「ちゃんと歯磨きしてるのに…」子どもの虫歯、原因は意外な習慣?
「毎日しっかり歯磨きさせているのに、むし歯ができてしまった・・・」 、「公園に行くと、お友達がお菓子を食べていて、うちの子だけあげないわけにもいかなくて・・・」
こんにちは。いわき市の酒井歯科医院です。 日々の診療で、小さなお子さんをお持ちのお母さんから、このようなお悩みを伺うことがよくあります。大切なお子さんの歯を守りたい、そのお気持ちは私たちも痛いほどよく分かります。

虫歯予防は歯磨きだけにあらず
実は、子どもの虫歯予防は、歯磨きだけで万全というわけではありません。本当の原因は、普段の何気ない「ダラダラ飲み」や「ダラダラ食べ」といった食習慣に隠れていることが多いことを御存知でしたでしょうか?
この記事では、歯の専門家として、そして皆さんと同じ子育て世代の目線から、誰でも今日から実践できる虫歯予防の具体的な方法を、分かりやすくお伝えしていきます。
虫歯の本当のメカニズム
お口の中のシーソーゲーム!「脱灰」と「再石灰化」とは?
まず、虫歯がどうやってできるのか、簡単にご説明します。
脱灰
私たちがおやつや食事をすると、お口の中が酸性になり、歯の表面からカルシウムなどのミネラルが溶け出してしまいます。これを「脱灰(だっかい)」と言います。
再石灰化
一方で、私たちの唾液には、その酸を中和して、溶け出したミネラルを歯に戻してくれる素晴らしい力があります。これを「再石灰化(さいせっかいか)」と言います。
この脱灰と再石灰化に関して、日頃我々もお世話になっているLIONさんが解りやすい動画を提供して下さってました。この動画では加えてフッ素の役割(意味合い?)も御理解いただけるかもしれません。
お口の中は、この「脱灰」と「再石灰化」が常に繰り返される、いわばシーソーゲームのような状態です。このバランスが取れていれば、歯は健康を保つことができます。しかし、脱灰の時間が長くなり、シーソーが酸性側に傾きっぱなしになると、虫歯が始まってしまうのです。
再石灰化は、つまりは唾液による口腔内の回復期のようなモノで食間隔さえ空けておけば、下記の様に我々のカラダ(唾液)が勝手に修復してくれるってコトでもあるんです。
(※ 画像はお世話になっているGCさんのサイトから拝借しました)

我々歯科医療従事者に虫歯が少ないのは、仕事中は一切の間食をしない(できない?)ことが理由に挙げられるのかもしれません。
なぜ「ダラダラ飲み・食べ」が歯に悪い一番の理由
では、なぜ「ダラダラ飲み・食べ」が危険なのでしょうか。
それは、おやつの時間などを決めずにジュースを少しずつ飲んだり、お菓子をずっと食べ続けたりすると、お口の中が常に酸性の状態になってしまうからです。
そうなると、唾液による修復(再石灰化)の時間がなくなり、歯が溶かされる「脱灰」の時間ばかりが一方的に長くなってしまいます。

特に、フタができて持ち運びに便利なペットボトル飲料や、袋に入ったお菓子は、この「ダラダラ」とした習慣を助長しやすいため、注意が必要です。
どれくらいが「摂りすぎ」? 世界が示す砂糖の基準
では、具体的にどれくらいの糖分が「摂りすぎ」にあたるのでしょうか。
世界基準に照らし合わせると・・・
ここで一つ、信頼性の高い基準として、WHO(世界保健機関)の指針をご紹介します。WHOは、虫歯や肥満のリスクを減らすため、飲料や食品に添加される糖類や、はちみつ、100%果汁に含まれる糖類などの「遊離糖(フリーシュガー)」の摂取量を、1日の総エネルギー摂取量の5%未満、角砂糖にして約6個分(約25g)に抑えることを強く推奨しています。
(※ 具合が悪い時にはその限りではありません)

