お知らせキャンセルポリシー採用情報はそれぞれをクリック!

院長のコラム

【いわき市の歯医者が警鐘】加熱式タバコでも歯周病リスクは高い! 喫煙で歯を失う前に知って欲しいこと

こんにちは。いわき市で地域の皆さまのお口の健康をサポートしております酒井歯科医院です。
さて、最近の診療で、患者さんからこんなお話を伺うことが増えました。

  • 「周りへの配慮も考えて、紙巻きタバコから加熱式タバコに変えました」
  • 「煙やニオイも少ないし、健康への影響も少ないんですよね・・・?」

確かに、加熱式タバコは従来の紙巻きタバコと比べてクリーンなイメージがあり、なんとなく安心されている方も多いかもしれません。
ですが、私たち歯科医師の立場から申し上げますと、その「加熱式タバコだから大丈夫」という安心感は、実は非常に危険な落とし穴かもしれないのです。

ホントに大丈夫なの?

なぜなら、加熱式タバコにも、あなたの歯を支える大切な骨を静かに溶かしていく「歯周病」のリスクが確実に潜んでいるからです。しかも、そのリスクは喫煙者ご本人だけでなく、大切なご家族にまで及ぶ可能性があります。

今回のブログでは、加熱式タバコがお口の健康・・・特に歯周病にどのような影響を与えるのか、そして、ご自身の歯を生涯守るために何ができるのかを、なるべく専門用語を避けて分かりやすく解説していきます。喫煙されている方も、ご家族に喫煙者がいる方も、ぜひ最後までお読みください。


「タールが含まれていないから、歯への影響は少ないのでは?」と思われるかもしれません。ですが、問題はタールだけではありません。加熱式タバコが歯周病のリスクを高める大きな理由は、「ニコチン」と「その他の有害物質」にあります。

理由 ①:ニコチンが歯ぐきの“SOSサイン”を隠してしまう

加熱式タバコにも、依存性を生む原因物質であるニコチンはしっかりと含まれています。 このニコチンには、血管をキュッと収縮させる作用があります。お口の中でこれが起こると、歯ぐきに通う毛細血管が細くなり、血流が悪くなってしまいます。
血流が悪くなった歯ぐきは、いわば“栄養失調”の状態です。歯周病菌が侵入してきても、菌と戦うための免疫細胞や酸素が十分に届かず、抵抗力が大幅にダウンしてしまいます。

さらに厄介なのは、ニコチンが歯周病の初期症状である「歯ぐきからの出血」を抑え込んでしまうことです。
本来であれば、歯磨きの時に血が出ることで「あれ、おかしいな?」と異変に気づけるはずが、そのサインが現れにくくなります。出血しないから大丈夫、ではないのです。むしろ、ご自身が気づかない水面下で、歯周病が静かに、そして深刻に進行している危険なサインなのです。これを、私たちは「サイレント・ディジーズ(静かなる病気)」と呼んでいます。

ニコチンが歯周病を引き起こすメカニズム

詳細をまとめてみます。加熱式タバコも紙巻きタバコも、ニコチンを体内に取り込むことに変わりはありません。ニコチンは以下のようにして歯周病のリスクを高め、症状を悪化させます。

血流の悪化

ニコチンには血管を収縮させる作用があります。これにより、歯茎の血流が悪くなり、歯周組織に必要な酸素や栄養が届きにくくなります。

タバコと歯周病-21
タバコと歯周病-20
免疫力の低下

血流の悪化は、細菌と戦う白血球などの免疫細胞の働きを鈍らせます。その結果、歯周病菌が繁殖しやすくなります。

修復能力の低下

歯周病によって破壊された歯茎や骨の修復に必要な細胞の働きも、ニコチンによって抑制されてしまいます。

症状を隠すマスキング効果

ニコチンによる血流の悪化は、歯周病の初期症状である「歯茎の腫れ」や「出血」を目立たなくさせることがあります。これにより、自覚症状がないまま歯周病が進行してしまう危険性があります。


理由 ②:歯を失うだけじゃない、喫煙が招く様々なリスク

喫煙は、歯周病の進行を早めるだけでなく、お口全体に様々な悪影響を及ぼします。

Ⅰ. 治癒能力の低下

ニコチンやその他の有害物質は、傷を治そうとする細胞の働きを邪魔します。そのため、歯周病の治療を行っても効果が出にくかったり、外科処置後の傷の治りが遅れたりします。

