はじめに:あの頃、まだ「新しい選択肢」だった物語
先日、自宅の抽斗を整理しておりましたら、今から4年前(2021年3月)に、朝日新聞の折り込み紙である『朝日サリー』の「健康MEMO」というコーナーに私が寄稿させていただいた記事の切り抜きが出てきました。
テーマは、当院の治療の大きな柱の一つである「マウスピース矯正(インビザライン)」について。
当時は、まだ多くの方にとって「本当に歯が動くの?」と半信半半疑の新しい選択肢だったように記憶しています。
あれから数年が経ち技術はさらに進化しましたが、そこに書かれている治療の本質的な考え方は今も全く変わっていません。少しだけタイムスリップするような気持ちで、当時の記事をここに再掲させていただきます。

御存知ですか?『マウスピースを用いた矯正治療』
朝日サリー『健康MEMO』(2021年3月掲載)
歯の矯正と聞くとどんなイメージをお持ちでしょうか。一般的には『歯の矯正は細いワイヤー装着』というイメージが強い方が多いかと思います。ですが、ここ数年目立たない透明のマウスピースで歯並びを整える『アライナー矯正治療』が急速に普及しています。
これはIT技術の進化に伴い専用スキャナーで歯並びを撮影しデジタル化、パソコン上で治療計画を立て数十個の少しずつ形が異なるマウスピースを作製して、それを一週間毎に順次交換してゆっくり歯を動かしていくという新しい治療システムです。
抜歯をせず改善することを原則としており、AIによるシミュレーション精度の向上により患者さん毎に最適な治療法が予測でき確認も容易になりました。
大きな利点としてはワイヤー矯正に比べればお口の中を傷付けにくく食事やブラッシング時には外せる点が挙げられます。歯の移動時に軽度の痛みは伴いますが周囲の方に気付かれにくいため多くの方がチャレンジしています。
ですが、顎のサイズが極端に上下で異なる方やどうしても抜歯をせざるを得ない症例は『ワイヤー矯正』に頼らざるを得ませんし、簡単に外せるが故に御本人の協力(毎日20時間以上装着)が不可欠な治療になります。
これだけ注目される理由は、むし歯や歯周病といったお口のトラブル原因のひとつに歯並びの不正が挙げられ、それらを回避するために汚れが残りにくい綺麗な歯並びが理想とされるからです。
また、そもそもの歯並び不正を引き起こさぬよう幼児期・学童期の生活習慣、口腔習癖を改善する『小児予防矯正』という歯並びの予防までもが可能な時代になりました。
日進月歩の矯正の世界。歯並びが気になる方は一度歯科医師に御相談なさってみてはいかがでしょうか。
2025年の今、改めて思うこと
この記事を書いてから4年。当時はまだどの歯科医院にとっても「新しい治療システム」だったマウスピース矯正は、今や当院の矯正治療のスタンダードな選択肢となりました。
この記事の中では、まだ、言葉足らずだった部分もたくさんあります。私たちは、この4年間でさらに学びと臨床経験を深め、このテーマに関するより詳細でより専門的な情報サイトを自院ホームページ内にリニューアルさせて新たに立ち上げた次第です。
もし、この記事を読んで、マウスピース矯正やその更に手前にある「小児予防矯正」に少しでもご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ、以下の私たちの「現在地」を示す最新の総合案内ページもあわせてご覧いただけますと幸いです。
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執筆・監修歯科医
常に時代の半歩先を
見据え、学び続ける
理事長・院長
酒井直樹
SAKAI NAOKI
経歴
- 1980年 福島県立磐城高等学校卒業
- 1988年 東北大学歯学部卒業
- 1993年 酒井歯科医院開院
- 2020年 医療法人SDC設立 理事長就任
所属学会・勉強会
- 日本臨床歯科CADCAM学会
- 日本顎咬合学会
- 日本口育協会
- 日本歯科医師会
- 日本歯周内科学研究会
- ドライマウス研究会