歯ぎしりや食いしばりは、歯のすり減りだけでなく、顎の痛みや頭痛、睡眠の質の低下などさまざまな不調につながることがあります。ナイトガード(マウスピース)は、こうした負担を軽減し、歯や顎を守るための装置です。本記事では、その効果や必要性、保険での作り方まで歯科医師がわかりやすく解説します。
朝の顎の疲れや頭痛、その原因は歯ぎしりかもしれません
こんにちは。いわき市中央台の医療法人SDC 酒井歯科医院です。
朝起きたときに「なんだか顎が疲れている」「しっかり寝たはずなのにスッキリしない」と感じることはありませんか。実は、こうした不調の背景に、睡眠中の歯ぎしりや食いしばりが隠れていることがあります。
歯ぎしりや食いしばりは、歯に強い力をかけるだけでなく、顎や周囲の筋肉にも負担を与えます。放置すると、歯のすり減りや詰め物・被せ物の破損、顎関節の不調などにつながることもあります。
そこで用いられるのが、歯科医院で作るナイトガード(マウスピース)です。今回は、ナイトガードの効果や必要性、当院での作り方について、患者さん向けにわかりやすくご紹介します。

ナイトガード(マウスピース)とは?
ナイトガードは、歯ぎしりや食いしばりの対策として歯科医院で広く使用されている装置です。

ナイトガードとは、主に睡眠中の歯ぎしりや食いしばりから歯や顎を守るために使うマウスピース型の装置です。患者さん一人ひとりのお口に合わせて作製するため、市販品よりもフィットしやすく、噛み合わせの状態に応じた調整も行えます。

「マウスピース」というとスポーツ用のものを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、歯科で使うマウスピースにはいくつか種類があります。なかでもナイトガードは、歯ぎしりや食いしばりによるダメージを和らげるために使われる代表的な装置です。

歯ぎしり・食いしばりで起こる問題
歯ぎしりや食いしばりは、無意識のうちに行われることが多く、ご本人が気づいていないケースも少なくありません。特に睡眠中は、自分で力を調整できないため、歯や顎に大きな負担がかかることがあります。

こうした状態が続くと、次のような問題が起こることがあります。
- 歯がすり減る、欠ける、ヒビが入る
- 詰め物や被せ物が外れやすくなる
- 知覚過敏が起こる
- 顎がだるい、口が開けにくい
- 肩こりや首のこり、頭痛の一因になることがある
朝の顎の疲れや、原因のはっきりしないお口のトラブルがある場合は、歯ぎしりや食いしばりが関係している可能性があります。
ナイトガードの主な効果
歯や詰め物・被せ物を守る
ナイトガードの大きな役割は、睡眠中に歯へ加わる強い力をやわらげることです。歯ぎしりや食いしばりの力を完全になくすわけではありませんが、歯どうしが直接ぶつかるのを防ぎ、歯のすり減りや破折、詰め物・被せ物への負担軽減が期待できます。

顎への負担を軽減する
歯ぎしりや食いしばりは、顎関節や周囲の筋肉にも負担をかけます。ナイトガードを使用することで、顎関節への過度な負担を和らげ、朝の顎のだるさや違和感の軽減につながることがあります。
睡眠中の不快感の軽減につながることがある
歯ぎしりや食いしばりの影響で、朝の疲労感や頭痛、肩こりなどを感じる方もいらっしゃいます。ナイトガードの使用によって、それらの負担が軽くなり、結果として睡眠後の不快感が和らぐ場合があります。
なお、睡眠の質や全身状態への影響には個人差があり、症状の原因が歯ぎしり以外にあることもあります。気になる不調が続く場合は、自己判断せず歯科医院でご相談いただくことが大切です。

歯科用マウスピースは睡眠時無呼吸症の治療にも使われます
歯科で作るマウスピースは、歯ぎしり対策だけでなく、「睡眠時無呼吸症(OSA)」の治療に用いられることもあります。
睡眠時無呼吸症とは、睡眠中に舌や喉の筋肉がゆるみ、気道が狭くなることで呼吸が一時的に止まってしまう病気です。いびきが大きい、日中の強い眠気がある、起床時に頭痛があるといった症状がみられることがあります。
治療法としては、空気を送り込む装置を使用する「CPAP療法」が一般的ですが、症状や状態によっては、歯科で作製する専用のマウスピース(口腔内装置)が選択されることもあります。
この装置は、下顎を前方に固定することで気道を広げ、睡眠中の呼吸をしやすくする仕組みです。

なお、睡眠時無呼吸症に対するマウスピースは、歯ぎしり用のナイトガードとは異なる医療機器であり、医科(内科や耳鼻科など)での診断と紹介状が必要になります。
当院でも、医科からの紹介に基づき、睡眠時無呼吸症用の口腔内装置を作製することがあります。保険適用となりますが、紹介状が必須ですので、気になる症状がある方は、まず医科での検査・診断を受けていただくことがポイントになります。

