はじめに:お子さんのお口、ポカンと開いていませんか?
テレビを見ている時、遊んでいる時、そして眠っている時・・・
ふと、お子さんのお口がポカンと開いていることに気づいたことはありませんか?

それは、もしかしたら単なる「癖」ではないかもしれません。現代の子どもたちに非常に増えている「口腔機能発達不全症(こうくうきのうはったつふぜんしょう)」という、お口の機能が正しく育っていないことを示す重要なSOSサインである可能性があります。
この記事では、なぜ、今の子どもたちにこの問題が増えているのか、その背景とお子さんの健やかな顎の成長と美しい歯並び、そして全身の健康を土台から育てるための当院の「咬合育成(こうごういくせい)」という新しい考え方について詳しく解説していきます。
見過ごさないで。お口の「危険信号」セルフチェック
以下の項目に、一つでも当てはまるものがあれば、それは、お口の機能がうまく育っていないサインかもしれません。ぜひ、お子さんの様子をチェックしてみてください。
✅ いつも、お口がポカンと開いている(口呼吸)
✅ 食べるのが遅い。よく丸飲みしている
✅ 食べる時にクチャクチャと音を立てる
✅ 話し方が少し幼く、滑舌が悪い
✅ 指しゃぶりや爪噛みの癖がなかなか治らない
✅ いびきをかく、寝ている時に口が開いている


なぜ、今の子どもたちにこの問題が増えているのか?
現代の食生活は、昔に比べて非常に柔らかいものが中心になりました。その結果、子どもたちの「噛む」回数が劇的に減少しています。しっかり噛まないことで、顎の骨やお口周りの筋肉が十分に発達せず様々な問題を引き起こしているのです。
顎が小さく十分に発達しないと、後から生えてくる大きな永久歯が並ぶための十分なスペースが確保できません。その結果、歯が本来あるべき場所に収まりきらずガタガタの歯並び(叢生)や出っ歯になってしまうのです。

「歯並び」だけの問題ではありません。全身の健康を左右します。
お口の機能が正しく発達しないことは、単に歯並びが悪くなる・・・という見た目の問題だけでは決してありません。それは、お子さんの全身の健康にまで深刻な影響を及ぼす可能性があります。
① 虫歯・歯周病のリスク
口呼吸によってお口の中が乾燥すると、唾液による自浄作用が失われ、虫歯や歯肉炎のリスクが格段に高まります。
② 呼吸への影響(アレルギー・喘息)
鼻は、空気を浄化する天然の「空気清浄機」です。口呼吸が習慣になると、汚れた冷たい空気が直接に喉や肺に入り込み、アレルギーや喘息などを悪化させる一因となります。

③ 姿勢や顔つきへの影響
お口周りの筋肉のバランスが崩れると、それが、全身の姿勢の歪み、顎が十分に発達しないことによる締まりのない顔つき(アデノイド様顔貌)に繋がることもあります。

「ゴールデンエイジ」を逃さないために。当院の「咬合育成」
お子さんの顎の骨が最も活発に成長する3歳〜12歳頃。私たちは、この二度と戻らない「成長のゴールデンエイジ」を最大限に活用します。
当院の「咬合育成」では、「小児予防矯正」という考え方に基づき、マウスピース型の装置(プレオルソなど)を使ってお子さん自身の「成長する力」を正しい方向へと優しく導いてあげる治療を行います。

本格的な矯正治療が必要になる前に、その「土台」となる顎の骨を健全に育てること。そして、指しゃぶりや口呼吸といった歯並びを悪くする「悪い癖」を筋機能訓練(MFT)で改善していくこと。それこそが、お子さんの未来への最高の贈り物になると私たちは考えています。

それぞれのテーマについてより詳しく知りたい方は、以下の各専門解説ページも順番に是非ご覧ください。
執筆・監修歯科医
お子さんの未来へ
最高の贈り物を
理事長・院長
酒井直樹
SAKAI NAOKI
経歴
- 1980年 福島県立磐城高等学校卒業
- 1988年 東北大学歯学部卒業
- 1993年 酒井歯科医院開院
- 2020年 医療法人SDC設立 理事長就任
所属学会・勉強会
- 日本臨床歯科CADCAM学会
- 日本顎咬合学会
- 日本口育協会
- 日本歯科医師会
- 日本歯周内科学研究会
- ドライマウス研究会