Ⅱ. 口腔がんのリスク

長年の喫煙が、お口の中にできる「口腔がん(特に扁平上皮癌)」の最大の原因であることは、医学的に明らかです。加熱式タバコは登場してからの歴史が浅く、長期的な人体への影響はまだ未知数です。「害が少ない」のではなく「害がまだ分かっていない」と考えるのが、歯科医師としての見解です。安全が証明されていない以上、リスクは存在すると考えるべきでしょう。

高い発症リスク

喫煙は口腔がんの最も大きな原因とされており、喫煙者は非喫煙者に比べて口腔がんの発生率が数倍高くなると言われています。ある調査では、口腔がんの原因の約80%は喫煙だと考えられています。

発がん性物質

タバコの煙には約70種類もの発がん性物質が含まれています。これらの有害物質が口の中の粘膜に直接触れることで、細胞の遺伝子を傷つけ、がん細胞の発生を促します。

飲酒との相乗効果

喫煙と飲酒の両方の習慣があると、口腔がんのリスクはさらに飛躍的に高まることが分かっています。

Ⅲ. 受動喫煙・呼出煙の影響

加熱式タバコから出る蒸気(呼出煙:こしゅつえん)にも、ニコチンをはじめとする有害物質が含まれています。換気扇の下で吸っていても、その成分はご家族の体内に入り込みます。喫煙は、もはや個人の問題ではなく、大切なご家族の歯ぐきの健康をも脅かす可能性があるのです。

タバコと歯周病-27
タバコと歯周病-26

「喫煙者の歯周病は治らないって聞いたことがある・・・」と、治療を諦めてしまっている方はいませんか?
確かに、喫煙者の方の歯周病治療は非喫煙者の方に比べて難しく根気が必要です。それでも、決して「治らない」わけではありません。

適切な治療と、その後のメンテナンスを継続することで、歯周病の進行を食い止め、健康な状態を長く維持することは十分に可能です。私たち、いわき市の酒井歯科医院が、そのお手伝いをさせていただきます。

プロの目で徹底チェック! 当院の「歯周病メンテナンス」

喫煙によって防御力が落ちてしまった歯ぐきを守るために最も重要なのが、歯科医院での定期的なメンテナンスです。 当院では、歯周病の検査から治療、そして予防のためのメンテナンスまで、一貫して力を入れています。

メンテナンスでは、歯科医師や歯科衛生士が、ご自身の歯磨きでは絶対に落とせない細菌の塊「バイオフィルム」を、専門の器具を使って徹底的に破壊・除去します。お口の中がサッパリするだけでなく、歯周病菌が活動しにくい環境を維持することができます。

こうした歯周病の検査や治療、メンテナンスの多くは健康保険が適用されます。お口の将来を守るための投資として、ぜひ定期的な来院をご検討ください。

常勤歯科衛生士による、あなたに寄り添う“二人三脚”のサポート

当院の強みの一つは、国家資格を持つ歯科衛生士が7名常勤している(育児休暇中含む)ことです。 歯周病の管理は、一度の治療で終わりではありません。継続的なケアが何よりも大切です。
細やかなケアにより、お口の中の小さな変化にも気づきやすくなります。そして、患者さん一人ひとりの生活習慣や喫煙状況、歯磨きの癖などを把握することで最適なケア方法や禁煙に向けたアドバイスをご提供できます。

歯科医師の私には直接訊きにくいような些細なことでも気軽に相談できる存在が医院スタッフでしょう。私たちは、患者さんと“二人三脚”で、健康な歯を守るゴールを目指したいと考えています。

育休中のスタッフが遊びに来てくれました!③

患者さんからよくいただくご質問とその回答を、Q&A形式でまとめました。

Q1. 加熱式タバコに変えたら歯ぐきの出血が止まりました。これは良くなった証拠ですか?

