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歯周病

「歯周病」と「歯槽膿漏」の違いとは? 歯科医師が分かりやすく解説します

「歯槽膿漏(しそうのうろう)」と「歯周病(ししゅうびょう)」。 どちらも歯ぐきに関する言葉としてよく耳にしますが、「この2つは何が違うのですか?」というご質問を、患者さんからよくいただきます。

結論を先に申し上げますと、これらは全く別の病気を指す言葉ではありません。 現在、私たちが「歯周病」と呼んでいる病気の、特に症状が進行した状態を、昔は「歯槽膿漏」と呼んでいたのです。

この記事では、それぞれの言葉が持つ本来の意味を紐解きながら、呼び方の違いだけでなく、その裏に隠された本当の怖さと、最も大切な予防法について、専門家の視点で分かりやすく解説していきます。

歯周病の悪化02

まず、昔ながらの呼び方である「歯槽膿漏」という言葉を、漢字で分解してみましょう。

  • 歯槽(しそう): 歯を支えている、顎の骨のこと。
  • 膿(のう): 細菌と白血球の死骸のかたまり。
  • 漏(ろう): 漏れ出てくること。

つまり、「歯槽膿漏」とは、「歯を支える骨から膿が漏れ出てくる状態」を指す、非常に直接的な表現です。 この言葉が使われていた時代は、歯ぐきから膿が出て、歯がグラグラになって、自然に抜け落ちるのを待つしかない、という恐ろしい病気だと考えられていました。この言葉は、歯周病が末期症状にまで進行した状態を的確に表しています。


一方、「歯周病」は、より広い範囲を指す現代の正式な病名です。 「歯周」とは、歯の周りの組織、つまり「歯ぐき(歯肉)」や「歯槽骨」など、歯を支える全ての組織を指します。

歯周病は、いきなり「歯槽膿漏」の状態になるわけではありません。症状がほとんどない軽い段階から、静かに進行していく病気です。その進行段階によって、大きく2つに分けられます。

初期段階:「歯肉炎(しにくえん)」

歯周病菌が歯ぐきに感染し始めた、初期の段階です。歯ぐきが赤く腫れたり、歯磨きの時に血が出たりしますが、痛みはほとんどありません。 この歯肉炎の段階であれば、丁寧な歯磨きと歯科医院でのクリーニングで、健康な状態に回復させることが可能です。

進行段階:「歯周炎(ししゅうえん)」

歯肉炎を放置し、炎症が歯槽骨にまで及んでしまった状態です。歯ぐきが下がり始め、歯と歯ぐきの間の溝(歯周ポケット)が深くなっていきます。 昔「歯槽膿漏」と呼ばれていたのは、この歯周炎がさらに悪化した状態を指します。一度溶けてしまった歯槽骨は、基本的には元には戻りません。


つまり、2つの言葉の関係をまとめると、以下のようになります。

  • 歯周病: 歯肉炎と歯周炎を合わせた、全体の病名。
  • 歯槽膿漏: 重度の歯周炎(歯周病)が示す症状の一つを指す、古い呼び名。

例えるなら、「風邪」という大きな病名(歯周病)の中に、「高熱」や「ひどい咳」といった具体的な症状(歯槽膿漏)がある・・・といった関係に似ています。

本当に大切なのは、呼び方の違いを知ることではありません。「痛みがないから大丈夫」と油断しているうちに、静かに歯の土台が破壊されていく、という歯周病の本質的な怖さを理解することです。

骨の消失のレントゲン画像

歯周病は、一度進行すると元に戻すのが難しい恐ろしい病気ですが、原因は歯垢(プラーク)とはっきりしています。これは、正しいケアで予防ができる、ということです。

「歯槽膿漏」という言葉が使われていた時代と違い、現代では歯科医院での専門的なケアや、効果的なセルフケア用品がたくさんあります。「年だから仕方ない」とあきらめる必要は全くありません。

大切なのは、症状がなくても定期的に歯科医院で検診を受け、ご自身のお口の状態を正確に把握することです。痛みが出る前の「歯肉炎」の段階で発見できれば、歯を失うリスクを大きく減らすことができます。

当院では、歯周病の検査から、治療、そして最も重要な予防まで、一貫してサポートしています。少しでも気になることがあれば、「これって歯槽膿漏ですか?」と、ぜひお気軽にご質問ください。

執筆・監修歯科医

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酒井直樹

医療法人SDC 酒井歯科医院 理事長 / 院長

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