で出血は治まります。ただし、強い痛みや大量の出血が続く場合は、一度歯科医院を受診してください。

Q. フロスや歯間ブラシは毎日使う必要がありますか?

A. 理想は1日1回、特に就寝前の歯磨きのときです。歯と歯の間の歯垢は、時間が経つほど細菌の塊(バイオフィルム)として落としにくくなります。毎日の習慣にすることで、虫歯・歯周病の予防効果が大きく高まります。

Q. 歯磨きの前と後、どちらに使えばよいですか?

A. 歯磨きの前がおすすめです。先に歯と歯の間の歯垢を取っておくと、歯磨き粉のフッ素が歯間部にも届きやすくなります。ただし、順番よりも毎日続けることが大切です。

Q. 歯間ブラシを使うと、歯と歯の隙間が広がりませんか?

A. 合ったサイズを正しく使えば、歯間ブラシが隙間を広げることはありません。炎症で腫れていた歯ぐきが引き締まり、その分だけ隙間が見えやすくなることはありますが、これは歯ぐきが健康になったサインです。太すぎるサイズを無理に入れると歯ぐきを傷つけるため、サイズは歯科衛生士に選んでもらいましょう。

Q. 子どもは何歳からフロスを使えばよいですか?

A. 乳歯の奥歯が生えそろい、歯と歯がぴったり接するようになったら(3歳前後が目安)始めましょう。最初は保護者の方が、仕上げ磨きのときにホルダー型のフロスで行ってください。


酒井歯科医院では、むし歯・歯周病の治療だけでなく、定期的なプロケアによる予防歯科を診療の中心に位置づけています。当院が対応している治療の全体像は診療案内ページで、医院の診療方針や院内環境については酒井歯科医院トップページからご覧いただけます。

執筆・監修歯科医

予防の差は
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