A. いいえ、残念ながらその逆である可能性が高いです。前述の通り、ニコチンの血管収縮作用によって出血という“警告サイン”が隠されている状態だと考えられます。
実際問題として、逆に紙巻きタバコからの切り替えで症状が悪化することもあるようです。これは、紙巻きタバコに含まれる「タール」が減少したことによる可能性がありますでしょう。
タールには炎症を抑える作用があるため、タールが少なくなることで、これまで隠されていた歯周病の症状が表面に出てきたと考えられます。これは治癒の兆候ではなく、根本的な問題が解決されたわけではありません。
どちらにせよ、ご自身が気づかない間に歯周病が重症化している危険性がありますので、なるべく早く歯科医院で精密な検査を受けることを強くお勧めします。

Q2. 禁煙したいのですが、なかなかできません。歯科医院で何か手伝ってもらえますか?

A. はい、ぜひご相談ください。私たち歯科医院ができる禁煙サポートは、まず「お口の中を徹底的にきれいにすること」です。プロのクリーニングでツルツルになった歯を体験すると、「この気持ちよさを維持したい」という気持ちが生まれ、禁煙への強いモチベーションに繋がる方が多くいらっしゃいます。

Q3. 喫煙者は、歯周病の治療をしても結局は治らないのでしょうか?

A. 「治りにくい」のは事実ですが「治らない」ということは決してありませんでしょう。少なくとも悪化を遅らせることが出来るのは間違いありませんでしょう。
非喫煙者の方に比べて、治療への反応が鈍かったり、再発のリスクが高かったりするのは確かです。だからこそ、より一層丁寧なセルフケアと定期的なプロのメンテナンスが不可欠になります。諦めずに一緒に治療を続ければ、必ずお口の状態は改善できようかと思います。

Q4. 家族が吸う加熱式タバコの煙で、自分の歯周病も悪化しますか?

A. はい、その可能性は否定できません。受動喫煙によって吸い込む煙(蒸気)にも、ニコチンなどの有害物質は含まれているそうです。非喫煙者の方でも、ご家族に喫煙者がいる場合は、ご自身の歯ぐきが気づかないうちにダメージを受けている可能性があります。喫煙は、ご家族全員の健康問題として捉えることが大切です。


今回は、加熱式タバコと歯周病の関係について詳しく解説しました。最後に、重要なポイントをもう一度確認しましょう。

  • 加熱式タバコも紙巻きタバコと同様に、歯周病のリスクを高めます。
  • ニコチンの作用で出血などのサインが隠れ、発見が遅れがちになります。
  • 喫煙は歯周病だけでなく、口腔がんのリスクも高める可能性があります。
  • ご自身の歯を守る最善の方法は、「禁煙」と「歯科医院での定期メンテナンス」です。

この記事を読んで、「自分の口の中は大丈夫だろうか・・・」と少しでも不安になった方、ご自身の本当のお口の状態を知りたいと思った方は、レントゲン等で歯周病の進行度合いは一目瞭然となります。ご相談下さい。

日本歯周病学会も、加熱式タバコが歯周病のリスクとなる可能性について注意喚起をしています。ある研究では、紙巻きタバコから加熱式タバコに切り替えた群と、紙巻きタバコを吸い続けた群とで、6ヶ月後の歯周病治療の効果に大きな差は見られなかったと報告されています。

結論として、歯周病の予防や治療を考える上で、加熱式タバコが安全な選択肢であるとは言えません。お口の健康を守るためには、種類を問わず禁煙することが最も確実な方法です

もし現在、加熱式タバコを使用していて歯茎の状態が気になる場合は、一度歯科医院で相談されることを強くお勧めします。
いわき市の酒井歯科医院では、歯科医師と経験豊富な歯科衛生士がチームとなり、あなたの現在のお口の状態を丁寧にご説明し、今後の健康をサポートいたします。手遅れになって後悔する前に、ぜひ一歩を踏出してみませんか?

お電話(TEL: 0246-31-1000)または、24時間いつでもご予約可能な当院ホームページのWeb予約からご連絡ください。

酒井直樹

医療法人SDC 酒井歯科医院 理事長 / 院長

関連記事

LINE(公式 & 矯正相談)
友だち追加
LINE公式アカウント
当院の関連サイト
医療法人SDC 酒井歯科医院のYouTube
ArtGallery彩
日本最大級の医療総合求人サイト ジョブメドレー
歯医者の検索・口コミ
2025年7月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031