子どもの虫歯は「甘いものの食べ過ぎ」だけが原因ではありません。虫歯は「細菌」「糖分」「歯質」「時間」という4つの要素が重なったときに起こります。特に子どもの歯は大人よりやわらかく、虫歯になりやすい特徴があります。
ご家庭でコントロールしやすいのは「糖分」と「時間」。おやつの回数や飲み物の習慣を見直すことで、リスクは大きく下げられます。一方、「細菌」や「歯質」は歯科医院での専門的なチェックが重要です。
虫歯の仕組みを正しく知ることが、お子さんの歯を守る第一歩になります。
春休みは虫歯リスクが高まりやすい季節です
こんにちは。院長の酒井直樹です。
3月は新年度前の春休みの時期ですね。お家で過ごす時間が増えると、ついおやつの回数も増えがちになります。
そこで気になるのが「虫歯」です。

「甘いものを食べ過ぎたから?」
「仕上げ磨きが足りなかった?」
そう感じてしまう保護者の方も少なくありません。ですが、子どもの虫歯は“ひとつの原因”だけで起こるわけではないのです。
仕上げ磨きだけでは防ぎきれない?子どもの虫歯の特徴
毎日きちんと仕上げ磨きをしていたのに、虫歯ができてしまった・・・そんな時、自分を責めてしまう保護者の方もいらっしゃいます。お気持ちは痛いほどに解るのですが、実際問題として子どもの歯は大人の歯に比べてやわらかく、虫歯になりやすいという特徴があります。
食生活に気を配り、丁寧に仕上げ磨きをしていても、条件が重なると虫歯ができてしまうことがあるのです。大切なのは「ちゃんとケアしていたかどうか」ではなく、虫歯ができる“仕組み”を知ることが大事かと思います。
虫歯はなぜできる?4つの要素をわかりやすく解説
虫歯は、次の4つの要素が重なったときに起こります。

細菌
お口の中にいる虫歯菌の種類や数
糖分
虫歯菌のエサになる糖分の量や摂取頻度
歯質
歯の強さや、だ液の量・働き(年齢や体質による個人差があります)
時間
これら3つが重なっている時間の長さ
この4つの重なりが大きいほど、虫歯リスクは高くなります。逆に言えば、この重なりを小さくすることで、虫歯のリスクは下げられるのです。
ご家庭でコントロールできるのは「糖分」と「時間」
4つの要素のうち、ご家庭で意識しやすいのは「糖分」と「時間」です。ここで大切なのは、甘いものの“量”よりも“回数”です。たとえば・・・

・おやつを少しずつ何度も食べる
・甘い飲み物をだらだら飲み続ける
こうした習慣は、お口の中に糖分が存在する時間を長くしてしまい、虫歯リスクを高めます。まずは、
・おやつの時間を決める
・甘い飲み物は特別なときだけにする
など、できることから少しずつ始めてみましょう。
歯科医院でフォローできる「細菌」と「歯質」
一方で、「細菌」や「歯質」はご家庭だけで完全にコントロールするのが難しい要素です。歯の強さやだ液の働き、虫歯菌の増えやすさには個人差があります。
歯科医院では、専門的な視点でお子さんのリスクを確認し、ご家庭でのケアがより効果的になるようサポートしています。
歯科医院の存在を、虫歯を「治す場所」ではなく虫歯になりにくい環境を一緒に整えていく場所として、ぜひご活用ください。

よくあるご質問
子どもの虫歯について、保護者の方からよくいただくご質問をまとめました。日々のケアの参考にしていただければ幸いです。
Q1. 仕上げ磨きをしているのに、なぜ虫歯になるのですか?
子どもの歯は大人よりやわらかく、虫歯になりやすい特徴があります。虫歯は「細菌」「糖分」「歯質」「時間」の4つが重なったときに起こるため、仕上げ磨きだけでは完全に防げない場合もあります。
Q2. 甘いものをやめれば虫歯は防げますか?
甘いものの量よりも「回数」や「時間」が重要です。だらだら食べや甘い飲み物の習慣があると、虫歯リスクは高まります。
Q3. 何歳から歯科検診を受けるべきですか?
歯が生え始めた頃からの受診が理想的です。早期からリスクを把握し、予防習慣を整えることが大切です。
Q4. フッ素はいつから使えばいいですか?
歯が生え始めた頃から使うことができます。乳歯は永久歯よりもやわらかく、虫歯になりやすい特徴があります。
そのため、歯が1本でも生えてきたら、フッ素入りの歯みがき剤を少量から使うことが推奨されています。
フッ素は歯を強くし、再石灰化を助ける働きがあります。ご家庭での毎日のケアと、歯科医院での定期的なフッ素塗布を組み合わせることで、虫歯リスクを大きく下げることができます。
Q5. シーラントは本当に必要ですか?
奥歯の溝が深いお子さんには、特に有効な予防法です。生えたばかりの奥歯(6歳臼歯など)は溝が深く、歯ブラシが届きにくいため、虫歯になりやすい部位です。シーラントとは、その溝をあらかじめ樹脂で埋めて、汚れがたまらないようにする予防処置です。痛みはほとんどなく、歯を削らずに行えるのが特徴です。
ただし、すべてのお子さんに必ず必要というわけではありませんし、噛み合わせや歯の形によって適応を判断いたします。定期検診の際に、虫歯リスクを評価しながらご提案いたします。
虫歯予防は、「完璧に防ぐこと」ではなくリスクを理解し少しずつ減らしていくことに尽きます。お子さんの歯を守るために、気になることがあればお気軽にご相談ください。
執筆・監修歯科医
むし歯予防を伝える歯科医
理事長・院長
酒井直樹
SAKAI NAOKI
経歴
- 1980年 福島県立磐城高等学校卒業
- 1988年 東北大学歯学部卒業
- 1993年 酒井歯科医院開院
- 2020年 医療法人SDC設立 理事長就任
所属学会・勉強会
- 日本臨床歯科CADCAM学会
- 日本顎咬合学会
- 日本口育協会
- 日本歯科医師会
- 日本歯周内科学研究会
- ドライマウス研究会