これを踏まえて、身近な例を見てみましょう。例えば、500mlのコーラには約60gもの糖分が含まれています。これは、WHOが推奨する1日の上限量を、たった1本で倍以上も超えてしまう計算です。
これほど大量の糖分は、虫歯菌にとってはこの上ないご馳走となり、強力な酸を作り出す原因となって、歯の脱灰を急激に進行させてしまいます。私は・・・・知ってしまってからは口に出来なくなりました。


見逃さないで!歯からのSOSサインは「黒」ではなく「白」
「虫歯=黒い穴」と思っていませんか?
実は、虫歯の初期サインは「黒」ではありません。歯の表面、特に歯ぐきの近くが、チョークのように白く濁った状態になるのが始まりです。これは、歯からミネラルが溶け出しているSOSサインなのです。
この段階であれば、まだ歯を削らずに、これからお話しする正しいケアで健康な状態に戻せる可能性が高い、とても重要な時期です。ぜひ一度、お子さんのお口の中をチェックしてみてください。
専門家として、そして同じ親として。酒井歯科医院の想い
私たち酒井歯科医院は、いわき市の歯医者として、ただ治療をするだけでなく、皆さんがご自身の力で健康を守れるような情報提供に力を入れています。
なぜなら、正しい知識こそが、ご自身とご家族の歯を守る一番の武器になると信じているからです。

実は当院で働くスタッフのうち半数は、皆さんと同じように小さなお子さんを育てるお母さんです。 「おやつの時間に泣かれて、つい負けてしまった…」 、「お友達との付き合いもあって、お菓子を完全にやめるのは難しい…」 そんな子育ての悩みや大変さを、かつて3人の幼子の親であった私も含めて私たちは身をもって知っています。
だからこそ、専門家としての知識だけを押し付けるのではなく、皆さんの日常に寄り添い、実体験に基づいた「本当にできるアドバイス」を届けたい・・・それが私たちの想いです。
【Q&A】歯科医師が回答!おやつの「これってどうなの?」
ここでは、お母さんたちからよくいただくご質問にお答えします。
Q1. 甘いものは一切禁止すべき?
A1. 無理にゼロにする必要はありません。ストレスなく続けるコツは「メリハリ」です。「おやつの時間は3時」、「ジュースはこのコップ1杯だけ」など、時間と量を決めて、特別な楽しみにしてあげるのがおすすめです。
Q2. 虫歯になりにくいおやつの選び方は?
A2. ポイントは「お口の中に残りにくいもの」を選ぶことです。

【比較的安心なもの】
アイスクリーム、プリン、果物、おせんべいなど(口の中に長く残らず、すぐに流れていきやすい)
【少し注意が必要なもの】
チョコレート、ケーキ、ポテトチップスなど(糖分が多く、歯にくっつきやすい)
【特に注意が必要なもの】
キャラメル、グミ、ソフトキャンディなど(粘着性が非常に高く、歯に長時間くっついてしまう)
Q3. 体に良いスポーツドリンクは歯にも良い?
A3. いいえ、注意が必要です。スポーツドリンクは、糖分が多く、お茶や水に比べて酸性度も高いため、ダラダラ飲みをすると虫歯のリスクが非常に高まります。汗をたくさんかく特別な時以外は、日常の水分補給は水やお茶が最適です。




まとめ:毎日の「ちょっとした意識」でお子さんの歯の未来を守りましょう
最後に、この記事のポイントをまとめます。
- 虫歯の本当の原因は「ダラダラ飲み・食べ」によるお口の酸性化
- お口を休ませる「再石灰化」の時間を作ることが大切
- ジュースはおやつと心得る(糖分量にも注意!)
- おやつは「歯にくっつきにくいもの」を選ぶ
- 食べた後は、水やお茶で口をゆすぐ習慣をつける


完璧を目指す必要はありません。毎日の生活の中で、ほんの少し意識を変えるだけで、大切なお子さんの歯を虫歯から守ることができます。
もし、お子さんのお口のことで少しでも気になること、ご不安なことがあれば、決して一人で悩まず私たち専門家にご相談ください。
いわき市の酒井歯科医院では、お母さんのお悩み相談やお子さんの定期検診(フッ素塗布等)を保険適用内で行っております。お電話またはWebサイトから、いつでもご連絡ください。
医療法人SDC 酒井歯科医院
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