はじめに:「四角いスイカ」をご存じですか?
スイカは、当たり前の事ながら放っておけば自然に丸く大きく育ちます。ですが、もし私たちが「四角いスイカ」を育てたいと願うなら、成長の早いまだ柔らかい時期に特製の「四角いケース」に入れて育てたりはしませんでしょうか?
これまた当たり前ですが、一度、丸く大きく育ってしまったスイカを、後から無理やり四角くすることはできません。
例えが宜しくないかもしれませんが、実は、お子さんの「歯並び」と「顎の成長」もこれと全く同じです。
永久歯が全て生え揃い顎の骨が固まってしまう前に同様の事が言えませんでしょうか?
お子さんの、心と身体が最も成長する「ゴールデンエイジ」に適切な「型(ケース)」にはめてあげることでその成長を本来あるべき最も美しく、そして機能的な姿へと優しく導いてあげることができるとも考えられます。
この記事では、そのための最高の「型」であるマウスピース型矯正装置「プレオルソ」について、また小児予防矯正について詳しく解説していきます。

プレオルソとは?― お口の「悪い癖」を治すトレーニング装置
「プレオルソ」は、ワイヤーを使って歯を力で動かす従来の矯正装置とは全く考え方が異なります。これは、いわばお口周りの筋肉の「筋トレ」を正しくサポートするためのマウスピース型の「トレーニング装置」です。
歯並びが悪くなってしまう根本的な原因。それは、「お口ポカン(口呼吸)」や「指しゃぶり」、そして「舌の悪い癖(舌で前歯を押すなど)」といった無意識の、だけれども非常に強力なお口周りの「悪い癖」です。



プレオルソは、この「悪い癖」をお子さん自身の力で改善し、顎の骨の健やかな成長を促すことで結果として永久歯がきれいに並ぶための十分な「土台」を作り上げることを最大の目的としています。
プレオルソの具体的な効果と使い方
プレオルソは柔らかいシリコンのような素材でできており、お子さんの著しい成長に伴いサイズが合わなくなって来るとダメだったり致しますが、基本的に痛みはほとんどありません。
✅ 3つの素晴らしい効果
1.お口ポカン(口呼吸)を鼻呼吸へ
装着しているだけで自然と口唇を閉じる癖がつき、本来あるべき「鼻呼吸」へと導きます。
2.舌の正しい位置を体に覚えさせる
装置の内部のガイドが、舌を常に正しいポジション(スポットポジション)へと誘導し、正しい飲み込み方を体に再学習させます。

3.顎の健やかな成長を促す
装置が、狭くなった顎の骨を優しく、そして持続的に側方へ拡大するのをサポートします。

✅ 使い方はとてもシンプル
装着するのは、学校から帰ってきてからの「1日1時間」と、夜間に眠っている時間だけです。学校に着けていく必要はありません。この、ご家庭での地道なトレーニングが、お子さんの未来の笑顔を創り上げます。
同時に提供する日々の口腔周囲のトレーニング課題を併用することで効果は格段に表れやすくなります。

ただし・・・最大の「欠点」もあります
この治療法には一つだけ最大の欠点があります。 それはお子さん自身に・・・
『治したい』
『きれいな歯並びになりたい』
『カッコ良い(もしくは可愛らしい)顔付きになりたい』
という強い意志がなければ決して成功しない」ということです。
私たちと保護者の皆様がどんなに熱心でも、ご本人が毎日決められた時間、この装置を使ってくれなければ残念ながら効果は現れません。
ですので、私たちは、まず、お子さんご自身になぜこのトレーニングが必要なのかを理解してもらう事に務めます。お子さんと保護者の皆様、そして私たちの三者の協力(三人四脚)があって初めてこの治療は最高のゴールへとたどり着けるのです。
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執筆・監修歯科医
歯を動かす前に
まず、土台を育てる
理事長・院長
酒井直樹
SAKAI NAOKI
経歴
- 1980年 福島県立磐城高等学校卒業
- 1988年 東北大学歯学部卒業
- 1993年 酒井歯科医院開院
- 2020年 医療法人SDC設立 理事長就任
所属学会・勉強会
- 日本臨床歯科CADCAM学会
- 日本顎咬合学会
- 日本口育協会
- 日本歯科医師会
- 日本歯周内科学研究会
- ドライマウス研究会