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歯科のトピックス

【いわき市の歯医者が警鐘】歯科技工士さんが消える日。あなたの歯の詰め物・被せ物は大丈夫? – CAD/CAMと歯科の未来

    皆さん、こんにちは。いわき市の歯医者、酒井歯科医院です。
    虫歯治療で使った銀歯やセラミックの歯。これらが「歯科技工士」という国家資格を持つ専門家によって、患者さん一人ひとりのお口に合わせて、一つひとつオーダーメイドで作られていることをご存知でしょうか?

    技工物③
    技工物⑤
    技工物④

    離職率は7割とも言われます

    実は今、この日本の歯科医療を根底から支える歯科技工士さんが、高い離職率後継者不足激減しているという深刻な問題を、多くの人は御存知ありませんでしょう。歯科医師として日々の診療に当たる中で、この状況に強い危機感を覚えています。これは、私たち医療従事者にとってはもちろん、患者さんである皆様にとっても、決して他人事ではないのです。

    歯科技工士①
    歯科技工士②

    このままでは、将来的に質の高い詰め物や被せ物、入れ歯が、これまで通りに作れなくなる時代が来るかもしれません。この危機的状況は、いわき市で暮らす皆様の未来の歯科治療にも関わってきます。

    今回は、歯科界が直面するこの大きな課題のリアルな実態と、その中で当院のみならず、各歯科医院がどのように向き合い、どのような未来の歯科医療を目指しているのか、皆様に知っていただきたくブログに記そうと考えました。


    なぜ? 日本の歯を支える歯科技工士さんが減り続ける、知られざる理由

    「どうしてそんなに減っているの?」と疑問に思われるかもしれません。理由は一つではありませんが、主に以下のような背景があります。

    過酷な労働環境と低い待遇

    第一に、過酷な労働環境と低い待遇です。 歯科技工は、ミクロン単位の精度が求められる、まさに「職人技」です。ですが、日本の歯科医療保険制度の構造上、その技術料である「技工料金」が低く抑えられがちで、高度な技術や長時間労働に見合った対価が支払われにくいという現実があります。

    歯科技工士⑧
    技工物②

    深刻な後継者不足

    第二に、深刻な後継者不足です。 このような厳しい現状から歯科技工士さんを目指す若者が減少し、全国の歯科技工士養成校(専門学校)も定員割れや閉鎖が相次いでいます。結果として業界全体が高齢化し、「辞める人はいても、入ってくる人はいない」という負のスパイラルに陥っているのです。

    歯科技工士③
    歯科技工士⑤

    「安ければ良い」では済まされない、海外で製作される技工物のリスク

    担い手不足を補うため、一部では海外の安価な技工所に製作を依頼するケースも増えています。しかし、これには看過できないリスクが伴います。

    品質管理の不透明さ

    顔の見える地元の技工士さんとは違い、海外の技工所でどのような材料が使われ、どのような衛生・品質管理の下で製作されているか、完全に把握するのは困難です。

    歯科技工士⑥
    歯科技工士⑦

    コミュニケーションの壁

    患者さん一人ひとりのお口にぴったり合う技工物を作るには、歯科医師と歯科技工士さんの密な連携が不可欠です。設計指示書(図も含む)だけでは伝わらない微妙なニュアンスや調整が海外とのやり取りでは難しくなり、結果として技工物の精度に影響を及ぼす可能性があります。

    技工物①

    お口の中という非常にデリケートな部分に長期間入れるものだからこそ、「安かろう悪かろう」では決して済まされないと考えています。


    このような状況を打破する希望の光として、コンピューターで歯を設計・製作するCAD/CAM(キャドキャム)というデジタル技術が普及し始めました。当院が導入している「セレック」もこの一種です。この技術は、歯科技工士さんの負担を軽減し、品質を安定させる大きな可能性を秘めています。

    しかし、ここにも歯科界特有のジレンマが存在します。
    CAD/CAMシステムは非常に高額な医療機器であり、導入できる歯科医院はまだ限られています。さらに、歯科医師自身も全国的に高齢化(日本歯科医師会会員の平均年齢は2024年3月末時点で62.7歳)が進んでおり、新しいデジタル技術の習得に二の足を踏んでしまうケースも少なくありません。近年の物価高騰も追い打ちをかけ、業界全体のデジタル化(DX化)が思うように進んでいないのが実情なのです。

    セレック・プライムスキャン

    大いなるパラダイムシフトが求められる「技工士さん不足」と「デジタル化への高いハードル」の間に置かれて、歯科医師自身も大きな変革を求められだろうと感じる事が多い昨今であります。
    と同時に、患者さんお一人お一人にもメンテナンスの有用性を御理解いただき、技工物作製に至らしめないような口腔管理の重要性認識が求められてるように私は感じて居ます。


    歯科技工士不足時代への一つの答え – 当院が導入する「セレック」とは?

