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はじめに:「先生、もう歯医者さんに行けなくなっちゃったよ」

1993年の開業以来、このいわきニュータウンの地で、私たちは本当に多くの患者さんと長い年月を共にしてきました。
当時50代で健康そのものだった方が、30年以上の歳月を経て80代を迎えられる・・・そんな患者さん一人ひとりの人生の物語に寄り添えることこそ、地域のかかりつけ歯科医としての我々の喜びです。

ですが、それに伴い、近年、お電話口でこんな寂しそうな声を、御本人だったり御家族の方から耳にすることが増えてきました。
「足腰が弱ってしまって、もう、自分では通えない…」
長年に渡り大切なお口の健康管理を任せていただいた私たちにとって、そして、何よりも治療した歯や作らせていただいた入れ歯に責任を持つ者として、そのお言葉を聞くたびに、私たちは深い無力感を感じずにはいられませんでした。

そんな「通えない」という理由だけでお口の健康をあきらめてほしくない。その一心で、私たちは出来ることには限りがありますが「訪問歯科診療」の取り組みを始めました。


ご自宅や施設でできること。そして、できないこと。

当院では、ポータブル式の本格的な診療ユニット(モリタ社製「ポータキューブ」)を導入し、ご自宅や入居されている施設でも質の高い歯科医療を提供できる体制を整えています。

ですが、正直にお話ししますと・・・ご自宅でできることにはやはり限りがあります。医院と同じレベルの全ての治療が当然のことながらできるわけではありません。

✅ 私たちが、ご自宅で「できること」

① 入れ歯の調整・修理・作製

「痛い」・「合わない」・「外れやすい」といった入れ歯に関するあらゆるお悩みに可能な限り細かく対応します。

② 専門的な口腔ケア(お口の清掃)

専門家である歯科衛生士が、ご自身では難しくなってしまったお口の中の徹底的な清掃を行います。清潔な口腔環境は、誤嚥性肺炎の予防に絶大な効果を発揮します。

訪問歯科診療の再開

③ 簡単な処置や応急処置

動揺が酷くなり自然脱落してしまった後の傷口の消毒(確認)や欠けたり虫歯で鋭くなった歯を丸めるなど、患者さんの不快な症状を和らげるための応急的な処置を行います。

④ 虫歯や歯周病のチェック、検診

お口の中に新しいトラブルが起きていないか、定期的な検診にお伺いし健康状態をチェックします。

❌ 残念ながら、「できないこと」

残念ながら、医院であれば平気で可能な事のほとんどのことが出来ないのが実情だったりも致します。(泣)

  • 歯を削る・被せ物を作るといった本格的な虫歯治療
  • インプラントや歯周外科手術
  • レントゲン撮影を伴う精密な検査

まずは、「相談」から始めませんか?

「こんなこと頼んでもいいのだろうか…」
そう、ためらう必要は全くありません。

まずは、患者さんご本人やご家族、あるいは、ケアマネージャーさんからお気軽にお電話で現状のお悩みをお聞かせください。私たちが、何ができて何ができないのか・・・どうすれば、ご本人にとって、今、一番良い状態を作れるのか、それを、一緒に考えることから始めさせてください。

訪問日は、事前に決めたお約束の時間だったり、医院の休診日などを利用してお伺いすることが可能です。まずは、日程調整も含め柔軟にご相談に乗らせていただきます。


治療した者としての「責任」を最後まで

歯を治療し入れ歯を作らせていただく・・・考えてみますと、それは、その場限りの行為ではありません。
その歯が、その入れ歯が、その方の人生の最期まで美味しく食事をし楽しく会話をするための大切なパートナーであり続けられるように見届けること・・・それこそが、30年以上この地で皆様に育てていただいた私たち「かかりつけ歯科医」の本当の「責任」だと考えています。

どうぞあきらめずに、まずは私たちにお声がけください。


「訪問診療」からその先へ ― 私たちが「摂食支援」を学ぶ理由

訪問診療の理想は、ご自宅でも歯科医院と全く同じレベルの治療を提供することかもしれません。ですが、正直にお話ししますと・・・現実にはできることには限りがあり応急的な処置に留まってしまうことが多いのもまた事実です。(泣)

では、私たちの役割は、そこまでなのでしょうか?
私は、 本格的な治療が困難になったとしても、その方が人生の最後までご自身の口から美味しく食事を摂り続けるための「支援」をすること・・・それこそが、これからの訪問歯科診療に最も求められる役割だと考えています。

私も含め誰しもがいずれは通る道です。その日のために、今、何を学ぶべきか。その想いから、私はコロナ禍にオンライン研修を受講し、この「摂食支援」に先進的に取り組んでいらっしゃる全国の素晴らしい先生方に今も教えを請い続けています。

お口の健康は虫歯歯周病だけではありません。舌や唇・頬の筋肉がバランス良く調和して「噛み(咀嚼)」・「飲み込む(嚥下)」という生命の根源的な機能を正しく果たせて初めて完結します。 その機能を、最後まで守り支えること・・・それが私たちの新しい挑戦でもあります。

執筆・監修歯科医

最後まで
あなたの主治医として