はじめに:「うちの子はどうすれば…?」と感じた保護者の皆様へ
前のページをお読みになり、「うちの子にもお口ポカンの癖がある…」、「このままでは将来の歯並びが心配・・・」と感じられたかもしれません。
ご安心ください。お子さんの顎の骨が最も活発に成長する「ゴールデンエイジ(5歳〜10歳頃)」に適切な介入を行うことで、その成長を正しい方向へと優しく導いてあげることができます。
そのための最も代表的で、そして、お子さんの負担も少ない素晴らしい治療法が「小児予防矯正」であり、その主役となるのがマウスピース型の矯正装置「プレオルソ」です。


「歯」ではなく、歯並びの「土台」を育てる治療
大人の本格的な矯正治療が、既に生えてしまった歯を1本1本 力で動かして並べ直す「対症療法」だとすれば、小児予防矯正はそれとは全く考え方が異なります。
私たちが目指すのは歯並びが悪くなる「根本原因」そのものにアプローチすることです。具体的には、
- 顎の骨の、健やかな成長を促すこと
- お口周りの筋肉(舌・唇・頬)のバランスを整えること
- 口呼吸や指しゃぶりといった、歯並びを悪くする「悪い癖」を改善すること
この、歯並びの「土台」となる部分を、お子さん自身の「成長する力」を利用して最適な状態へと育ててあげる・・・それが小児予防矯正の本当の目的なのです。
主役はマウスピース装置「プレオルソ」
この、小児予防矯正の中心的な役割を果たすのが「プレオルソ」という既製品のマウスピース型矯正装置です。

🟨 ①「プレオルソ」とはどんな装置?
シリコンのような非常に柔らかい素材でできており弾力性があります。主に、お子さんが学校から帰ってきた後(1時間前後)と夜間の眠っている間に装着していただきます。
🟨 ②「プレオルソ」が持つ3つの力
✅ 1. 顎の骨を正しく広げる
プレオルソを装着することで、狭くなってしまった上顎の骨を優しく、そして持続的に本来あるべき正しい大きさへと側方へ拡大する効果が期待できます。

✅ 2. お口周りの筋肉を正しく訓練する
装着しているだけで、弱ってしまった唇の筋肉(口輪筋)を自然にトレーニングすることができます。これにより、「お口ポカン」の状態が改善され鼻呼吸がしやすくなります。

✅ 3. 舌の正しい位置を体に覚えさせる
プレオルソの内部には、舌を正しい位置(スポットポジション)へと自然に誘導するための特殊なガイドが設計されています。これにより、舌の悪い癖が改善され正しい飲み込み方が身につきます。


🟨 ③「プレオルソ」の大きなメリット
✅ ① 柔らかくて痛みが少ない
プレオルソは、医療用の非常に柔らかいシリコンのような素材でできています。金属のワイヤーや硬い装置を使わないため、装着時の痛みやお口の中の違和感がほとんどありません。お子さんも、嫌がらずに使い続けやすいのが特徴です。
✅ ② 取り外し式で日中の学校生活に影響なし
装置を装着するのは基本的にお家にいる間と、夜間の眠っている時間だけです。学校に着けていく必要はないため、お友達との給食の時間や体育の授業なども、これまで通り何も気にすることなく楽しむことができます。
✅ ③ 既製品のため費用を抑えられる
プレオルソは、一人ひとりのお口に合わせて作る完全なオーダーメイドの装置ではありません。いくつかのサイズの中からお子さんに最適なものを選んで調整するため、本格的な矯正治療に比べて費用を比較的リーズナブルに抑えることができます。
ご家庭での「お約束」が治療の鍵を握ります
プレオルソは非常に優れた装置ですが、その成功は患者さんご自身の、そして、保護者の皆様の「協力」なくしてはあり得ません。
毎日、決められた時間、忘れずに装着すること。そして、私たちがお教えするお口の簡単なトレーニング(筋機能訓練)をご家庭で楽しみながら続けていただくこと。

この、地道な努力の積み重ねが、お子さんの輝く未来の笑顔を創り上げるのです。私たちも、その長い道のりを最高のパートナーとして全力で伴走します。
お子さんのお口のことで少しでも気になることがあれば、どうぞ、手遅れになる前に一度 私たちにご相談ください。「ゴールデンエイジ」は、困ったことにあっという間に過ぎ去ってしまいます。
執筆・監修歯科医
お子さんの「育つ力」を
信じて、引き出す
理事長・院長
酒井直樹
SAKAI NAOKI
経歴
- 1980年 福島県立磐城高等学校卒業
- 1988年 東北大学歯学部卒業
- 1993年 酒井歯科医院開院
- 2020年 医療法人SDC設立 理事長就任
所属学会・勉強会
- 日本臨床歯科CADCAM学会
- 日本顎咬合学会
- 日本口育協会
- 日本歯科医師会
- 日本歯周内科学研究会
- ドライマウス研究会