    いわき市にある私たち酒井歯科医院では、この歯科技工士不足という大きな時代の変化を見据え、歯科界のデジタル化を牽引するCAD/CAMシステム「セレック」をいち早く導入し、危機に立ち向かう体制を整えています。

    セレックとは、

    1.スキャン

    3D光学カメラでお口の中を撮影(スキャン)し、歯の形をデータ化します。

    2.設計

    そのデータをもとに、コンピューター上で詰め物や被せ物を精密に設計(デザイン)します。

    3.製作

    設計データに基づき、院内に設置された次の写真の様なミリングマシンという機械が、高品質なセラミックブロックを自動で削り出し、技工物を作製します。

    この一連の流れを院内で行うことで、外部の技工所に依頼することなく、質の高い修復治療を完結させることができます。

    セレック・プライムミル

    院内完結だからこそ実現できる「早く・美しく・安心」な治療

    このセレックシステムは、患者さんにとっても多くのメリットをもたらします。

    スピーディーな治療

    外部の技工所を介さないため、治療期間を大幅に短縮できます。症例によっては、最短1日で治療が完了することもあります。(その場合には保険適用外)

    高品質で安心な材料

    国の認可を受けた規格品のセラミックブロックを使用するため、材料の素性が明らかで安心です。金属を一切使わないため金属アレルギーの心配もありません。

    患者さんの負担軽減

    従来の粘土のような材料(いわゆる”歯型取り”)が不要です。嘔吐反射が強い方でも、3Dカメラでのスキャンは不快感が少なく、快適に治療を受けていただけます。

    このように、外部環境の変化に左右されず、安定的かつ高品質な治療を提供できること。それが、デジタル化に取り組む当院の大きな強みです。

    究極の目標は「技工物を必要としないお口の健康」です

    もっとも・・・・・私たちがお伝えしたい最も大切なことは、セレックはあくまで優れた「修復」手段の一つに過ぎない、ということです。

    当院が最も大切にしている理念は、「そもそも虫歯や歯周病にならない、治療を必要としない健康な状態」を患者さんと共に目指し、維持していくことです。
    なぜ虫歯になったのか、どうすれば再発を防げるのか。私たちは治療法だけでなく、その背景にある根本原因についての【情報提供】を重視しています。定期検診や予防指導を通じて、患者さん一人ひとりが生涯にわたりご自身の歯で美味しく食事できるよう、根本的な健康づくりをサポートすることこそ、私たちの本当の使命だと考えています。


    Q1. 歯科技工士さんが減ると、私たち患者には具体的にどんな影響があるのですか?

    A1. 治療期間の長期化や、治療の選択肢が狭まる可能性があります。

    影響①:治療期間が長くなる

    これまで1週間で出来上がっていた詰め物や被せ物が、技工所の多忙化により2週間、3週間と延びてしまう可能性があります。

    影響②:対応できる技工物が減る

    特に、精密で複雑な技術を要する入れ歯やブリッジなどは、対応できる熟練の歯科技工士さんが限られ、作製自体が難しくなることも考えられます。

    影響③:コストへの影響

    国内の担い手が減ることで、希少価値から技工料金が上昇し、保険外診療の費用に反映される可能性も否定できません。


    Q2. 詰め物や被せ物を長持ちさせ、再治療を避けるにはどうすれば良いですか?

    A2. 「治療のゴール」は「新たな虫歯を作らない環境づくり」です。

    Point1:ご自宅での質の高いセルフケア

    歯ブラシだけでなく、フロスや歯間ブラシを毎日使う習慣をつけ、歯と歯の間の汚れを徹底的に除去することが、再発防止の基本です。

    Point2:歯科医院での定期的なプロフェッショナルケア

    ご自身では除去できない細菌の塊(バイオフィルム)を、定期的に歯科医院で専門的に清掃(PMTC)することで、リスクを大幅に下げられます。

    Point3:食生活の見直し

    砂糖を含む飲食物を摂る回数や時間を意識するだけでも、お口の環境は大きく改善します。気が付いたらだらだらと食べたり飲んだりしちゃうような習慣はありませんか?


    Q3. そもそも虫歯や歯周病にならないためには、何から始めれば良いですか?

    A3. まずは「ご自身のお口のリスクを知る」ことから始めましょう。

    具体的には:カウンセリングの活用

    まずは歯科医師や歯科衛生士に、ご自身の生活習慣や気になっていることを話してみてください。専門的な視点から、リスクの原因を探るヒントが見つかります。

    産休の取得に関して④
    具体的には:歯周検査などの細やかなアプローチ

    当院でも行っている歯周検査では、歯周ポケット等の状況を前回の検査データと照らし合わせて数値的に分析できます。ご自身の「弱点」を客観的なデータで知ることが、効果的な予防への第一歩になりますでしょう。


    今回お話しした「歯科技工士さんの人数激減」は、日本の歯科医療の質そのものを揺るがしかねない、非常に深刻な問題です。

    歯科技工士④

    その対策としてCAD/CAM(セレック)のようなデジタル技術は非常に有効ですが、それ以上に大切なのは、患者さんご自身の意識です。治療そのものを必要としない健康なお口の環境を維持することこそが、あらゆる問題に対する究極の解決策となります。

    私たちいわき市酒井歯科医院では、

    • セレックによる新たなデジタル治療
    • 根本原因にアプローチする【情報提供】と【予防歯科】

    この両輪で、時代の変化に立ち向かい、皆様のお口の健康を生涯にわたってサポートするよう心掛けて居ます。

    この記事が、皆様にとってこの問題を「自分事」として捉え、ご自身の歯の健康について改めて考えるきっかけになれば、歯科医師としてこれほどうれしいことはありません。お口の健康に関するご相談や、将来を見据えた予防について、些細なことでも構いませんのでまずはお問い合わせください。

    【酒井歯科医院】
    電話番号: [0246-31-1000]

    執筆・監修歯科医

    最高の技工物も
    治療の一部です

    酒井直樹

    医療法人SDC 酒井歯科医院 理事長 / 院長

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    酒井歯科医院

    〒970-8043
    いわき市中央台鹿島3-12-1

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