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院長のコラム

「歯の数が足りない…?」”癒合歯”と”先天性欠如歯”、保護者の皆様に知っておいてほしいこと

    最近、お子さんのお口の中で増えている「歯の本数の問題」。実は決して珍しいことではありません。歯科医師が、正しい知識と今後の付き合い方を分かりやすく解説します。

    「仕上げ磨きの時、子どもの歯の形が少し変…?」
    「乳歯が抜けず、なかなか大人の歯が生えてこない…」

    近年、このようなお子さんの「歯の本数」に関するご相談が増えているように感じます。私が歯科医師になった30数年前にはそれほど頻繁には見られなかった「癒合歯(ゆうごうし)」「先天性欠如歯(せんてんせいけつじょし)」のお子さんがクリニックを訪れることも珍しくなくなりました。

    下の前歯の癒合歯

    大切なお子さんのお口の中に通常とは違う部分が見つかるとご不安になるのは当然のことです。 ですが、まずはご安心ください。これらは決して極端に珍しいことではなく、多くの場合には早期に発見し正しく付き合っていくことで、将来の大きなお口のトラブルを未然に防ぐことができます。

    今回は、保護者の皆様にぜひ知っておいていただきたい、この2つの「歯の本数の問題」について詳しく解説します。


    2本の歯がくっついた「癒合歯」、その確率は?

    「癒合歯」とは、上のイラストのように隣り合った2本の歯がくっついて1本になって生えてくる状態を指します。乳歯で見られることが多く、特に下の前歯によく見られます。

    【どのくらいの割合で見られるの?】

    複数の学術的な調査報告を平均すると、癒合歯の日本人における発現率は乳歯で約2~4%と言われています。これは25人~50人に1人の割合であり、決して珍しいものではないことがお分かりいただけるかと存じます。

    癒合歯で本当に注意すべきこと

    癒合歯で最も注意すべきなのは、歯がくっついている部分の「溝」です。この溝は非常に複雑な形をしており、歯ブラシが届きにくいため汚れが溜まりやすくむし歯の大きなリスクとなります。

    また、もう一つの重要なポイントは、その下に控えている「永久歯」への影響です。癒合した乳歯の下に生え変わるべき永久歯が2本ではなく1本しかないというケースが約半数に見られる・・・というデータもあります。 そのため、乳歯が癒合歯であった場合は、将来の歯並びを見据えレントゲンで永久歯の状態を早期に確認しておくことが非常に重要なのかもしれません。

    お子さんの下顎前歯部を見せてる写真

    そもそも歯の本数が足りない「先天性欠如歯」

    「先天性欠如歯」とは、生まれつき永久歯の”種”(歯胚)が存在せず、将来にわたってその歯が生えてこない状態のことです。乳歯がいつまで経っても抜けずに永久歯が生えて来そうな気配がないことで発見されるケースがほとんどです。

    【どのくらいの割合で見られるの?】

    日本小児歯科学会の調査によれば、永久歯の先天性欠如(親知らずを除く)は約10人に1人(約10%)という非常に高い頻度で見られることが報告されています。これは、30数年間の私の臨床経験からすると驚くべき数字であり、現代のお子さんにとってはもはや「特別なこと」ではないと言えるでしょう。

    お子さんの口腔内にデンタルミラーを入れて撮影している写真

    過度な心配はご不要です

    「永久歯が生えてこない」と聞くと大変なことのように思われるかもしれませんが、まずは落ち着いてください。 実は、ご自身の歯が足りないことに全く気づかないまま大人になっている方が驚くほど大勢いらっしゃいます。

    1本や2本の欠如であれば、多くの場合では隣の歯が自然にスペースを埋めてくれたり、あるいは乳歯が非常に長持ちして永久歯の代わりを務めてくれたりすることで、機能的にも見た目にもほとんど問題なく一生を過ごされる方も少なくありません。(残念ながら乳歯は途中で脱落する確率は高いです)

    もちろん、将来的に歯並び全体に影響が出そうな場合や多数の歯が欠如している場合には、矯正治療ブリッジ治療インプラント治療といった専門的な治療が必要になることもあります。


    「早期発見」と「長い目で見た管理」こそが最良の治療

    「癒合歯」も「先天性欠如歯」も、ご家庭での日々の仕上げ磨きの際に保護者の方がお子さんのお口の中の小さな変化に気づいてご来院されるケースがほとんどです。 そして、その「早期発見」こそが将来の大きなお口のトラブルを防ぐための最も重要で効果的な第一歩なのです。

    ブラッシング中の兄弟二人

    「癒合歯」も「先天性欠如歯」の症状も、すぐに何か治療が必要になる・・・というわけではありません。大切なのは、レントゲンなどでお口の中の全体像を正確に把握し、お子さんの成長に合わせて専門家が長期的な視点で「最適なタイミングで最適な介入」を行うことです。

    もし、お子さんのお口の中で少しでも気になる点があれば、どうぞご不安にならず、お気軽に皆様の「かかりつけ歯科医」にご相談ください。 未来を見据えた最善の道を一緒に考えて下さろうかと思います。

    執筆・監修歯科医

    不安を安心へ。それが
    かかりつけ医の最初の仕事

    酒井直樹

    医療法人SDC 酒井歯科医院 理事長 / 院長

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