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院長のコラム

永久歯は何本あるのが正解? 歯の数と「8020運動」を歯科医師が解説

    ご自身の永久歯が何本あるか、数えたことはありますか?

    いきなりですが、皆さんはご自身の「永久歯」が、今、何本あるかご存じでしょうか?
    「えーっと・・・」と、すぐに答えられる方は、意外と少ないかもしれません。この記事では、私たちの歯の本数に関する基本的な知識と、その歯の数を生涯にわたって維持することがいかに大切かについてお話しします。

    歯の本数②

    まずは基本から。人間の歯の「標準本数」

    まず、基本となる歯の本数について見ていきましょう。

    子どもの歯「乳歯」は全部で20本

    生後6ヶ月頃から生え始め、3歳頃に生えそろう子どもの歯「乳歯」は、上下合わせて20本です。

    大人の歯「永久歯」は基本28本

    そして、6歳頃から乳歯が徐々に抜け始め、永久歯へと生え変わっていきます。親知らずを除いた、基本的な永久歯の本数は、上下合わせて28本となります。小学校6年生辺りになると、早生まれのお子さんを除けば大概 28本の歯は萌出して来ます。

    「親知らず」を含めると最大32本

    この28本に、一番奥に生えてくる「親知らず(第三大臼歯)」が加わります。親知らずは上下左右で計4本ありますが、全てが生えそろうとは限りません。生まれつき全く存在しない方、1〜2本だけある方など、その本数には個人差があります。ちなみに、私自身は32本ありましたが、歯学部の学生時代に全て抜歯しています。

    歯のパノラマレントゲン
    下の左右両奥に親知らずがありますが、上には無いです

    人それぞれ違う、歯の数の「個性」

    基本的な本数は上記の通りですが、日々の臨床では、様々な「個性」を持った患者さんに出会います。

    生まれつき歯が多い「過剰歯(かじょうし)」

    標準的な本数よりも多く歯が存在するケースです。先日も、過剰歯が2本あり、親知らずも合わせると合計34本の歯を持つ方がいらっしゃいました。

    過剰歯

    生まれつき歯が少ない「先天性欠如(せんてんせいけつじょ)」

    逆に、生まれつき永久歯の一部が存在しないケースです。1〜2本の欠如は決して珍しくありませんが、中には、そもそも永久歯が16本しかない、という方もいらっしゃいました。このような場合は、残っている歯をいかに守っていくかが、非常に重要になります。


    なぜ「歯の数」が重要なのか?―「8020運動」が目指すもの

    では、なぜ私たちは歯の本数を気にするのでしょうか。それは、残っている歯の本数が、その方の「健康寿命」や「生活の質(QOL)」に、非常に深く関わっているからです。

    「8020(ハチマルニイマル)運動」をご存じですか?

    日本歯科医師会などが推進している、「80歳になっても、自分の歯を20本以上保とう」という運動です。なぜ「20本」なのでしょうか?

    研究によると、ご自身の歯が20本以上残っていれば、硬い食べ物も含め、ほとんどの食品を不自由なく噛み砕くことができる、とされています。つまり、「20本」という数字は、生涯にわたって豊かな食生活を楽しむための、一つの大きな目標なのです。

    歯の数と「全身の健康」の深い関係

    さらに、歯の数、そして「噛む力」は全身の健康にも大きな影響を与えます。以前のブログで、よく噛むことが認知症予防に繋がる、というお話をしました。歯を失い、噛む刺激が脳に伝わらなくなることが、認知機能の低下を招く一因となるのです。

    「自分の歯で、しっかり噛めること」。それは、美味しく食事をし、楽しく会話し、そして健康で豊かな人生を送るためのかけがえのない土台です。


    あなたの「28本」を守るために

    もっとも、親知らずだけは、顎の骨の発達不足を来している現代人の場合には、綺麗な形で萌出している方を探す方が大変なぐらいで、手前の歯に悪影響を及ぼす恐れがある場合には積極的に抜歯した方が良いケースもあったりは致します。
    私自身も、横倒しの親知らず(下顎・噛んでない)を学生時代に抜歯しておりますが、その判断は今でも正しかったと思っています。抜歯しておいた御陰で、未だに手前の歯が無傷で居られるのは実に幸いでした。

    親知らず③
    下顎水平埋伏智歯
    親知らず②
    チラッと見えてると厄介・・・私のケース
    親知らず⑥
    智歯周囲炎
    親知らず⑤
    手前の歯のトラブル

    歯の本数には個人差がありますが、大切なのは、生まれ持ったご自身の歯を、一本でも多く、一日でも長く、健康な状態で守り抜くことです。
    そのためには、日々の丁寧なセルフケアと、私たち「かかりつけ歯科医」による定期的なプロフェッショナルケアが欠かせません。ご自身の歯の現在地を知り、未来の健康を守るために。ぜひ一度、私たちにご相談ください。

    執筆・監修歯科医

    一本でも多くの歯を
    未来のあなたのために

    酒井直樹

    医療法人SDC 酒井歯科医院 理事長 / 院長

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