こんにちは。いわき市中央台の酒井歯科医院です。
歯科用金属の価格高騰が背景
ここ数年、「銀歯の治療費が以前より高くなった気がする」、「こんなに窓口負担が高かったかな?」という声を患者さんからお聞きすることが増えてきました。
実はこれ、歯科医院の値上げや利益増ではなく歯科用金属の価格高騰が背景にあります。特に銀歯に使われる「金パラ(金銀パラジウム合金)」の価格が世界情勢の影響で大きく変動し、保険治療にも直接影響しているのです。
今回のこのブログでは、
- 銀歯が高くなっている理由
- 歯科医院が“儲かっている”わけではないという事実
- 国の方針としての「メタルフリー化」
- CAD/CAM冠(白い保険の被せ物)が推進される背景
- そして当院が早期から取り組んできた脱金属治療
- そもそも歯を削らずに済む“予防が一番大切”という話
こうした点を、できるだけわかりやすく解説したいと思います。
なぜ銀歯が高くなっているのか?原因は「金属の価格高騰」
銀歯(保険の被せ物)には、「金銀パラジウム合金(通称:金パラ)」という金属が使われています。
この金パラは、金・銀・パラジウムなど複数の金属を混ぜ合わせた合金で、耐久性が高く、薄く作っても強度が保たれることから長年使用されてきました。


この金パラの価格がここ十数年で急上昇しています。世界的な資源価格の高騰、ウクライナ情勢などの地政学リスク、需要増などの影響が重なり、30gあたりの価格が10年前のナンと約3倍以上になっているのです。
その結果、
・1本の銀歯を作るために歯科医院が負担する材料費 > その銀歯に対して保険から支払われる技術料
という逆転現象が起きており、極端な話、銀歯を作れば作るほど歯科医院が赤字になる場合すらあります。(泣)
「じゃあ窓口負担が増えているなら歯科医院は儲かっているのでは?」
…と思われがちですが、実際はまったく逆です。
保険診療では、材料費や治療行為ごとの金額はすべて国(厚労省)が決めています。 銀歯の値段が上がったからといって、歯科医院が自由に治療費を上げることはできません。
窓口負担が増えている理由は、“金属材料の価格高騰分” が保険点数に転嫁されているだけで、歯科医院の利益が増えているわけではありません。
ここは多くの患者さんに誤解されがちなので、ぜひ知っていただきたい部分です。
国全体として「脱金属」=メタルフリー化が進められている
金属価格の高騰は世界的な問題であり、医療分野だけではなく様々な分野で影響が出ています。
そこで、厚生労働省は医療費適正化の観点から、金属を使用しない治療(メタルフリー治療)へ段階的にシフトさせる方向に動いています。
その代表が、保険で作れる白い被せ物、CAD/CAM冠(キャドキャム冠)です。
CAD/CAM冠とは?
- 白くて見た目が自然
- 金属アレルギーの心配がない
こうした理由から、国としても積極的に保険適用範囲を拡大しています。つまり、ここ数年の金属高騰は、ただのコスト問題ではなく、国全体が「金属に依存しない歯科医療へ移行していく流れ」の中にあるのです。


酒井歯科医院は保険導入初期から「脱金属」に取り組んできました
当院では、CAD/CAM冠が保険適用となった2014年(平成26年)頃から、いち早く院内に
・セレック(CEREC)システム ・専用ミリングマシーン
を導入し、地域では比較的早い段階でメタルフリー治療に取り組んできました。

その理由は単純で、
「金属が高いから」ではなく「患者さんの身体にやさしく、見た目が自然で再発リスクを減らせる治療だから」
です。金属にはメリットもありますが、
- 腐食により再度むし歯ができやすい
- 金属アレルギーのリスク
- 見た目の問題
といったデメリットもあります。
CAD/CAM冠は、こうした問題を解消しながらも保険でも負担を抑えつつ提供できる治療として、非常に優れた選択肢だと当院では考えています。

とは言え「削らずに済む」ことが一番の治療です
銀歯が高騰しているかどうか、CAD/CAM冠が優れているかどうか・・・どちらも大切な情報ではありますが、実はもっと大切なことがあります。それは、
「そもそも歯を削らなくて済む状態を保つこと」
です。当院では、予防に力を入れている理由はまさにここにあります。
- 定期的な歯科衛生士によるメインテナンス
- 3〜4ヶ月ごとのクリーニング
- 常なる虫歯・歯周病リスクの把握
- 正しいブラッシング指導
- 生活習慣や食事指導
こうした取り組みはすべて、“歯を削らない未来” のためです。
銀歯が高くなろうが安くなろうが、削らないで済むなら治療自体が必要なくなります。 これこそが真の意味で「患者さんの利益」であり、歯科医療の目的でもあったりいたします。
まとめ:金属高騰は歯科医療の転換点。選択肢は広がり、予防の価値も高まっています
歯科用金属の価格高騰は、患者さんの窓口負担にも影響しますし、歯科医院にも材料費負担が相当に大きい問題です。ただ、モノはナンでも考え様でして、この出来事は、コロナ禍でリモートが一気に加速したのと同様で歯科において国全体が「脱金属」・「デジタル化」・「予防重視」へ進むきっかけにもなっています。
酒井歯科医院では、
- 早い段階からのCAD/CAM冠用セレックシステム導入
- デジタル歯科治療の充実
- 歯科衛生士による予防体制の強化
といった取り組みを行いながら、患者さんの将来の歯の健康を考えた治療を提供しています。
銀歯の価格がどう変わっても、 “削らないで済む口の環境づくり” が何よりも大切です。むし歯や歯周病のご相談、メタルフリー治療のご相談など、どうぞお気軽にお声掛けください。
執筆・監修歯科医
できるだけ“削らない”
“金属に頼らない”歯科医療を
理事長・院長
酒井直樹
SAKAI NAOKI
経歴
- 1980年 福島県立磐城高等学校卒業
- 1988年 東北大学歯学部卒業
- 1993年 酒井歯科医院開院
- 2020年 医療法人SDC設立 理事長就任
所属学会・勉強会
- 日本臨床歯科CADCAM学会
- 日本顎咬合学会
- 日本口育協会
- 日本歯科医師会
- 日本歯周内科学研究会
- ドライマウス研究会






