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はじめに:「フッ素」って、本当に歯に良いの?

「フッ素入りの歯磨き粉」、「歯科医院でのフッ素塗布」・・・
虫歯予防の代名詞としてすっかりお馴染みになった「フッ素(フッ化物)」ですが、「なぜ、歯に良いのか?」その具体的な理由までをご存じの方は少ないかもしれません。

フッ素塗布のイメージイラスト

フッ素は、自然界にも広く存在する元素であり、私たちの歯を虫歯菌が作り出す「酸」から守るための非常に強力な味方です。この記事では、フッ素が持つ3つの素晴らしい効果と、その効果を最大限に引き出すためのご家庭と歯科医院での正しい使い方について詳しく解説していきます。


フッ素が虫歯を防ぐ3つのメカニズム

フッ素がお口の中で発揮する主な働きは以下の3つです。

① 歯質を強化し“酸に強い歯”を作る(耐酸性の向上)

フッ素が歯に取り込まれると、歯の表面のエナメル質の成分(ハイドロキシアパタイト)と結びつき、「フルオロアパタイト」というより安定した非常に硬い構造に変化します。これにより、歯質そのものが強化され虫歯菌が作り出す酸に溶けにくい強い歯になります。

② 初期むし歯を修復する力を、後押しする(再石灰化の促進)

歯は、食事のたびに酸でミネラルが溶け出す「脱灰」と、唾液の力で修復される「再石灰化」を繰り返しています。フッ素は、この唾液による「再石灰化」の働きを力強くサポートし、穴が開く手前のごく初期の虫歯であれば自然治癒を促す効果があります。

③ むし歯菌の活動を、直接的に弱らせる

フッ素には抗菌作用もあります。むし歯菌の働きを直接的に弱らせ、歯を溶かす「酸」が作られるのを抑制する効果も持っています。

フッ素塗布のイメージイラスト

歯科医院だからできる「高濃度フッ素塗布」

ご家庭で使う歯磨き粉に含まれるフッ素濃度は法律で上限が定められています。一方、私たち歯科医師や歯科衛生士が歯科医院でのみ使用を許可されているのが「高濃度フッ素」です。定期的な塗布を継続することで20~40%程度の虫歯予防効果があるとされています。

ただし、残念ながら、この効果はただ歯にペーストを塗れば得られるというわけではありません。当院では、フッ素の効果を最大限に引き出すため、以下の手順を一つひとつ丁寧に行うことを徹底しています。

効果を最大化する当院の「こだわり」の塗布手順

① 歯面の徹底的清掃

まず、歯ブラシ等でお口の中を十分に清掃し、必要があれば歯石を除去するなどして歯の表面から歯垢(プラーク)を完全に除去します。

② 歯面の十分な乾燥

唾液などが付いているとフッ素が歯に浸透するのを妨げてしまいます。脱脂綿などで歯を唾液から隔離し、エアーを吹きかけるなどして歯の表面をしっかりと乾燥させます。

③ 丁寧な薬液塗布とその後の管理

事前準備が整ったらいよいよフッ素を塗布します。最大のポイントは「接触時間」です。できるだけ長い時間、フッ素が歯に触れ続けるように丁寧に塗布します。また、塗布後約30分間は、うがいをせず唾液を吐き出す程度に止めていただくようお願いしています。

実際にフッ素を塗る際の防湿方法

効果的なフッ素塗布のポイント!

例えるなら、転んで膝を怪我した時、まず傷口を水でキレイに洗い、しっかり乾かしてから、軟膏を塗るのと全く同じです。汚れたまま、濡れたままではお薬の効果は半減してしまいますよね。

フッ素塗布のポイント

小さなお子さんへの配慮

当院では、お子さんの年齢や協力度に応じて無理のない範囲での塗布を心がけています。特に2〜3歳の小さなお子さんの場合、長時間じっとしているのが難しいこともあります。大切なのは「塗った!」という大人の満足ではなく、お子さんにとって本当にメリットがあるか否かです。無理強いはせず、お子さんの成長のペースに合わせて最適な予防法を一緒に考えていきましょう。

【当院の強み】保険適用で、定期的なフッ素塗布が可能です

当院は、厚生労働省から「口腔管理体制強化加算(口管強:※)」の施設基準を満たす医院として認定されております。これは、虫歯や歯周病の重症化を防ぐための、高度な予防医療を提供できる体制が整っているという、国からのお墨付きです。
(※ 2024年5月までは、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所「か強診」と称されていました)

この認定により、当院では、毎月の定期メンテナンスにおけるフッ素塗布が、健康保険の適用内で受けられます。あなたの歯を、より経済的に、そして継続的に守るための、当院ならではの強みです。


ご家庭での効果を最大化する「イエテボリ法」

ご家庭で、フッ素入り歯磨き粉の効果を最大限に引き出すための、少し変わった、しかし非常に効果的な歯磨き法があります。それが、予防歯科の先進国・スウェーデンのイエテボリ大学で推奨されている「イエテボリ法」です。

ポイントは、ブラッシング後の「うがい」をできるだけ少なくすること。これにより、フッ素をお口の中により長く、より多く留めることができます。

イエテボリ法の、具体的な手順

  1. 歯ブラシに、歯磨き粉をたっぷりつけます。(年齢に応じて加減)
  2. その歯磨き粉を、まずはお口全体の歯に塗り広げます。
  3. 約2〜3分間、泡立ちを保ちながら全ての歯を丁寧に磨きます。
  4. 磨き終わったら、お口の中の泡をそのまま吐き出します。
  5. ごく少量(約5〜15ml、ペットボトルのキャップ1杯程度)の水を口に含み、約30秒間、お口全体に行き渡らせるように優しくブクブクうがいをします。
  6. うがいはその1回だけでおしまいです。
  7. その後、最低2時間は飲食を控えるのが理想です。(就寝前がベストです)

最初は少し違和感があるかもしれませんが、この方法で、フッ素の虫歯予防効果は従来の歯磨き法に比べて1.5倍近く高まるとも言われています。ぜひ試してみてください。

執筆・監修歯科医

歯を「強くする」という
新しい予防の考え方