はじめに:「初めての歯医者さんデビュー」、それは一生のお口の健康を左右する大切な一日
「うちの子・・・泣かずにちゃんとできるかしら?」
「歯医者さんを嫌いになってしまったらどうしよう?」
お子さんを、初めて歯医者さんに連れて行く時。お子さん本人もさることながら、保護者の皆様がご本人以上に緊張と不安でいっぱいになってしまうお気持ち、私たちも痛いほどよく分かります。
私たち酒井歯科医院の小児歯科が何よりも大切にしていること。それは、お子さん一人ひとりのペースに合わせ「歯医者さんは、そんなに怖くない場所なんだ」と感じてもらうことです。

この記事では、簡単ではないのですがなるべく心掛けていることとして、お子さんのお口の健康を守るための当院の具体的な取り組みと保護者の皆様へのささやかなお願いについてお話しします。
お子さんの「心」に寄り添う私たちの約束
🟨 私たちが、決して「無理やり」治療しないたった一つの理由
時に、小学生になっても頑なに口を閉ざし治療ができないお子さんがいらっしゃいます。お話を伺うとそのほとんどが、幼い頃に別の医院で押さえつけられて治療を受けた・・・という「心の傷(トラウマ)」を抱えています。
一度、植え付けられてしまった恐怖心を取り除くのは、本当に、本当に、大変なことです。(泣)
私たちは、決してお子さんを無理やり押さえつけて治療するようなことは余程でなければいたしません。お子さん自らが「泣いちゃうかもしれないけど、頑張るしかないか・・・」と思えるようになるまで焦らずにじっくりと成長を待ちます。

🟨 お子さんの「心」を開く3つのステップ(行動変容法)
私たちは、お子さんが自ら治療に前向きになれるよう、以下のステップを行います。

① Tell(お話しする)
まず、これから使う器具(例えば、口の中を覗くミラーや風を出す機械など)をお子さんに見せながら、「これは、〇〇をするための道具だよ」、「怖くないものだよ」と分かりやすい言葉でお話しします。
② Show(見せて、触れてもらう)
次に、その器具で、実際にお子さんの手の甲などに風をかけたりします。「ほら、風が出るだけだよ」、「別に痛くないでしょ?」と、実際に体験してもらうことで未知への恐怖心を好奇心へと少しだけでも変えていきます。
③ Do(やってみる)
お子さんが、器具を理解して安心できたことを確認してから初めて、実際にお口の中で治療や検診を始めます。この成功体験の積み重ねが、「歯医者さんは、平気だった!」という自信に繋がるのです。保護者の方にもお口の中を覗けただけでも「偉かった!」とお子さんを褒めていただけると助かります。
🟨 子育て中のスタッフとアニメがお子さんをお出迎えします
当院には、現在、子育て真っ最中のスタッフも在籍(約半分?)しています。お子さんの不安な様子を見守ってくれて、気持ちがほぐれるよう優しく声をかけ、保護者の皆様と同じ目線でサポートします。
また、診療ユニット脇のモニターでは、お子さんのお好きなアニメを映すこともできます。スタッフにお気軽にお申し付けください。歯科医院は、怖い場所ではなく安心してリラックスできる場所なのだと感じてもらうための私たちのささやかな工夫です。

「治療」よりも何倍も大切な「予防」のお話
お子さんの乳歯や生えたばかりの永久歯は、大人の歯に比べて非常に柔らかく虫歯になりやすく、そして進行もあっという間です。だからこそ小児歯科では「治療」以上に「予防」が何よりも重要になります。
✅ ① フッ素塗布 ― 歯を強くする鎧
歯質を強化し、虫歯菌が作り出す酸に負けない強い歯を作るための最も効果的な予防法です。当院では、お子さんが嫌がらない美味しい味のフッ素ジェルを定期的に塗布することをお勧めしています。
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✅ ② シーラント ― 奥歯の溝を虫歯から守るバリア
特に、生えたての永久歯(6歳臼歯など)の複雑で深い溝には歯ブラシが届きにくく虫歯の好発部位です。この溝をフッ素入りの樹脂であらかじめ埋めてしまうことで虫歯を物理的に予防します。
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✅ ③ 歯磨き指導 ― 保護者の皆様との二人三脚
お子さんの歯を虫歯から守るための最強のサポーター。それは、私たち歯科医師ではなく毎日の仕上げ磨きをしてあげる保護者の皆様です。当院の歯科衛生士が、お子さんのお口の状態に合わせた最適な仕上げ磨きの方法を丁寧に指導させていただきます。

✅ ④ 歯並びの予防(咬合育成)
指しゃぶりや口呼吸といった何気ない癖が、将来の歯並びを悪くしてしまうことがあります。当院では、本格的な矯正が必要になる前に、お子さんの健やかな顎の成長を促す「小児予防矯正」にも力を入れています。
保護者の皆様へ、一つだけ大切なお願い
それは「歯医者さんを、怖い場所として教えないでほしい」ということです。
「悪いことをしたら歯医者さんに連れて行くよ!」 ・・・そんな冗談のつもりの一言が、お子さんの心に歯医者さんへの根強い恐怖心を植え付けてしまうことがあると言われています。また、「怖くない、怖くない」や「痛くない、痛くない」の連呼も逆に幼気なお子さんの不安を煽る一助になってしまうとも言われます。

そうではなく、「歯医者さんは、君の歯をバイキンから守ってくれる頼りになる場所だよ」、「大丈夫な場所だよ」と是非 伝えてあげてください。
私たちも、その言葉に恥じないお子様にとっての最高のサポーターであり続けることを心掛ける事をお約束します。
執筆・監修歯科医
「歯医者さん、平気だった!」
その一言のために
理事長・院長
酒井直樹
SAKAI NAOKI
経歴
- 1980年 福島県立磐城高等学校卒業
- 1988年 東北大学歯学部卒業
- 1993年 酒井歯科医院開院
- 2020年 医療法人SDC設立 理事長就任
所属学会・勉強会
- 日本臨床歯科CADCAM学会
- 日本顎咬合学会
- 日本口育協会
- 日本歯科医師会
- 日本歯周内科学研究会
- ドライマウス研究会