噛み合わせと全身のバランスとの関係
噛み合わせは、お口の中だけでなく、首や肩、体のバランスとも関係していると考えられています。

マウスピースなどの口腔内装置を用いて噛み合わせを調整することで、身体のバランスや筋肉の使い方に変化がみられる可能性があるという報告もありますが、個人差があり、すべての方に当てはまるわけではありません。
また、スポーツの分野では、マウスガードの装着によって外傷予防だけでなく、体幹の安定性やパフォーマンスに影響を与える可能性についても研究が進められています。
ただし、あくまで補助的な役割として理解し、必要に応じて専門家にご相談いただくことが大切です。
ナイトガードはどんな人に必要?
次のような方は、ナイトガードが適している可能性があります。
- 朝起きると顎が疲れている
- 歯ぎしりを家族に指摘されたことがある
- 歯がすり減っていると言われたことがある
- 詰め物や被せ物がよく外れる
- 知覚過敏が気になる
- 食いしばる癖がある
- 顎関節に負担がかかっていると言われたことがある
こうしたサインがある方は、ナイトガードによる保護が役立つ場合があります。ただし、お口の状態によって適した治療法は異なりますので、まずは診察のうえで判断することが大切です。

当院でのナイトガードの作り方(保険対応)
「自分も歯ぎしりをしているかもしれない」と感じたら、まずはお気軽にご相談ください。当院では、患者さんのお口の状態を確認したうえで、必要に応じて保険適用でナイトガードを作製しています。
1.ご相談とお口のチェック
まずは、顎の痛み、朝の疲れ、歯のしみ、詰め物が外れやすいなど、気になる症状をお伺いします。そのうえで、お口の中を拝見し、歯のすり減り方や頬・舌の圧痕、骨隆起の有無などを確認します。
2.型取りをして作製
歯ぎしりや食いしばりの傾向があると判断した場合は、ナイトガード作製のための型取りを行います。お口の状態に応じて、ハードタイプやソフトタイプなどを検討し、適したものをご提案します。
保険適用で作製する場合、費用は症状や内容によって異なりますが、一般的には数千円程度が目安です。
3.装着時の調整
完成したナイトガードは、そのまま使うのではなく、実際にお口に入れて噛み合わせや当たり方を確認しながら丁寧に調整します。フィット感が合っていないと、違和感や痛みの原因になることがあるため、この調整はとても大切です。

4.経過観察とメンテナンス
使い始めた後も、不具合がないか、すり減りが進んでいないかなどを定期的に確認します。必要に応じて調整を行い、できるだけ快適に使える状態を維持していきます。
セルフチェック|歯ぎしりのサイン
歯ぎしりや食いしばりは無意識に起こることが多いため、自分では気づきにくいものです。次のような項目に当てはまるものがないか、確認してみましょう。
- 朝起きると顎がだるい、疲れている
- 起床時に頭痛があることがある
- 肩こりや首こりが気になる
- 冷たいものがしみやすい
- 歯がすり減っている気がする
- 日中も無意識に歯を食いしばっていることがある
- 詰め物や被せ物がよく欠けたり外れたりする
当てはまる項目が多い場合は、歯ぎしりや食いしばりが関係している可能性があります。ただし、症状の原因はひとつとは限りません。気になる場合は、自己判断せず一度歯科医院でご相談ください。
よくある質問
Q. ナイトガードは本当に効果がありますか?
A. ナイトガードは、歯ぎしりや食いしばりによる歯の摩耗や破折、詰め物・被せ物への負担を軽減するために用いられます。症状やお口の状態によって個人差はありますが、歯や顎を守る目的で有効と考えられています。
Q. ナイトガードは保険で作れますか?
A. 症状や診断内容に応じて、保険適用で作製できる場合があります。詳しくは診察時にお口の状態を確認したうえでご案内いたします。
Q. ナイトガードは毎日つけた方がいいですか?
A. 歯ぎしりや食いしばりが睡眠中に起きている場合は、基本的に毎晩の使用が勧められることが多いです。継続して使うことで、歯や顎への負担軽減につながります。
Q. 最初は違和感がありますか?
A. 初めて装着する際には、多少の違和感を覚える方もいらっしゃいます。ただし、お口に合わせて調整を行うことで、徐々に慣れていくことが多いです。痛みや強い不快感がある場合は、無理せずご相談ください。

まとめ
ナイトガード(マウスピース)は、歯ぎしりや食いしばりによる負担から歯や顎を守るための大切な装置です。朝の顎の疲れや頭痛、歯のすり減り、詰め物のトラブルなどが気になる方は、歯ぎしりが関係しているかもしれません。
酒井歯科医院では、患者さん一人ひとりのお口の状態に合わせて、無理のない形でナイトガードをご提案しています。朝の不調やお口の違和感が気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。
いわき市で歯医者をお探しの方は、診療内容や医院の特徴をまとめた酒井歯科医院トップページもあわせてご覧ください。
執筆・監修歯科医
噛み合わせから
全身を守る歯科医師
理事長・院長
酒井直樹
SAKAI NAOKI
経歴
- 1980年 福島県立磐城高等学校卒業
- 1988年 東北大学歯学部卒業
- 1993年 酒井歯科医院開院
- 2020年 医療法人SDC設立 理事長就任
所属学会・勉強会
- 日本臨床歯科CADCAM学会
- 日本顎咬合学会
- 日本口育協会
- 日本歯科医師会
- 日本歯周内科学研究会
- ドライマウス研究会





